個人事業主の診療所に税務調査が入ったときに、否認されやすい項目を知っておこう②

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2019/01/20
個人事業主の診療所に税務調査が入ったときに、否認されやすい項目を知っておこう②

前回は医業収益の計上漏れの5つの項目を確認しましたが、今回からは、経費の計上ミスについて確認していきましょう。
経費は大きく分けて、3つに区分されます。

1つ目の区分が、売上原価です。
2つ目の区分が、販売費および一般管理費となります。
3つ目の区分が、営業外損益と特別損益となります。

まずは、1つ目の区分である売上原価でミスしやすい項目を確認していきます。

 

1. 仕入割戻し(リベート)の控除漏れ

架空仕入れとは実際に発注していないのに、医院や病院が薬品を買ったことにしたり、外注費を計上することです。明らかに脱税ですので、このような架空仕入れを計上する院長先生はまずいないでしょう。それよりも、リベートを計上していないことはよくあります。

リベートとは、大量に薬品などを仕入れると、あとで一定の基準でお金を戻してくれることです。
割引と同じです。

この割り戻されたお金は、売上原価から差し引かなければいけません。

通常、院長先生の個人事業主の名義となっている銀行口座に振り込まれます。医療法人であれば、法人名義の口座と院長先生の個人口座ははっきりと分かれているのですが、個人事業主の場合には、生活費で使っている口座も使っていることがあります。そこに定額で入金されるものでもないため、ついつい見落としがちです。

また売上原価から差し引いたとしても、その時期にも注意が必要です。
所得税では、下記のように決まっています。

①の場合がほとんどだと想定されますが、②であったとしても、お金が振り込まれたときに売上原価から差し引くのでは、遅いのです。

税務調査で、この計上時期が間違っていると「期ずれ」と指摘されて、修正させられます。

 

2. 12月末に存在する在庫が未計上

医院や病院では、医薬品が大量にあり、管理が大変です。だからと言って、管理しなければ、無駄な経費を垂れ流すことにもつながります。また医薬品の管理を厳密に行わなければ、盗難にあったり、劇薬であれば違う目的で使われてしまうかもしれません。過去に医薬品の管理がずさんな病院で、看護師が勝手に持ち出して大々的にニュースになった事件もありました。

そこで、定期的に実地棚卸を行う必要がありますが、12月末で行われた結果は、期末棚卸資産として計上しなければいけません。

例えば、今年に700万円の医薬品を仕入れたとしても、期末に200万円が残っていれば、差し引き500万円が売上原価となります。もちろん、期首に残っていた棚卸資産が100あれば、それは売上原価として加算されます。具体的には、下記のように今年の売上原価を計算します。

つまり、期末の棚卸資産が多いほど、今年の売上原価は小さくなり、利益が大きくなるのです。

税務調査のときに担当官は、いつ、誰が、どのような方法で医薬品の実地棚卸を行い、その在庫の数量を集計したのかを確認します。

さらに、在庫の単価の決め方も重要となります。個人事業主は、原則、最終仕入原価法を使って、期末棚卸資産を評価しなければいけません。

単価を2,000円としていると、期末棚卸資産が160,000円と間違って計上されてしまいます。期末棚卸資産の単価が低くなれば、それだけ仕入から差し引かれる金額が減るため、売上原価が大きくなり、利益が圧縮されます。これを税務調査のときに担当官から指摘されると、追徴で所得税が徴収されることになります。

さらに、医院や病院で実地棚卸を忘れがちなものがあります。それはパンフレットと書籍です。昔と違い、広告宣伝の一環として、医院や病院はお金を使って高額がパンフレットを作ったり、院長先生が書籍を出版したりします。書籍は商業出版ならば、それほど残りませんが、自費出版であると、一定数量を買い取る必要があります。

1500円の本を2000冊買い取れば、300万円です。
12月末で半分の1000冊が在庫として残っていれば、150万円を貯蔵品として資産に計上しなければいけません。もし計上し忘れていれば、150万円の経費が過大に計上されていることになります。税務調査のときに担当官は、すべてのパンフレットを配り終わることもないし、書籍も残っていることを知っています。

もし今年、パンフレットを制作したのであれば、貯蔵品が計上されるはずですので、確定申告書を提出する前に確認してください。

医薬品と違い、毎年発生しないこともあるため、特に注意が必要です。

 

3. 在庫を廃棄するときには写真を撮る

医院や病院の医薬品は多かれ少なかれ、必ず使用期限を過ぎてしまうものがあり、廃棄します。廃棄すれば、それだけ期末棚卸資産が減りますので、売上原価が大きくなり、利益を圧縮できます。つまり、廃棄した損失が売上原価として、経費に計上されているのです。専門業者に依頼しなければ廃棄できない医薬品であれば、何を、どれくらい処分して、いくらの処分料がかかったのかが分かります。

ただそのような手続きの必要がない医薬品は、何も記録していなければ、処分した日付も、量も不明となります。税務調査のときに、仕入れた医薬品の数量と消化した医薬品の数量を確認されて、差し引きの在庫の数量が違っていれば、指摘されます。そのときに看護師や従業員が廃棄したことを口頭で説明したとしても、それを証明する資料がありません。担当官としても納得しなければ、経費の計上は認めてくれません。

そのため、廃棄するときには、スケジュール帳やノートに日付と医薬品の名称を記載して、写真も一緒に撮って残しておいてください。

それが証拠となります。

ITシステム開発業、人材派遣業、コンサルティング業など、業種によっては棚卸資産がゼロということもあります。

ところが、医院や病院で棚卸資産がゼロということは、ほとんどありません。

心療内科などは少ないとはいえ、医薬品がゼロということはないはずです。医院や病院の税務調査では、担当官が棚卸資産についてかなり時間をかけてチェックするため、注意しましょう。

特に医業収益が上がり、使う医薬品が増えれば、かなり厳密な管理を行わない限り、普通は期末棚卸資産が増えるのです。毎年の期末棚卸資産の金額の推移を見るだけではなく、医業収益に対する比率も計算してみましょう。

 

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