個人事業主の診療所に税務調査が入ったときに、否認されやすい項目を知っておこう①

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2019/01/10
個人事業主の診療所に税務調査が入ったときに、否認されやすい項目を知っておこう①

年が明けると、そろそろ、個人事業主の院長先生は、診療所の確定申告のために必要な資料を集め始めるはずです。基本的には、会計事務所が毎月データを入力していますが、1年に1回検討しなければいけない事項もあります。それに関しては、会計事務所とよく話し合った結果をもとに、確定申告を提出します。

ただ、そのあと税務調査が入るとまったく否認項目がゼロというわけではなく、否認される項目が必ずあります。そこで、税務調査で否認されやすい項目を事前に確認しておき、今年の確定申告のときには特に注意してみてください。

まずは医業収益の計上漏れから確認していきましょう。
「医業収益(売上)が計上漏れになることなんてないよ」と院長先生は考えるかもしれません。ところが、予想以上に指摘される医院や病院が多いのです。しかも、医業収益の計上漏れは税務署の担当官との見解の違いということはありません。

単純な医院や病院のミスが原因であることがほとんどで、医業収益の計上漏れを指摘されたら所得税がペナルティとともに追徴されると考えてください。

 

1. 保険証を忘れた患者さんの医業収益

保険証を忘れた患者の診療について、窓口で精算したときには自費扱いで全額を預かります。
そのあと、保険証を持ってくれば自己負担以外の部分は返金すると患者さんには伝えています。

ところが、そのあと患者さんが来院しなければ、医業収益に計上してしまえばよいのですが、預り金のまま残っていることがあります。これが税務調査のときに指摘されると、医業収益の計上漏れとなるのです。

この事態を防ぐためには、保険証を忘れた患者さんは自由診療として、医業収益を計上しておきます。

その上で後日、保険証が提示されたときに、保険診療の医業収益に振替えるのです。ただ、患者さんは医院や病院の窓口ではなく、健康保険組合に直接請求することもできます。その場合には、保険診療でありながら、その事実が把握できず、自由診療として消費税を納めてしまうことがあります。そのため、患者さんに連絡を取って早めに窓口で精算してもらうように依頼することです。特に、12月末に近い時期に保険証を忘れた患者さんがいたら、注意が必要です。

 

2. 未収となっている患者さんの自己負担分

患者さんが財布を忘れたなどの理由で、自己負担分を支払わないことがあります。

そのあと、患者さんがお金を持ってこない場合でも、この自己負担分は未収金として医業収益に計上しなくてはいけません。

税務調査のときに、社会保険診療の金額と突き合せれば、すぐに計上されていない自己負担分が判明してしまいます。そのあと、患者さんが自己負担分を支払わないことが確定したら、そのとき初めて未収金が貸倒れとして、その年の経費となるのです。

ただそれでも、貸倒れとできるのは、患者さんが支払えないような経済状況の場合だけです。医院や病院が回収努力をせず、支払えるのに回収しないというのでは寄付金となり、経費には計上できません。

そのため、患者さんに連絡を取り、実際に自己負担分を回収する努力を行い、その上で本人が支払える能力がないということを確認する必要があります。税務調査のときにも、回収した努力、例えば患者さんに連絡した日時などのメモが残っていないと、回収努力した証拠を示すことができません。

医院や病院のどの看護師または従業員がいつ、誰に連絡を取ったのか、ノートでもよいですし、パソコンのスケジュール帳でもよいので、記録しておいてください。

 

3. 自家診療の医業収益

院長先生が、家族、看護師や従業員を診察することを、「自家診療」と呼びます。

家族の診療を行った場合には、通常の診療報酬の70%以上を受け取り、それを医業収益に計上しておけばよいとされています。

つまり、社会保険診療であれば、自己負担分は最大で30%ですので、家族から1円ももらわなくとも問題ありません。ただし、薬を使うのであれば、その通常の販売価額の70%をもらう必要があります。こちらも院長先生が処方箋を書いて、その家族は調剤薬局で自己負担分を支払い、薬を受け取るのであれば問題とはなりません。

また看護師や従業員を診察するときも、通常の診療報酬の70%以上を受け取れば、それだけを医業収益に計上しておけばよいとされています。

そのため、同じように社会保険診療であれば、従業員から1円ももらわなくとも問題ありません。

一方、自由診療であれば、家族、看護師や従業員から通常の診療報酬の70%の対価をもらい、それを医業収益に計上しておかないと、税務調査で指摘されてしまいます。

社会保険診療と比べると自由診療の計上漏れが、圧倒的に多くなります。

 

4. 関係者からもらった祝い金

医院開業したとき、または医院の内装をリニューアルしたときには、医療機器メーカーの担当者やMRからお祝い金をもらうことがあります。この祝い金は、医院経営や病院経営に関連してもらったお金です。そのため、医業収益として計上しなければいけません。

一方、院長先生の子供が大学に入学したときにも、同じように祝い金をもらうことがあります。
これは先ほどの祝い金とは、性格が全く違います。あくまで個人的にもらったお金であり、個人からのものであれば贈与、法人からのものであれば一時所得となります。

贈与は1年間で110万円を超えないかぎり、贈与税はかかりません。院長先生が複数人からお祝い金をもらったら、それを合算して判定します。ただ祝い金が110万円を超えることはないでしょう。また一時所得であっても、1年間で50万円を超えないかぎり、所得税はかかりません。

ただこちらに関しても、院長先生の中には、医院開業したときの祝い金も個人的にもらったと主張するかもしれません。ただ両親や親族からもらった場合には、その主張は通るかもしれませんが、事業関係者からのものは、医業収益となります。

実際に、下記のように平成14年1月23日に国税不服審判所で争った院長先生がいましたが、税務署の主張どおり、医院を開業した時に受け取った祝い金は医業収益と認定されています。

 

5. 医院経営や病院経営に付随する売上

医院や病院では、診療所の中や駐車場に自動販売機が設置されていることがあります。その売上も、当然、確定申告のときに計上しなければいけません。眼科であれば、矯正の眼鏡、歯科医院であれば、歯ブラシや歯磨き粉などを窓口で販売していることもあり、その計上漏れが見受けられます。特に、現金でのやり取りがほとんどであるため、忘れがちです。

 

以上の5つの項目については、もう一度、確認してみてください。
税務調査の担当官も個人事業主の医院や病院によくあるミスとして知っているため、必ずチェックされる項目となります。

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