診療科目別に確認する税務調査で否認されないための準備 ― ③

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2018/09/30
診療科目別に確認する税務調査で否認されないための準備 ― ③

前回に引き続き、院長先生が税務調査に対して注意しておくべき項目です。
1回目のときにも解説しましたが、税務調査で否認されそうな箇所に気づけば、早急に見直す必要があります。

前回は内科・小児科と耳鼻咽喉科について確認しましたが、今回は他の診療科目別の項目を見ていきましょう。

 

① 眼科について

眼科は、矯正眼鏡やコンタクトレンズを売っていることが多いはずです。このとき、医療法人で販売しているならば、問題ありません。
一方、個人事業主として販売している場合、親族の名義を使っていることがあります。

例えば、妻の名義を使って販売している場合でも、実質的に院長先生の収入となるはずですので、院長先生が確定申告を行う必要があります。

「薬事法上の事業経営者は妻になっているんだけど、確定申告の事業主と違ってもよいのか」
という質問を受けることがありますが、問題ありません。というよりも、名前を貸しているだけの妻で確定申告する方が問題です。

またMS法人を設立して、矯正眼鏡やコンタクトレンズを販売していることもあるはずです。このとき、MS法人は矯正眼鏡やコンタクトレンズを仕入れるため、資金繰りは楽ではありません。そこで、個人事業主の院長先生や医療法人からお金を貸すことがあります。個人事業主の場合には、お金を貸してもよいのですが、医療法人はMS法人にお金を無暗に貸すことは禁じられています。

そこで、医療法人がMS法人の広告宣伝費や消耗品費を立て替えて支払い、自分の経費として計上していることがあるのです。医療法人がMS法人への立替金として計上すると、実質的には貸付金であるため、監督官庁である都道府県の担当者が知るところとなれば、すぐに精算するように指導されるからです。

この広告宣伝費は、あくまでMS法人の経費となるべきものですので、税務調査で医療法人からの寄付と認定されてしまいます。

つまり、ほとんど経費として認められなくなり、法人税を追徴されることになります。そのため、MS法人の資金繰りが悪い場合には、銀行に融資を申し込むか、院長先生が個人で貸し付けるべきです。

 

② 整形外科について

整形外科は、交通事故による患者の診療行為に対して、保険会社からの医業収益が計上されているかを確認する必要があります。

自賠責保険は、患者ごとに保険会社から支払われるのですが、治療内容や期間が違うため、支払われる時期もバラバラです。

医院や病院が患者の治療過程を管理して保険会社に請求するとともに、その振込み時期を確認する必要があります。請求を忘れていたとしても、診療行為を行っていれば医業収益は計上しなくてはいけません。あとで請求したから、医業収益の計上もそのときでよいわけではないのです。

特に個人事業主の院長先生であれば12月末、医療法人であれば決算日、これを跨いで間違って自賠責保険の医業収益が計上されていないか、税務調査のときに重点的にチェックされます。

さらに、整形外科はリハビリステーションを併設していることが多く、その建物の外装や内装を修繕することがあります。その場合には、下記の例示に従って、修繕費と資本的支出に分ける必要があるのです。

修繕費と認められた部分は経費となりますが、資本的支出となった部分は減価償却として少しずつ経費に計上されていきます。

この2つの区分は金額が小さければ修繕費、大きければ資本的支出というわけではなく、その内容から判断する必要があります。

例えば、リハビリステーションの壁を塗装するとします。
単純に汚れた部分を目立たなくするために塗り直したのであれば、例えば500万円かかったとしても、維持管理又は原状回復として修繕費になります。一方、その塗装剤には特殊な材料が混ざっていて、断熱性能や耐水性能が上がるのであれば、例えばそれが100万円であったとしても、資本的支出となるのです。

修繕費の金額は大きくなりがちで目立つため、税務調査では焦点となりやすい部分です。

 

③ 皮膚科・美容整形外科について

まず、皮膚科や美容整形外科は、化粧品を売っていることが多いはずです。これは眼科の矯正眼鏡やコンタクトレンズと同じ問題が発生します。

次に、美容整形外科の場合には、レーザー治療などは患者に定期的に来てもらうようにチケットを販売しているはずです。その場合には、医療法人に多額の前受金が計上されることになります。しかも、チケットも10回、20回などと種類があると、患者ごとに入金を管理して施術が終わるたびに、前受金を医業収益に振り替える処理が必要となります。さらに、チケットに有効期限がある場合には、その期限が来たときにも医業収益に振り替える処理を行う必要があります。

そのため、患者ごと、かつチケットを発行した日時を管理しなくてはいけません。

税務調査のときには、そのチケットの管理表をチェックされることになります。

最後に、皮膚科や美容整形外科の場合には、自由診療の施術が多く、使う医療機器が日本の薬事法上の許可がないものがあります。外国製のものはかなり高額となるにもかかわらず、院長先生が個人で輸入するためリースを組むことができません。そこで割賦という方法で、分割払いとしている場合も見受けられます。医療機器をリースで買った場合には、毎月の支払金額がリース料として経費になります。一方、医療機器を割賦で買った場合には、通常の固定資産として計上して減価償却を行うことになります。

割賦の支払いは毎月一定のため、リースと同じ処理でよいと勘違いしがちです。

 

④ 産婦人科について

産婦人科は、自由診療で分娩収入の1件当たりの金額が大きくなります。そのため、

1件でも漏れると医業収益が大きく過少計上となり、税務調査で指摘されると追徴される税額も大きくなりがちです。

胎盤を産業廃棄物として処理して経費として計上するときに、その件数について業者から一覧でもらっているはずです。その数と分娩数が合っているか、確認してください。また人工妊娠中絶の手術を行った場合も、胎児の処理費用の一覧が出るため、その数との確認を行う必要があります。

 

⑤ 精神科について

精神科は、患者1人当たりの診療時間が長くなります。特に、長く話をしたい患者に院長先生が対応することができず、臨床心理士に任せることもあります。この臨床心理士によるカウンセラーについても医業収益に計上する必要があります。これが漏れていると税務調査のときに指摘されます。

 

ここまで税務調査で指摘されやすい項目を解説してきました。税務調査のときに指摘される項目が多いとその金額の合計が小さかったとしても、管理がいい加減な医院や病院だと見られてしまいます。

そのような情報は、担当官が異動しても次に引き継がれていくことになっているため、その後も定期的に税務調査を受けることになります。

そのような事態を避けるためにも、税務調査で重点的にチェックされやすい項目は、すべて事前に適正な処理に修正しておきましょう。

 

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