社員を雇って、給料を上げると法人税を控除してくれる特例があります。

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2017/12/30
社員を雇って、給料を上げると法人税を控除してくれる特例があります。

平成25年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に給与等を支給する場合には、次の3つの要件をすべて満たすと、雇用者給与等支給増加額の10%相当額を税額控除できます。

政府は給料をアップさせて、景気を改善したいという目標を掲げています。そのため平成30年3月31日までの制度となっていますが、当分の間は延長されていくと予想されます。

これを所得拡大税制と呼び、医療法人が支払うべき法人税を減額してくれる制度となっています。この制度は経費を増やすのではなく、法人税自体を減らしてくれるので、要件を満たす場合には必ず適用すべきです。

まず言葉の定義ですが、

「国内雇用者」とは、医療法人の従業員のうち、国内の事務所に勤務する雇用者

となります。

このとき、医療法人の理事、理事の特殊関係者(配偶者などのこと)、使用人兼務理事は除かれます。一方、従業員であれば、医療法人の正社員だけではなく、契約社員、パート・アルバイト、日雇いまで含まれるのです。

この雇用者給与等支給額とは、医療法人の場合には国内の事務所しかないため、雇用契約を締結している従業員の給与等の合計のことになります。

次に

「基準事業年度の雇用者給与等支給額」とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度を基準事業年度と定義して、その国内雇用者の給与等の支給額

を指します。
下記は経済通産省のHPで説明されている図になります。

最後に

「平均給与等支給額」とは、前期から引き続き雇用されている従業員だけを対象として、1人当たりの平均の給与等

を計算するのです。

医療法人の場合には、従業員の出入りが頻繁なことも多く、この平均給与等支給額を計算するのが大変になる可能性があります。
ここで間違ってはいけないのは、

所得拡大税制を適用するためには、医療法人の法人税の申告書を提出するときに、最初から申請をしないと認められないのです。

これを当初申告要件と呼びます。つまり、法人税の申告が終わったあとから適用できることに気づいて、修正申告をしても認められないのです。

通常、医療法人は決算日から3ヶ月以内に事業報告書を監督官庁の都道府県(政令都市は市)に提出します。そのため、医療法人の法人税の提出期限も決算日から3ヶ月(通常は2ヶ月以内だが1ヶ月間は任意で延長できる)としている場合が多いと思います。

それでも従業員が多かったりすると、平均給与等支給額の計算が間に合わない場合があります。そのときには、

所得拡大税制による法人税額の控除額がゼロだとしても申告書に添付だけはしてください。当初申告要件を満たせば、あとで税額を変更することができるからです。

もともと、この制度は平成25年度の税制改正で導入されているため、すでに知っている、またはすでに適用しているという医療法人の院長先生も多いと思います。ただ政府は会社が従業員の給料を増やすことで、より景気を拡大したいと考えています。そのため、さらなる恩恵を与えるというのが趣旨で、平成29年度の税制改正によってこの制度を適用しやすく、かつ税額控除の金額を拡大させたのです。

平成29年4月1日以降に開始する事業年度から、当期の平均給与等支給額が前期の平均給与等支給額よりも2%以上増加した場合には、「当期の雇用者給与等支給額-前期の雇用者給与等支給額」×12%を上乗せして税額控除できます。ただしこれらは中小企業者等に該当した場合だけです。

中小企業者等以外の場合には、上記の数式の「12%→2%」として税額控除を上乗せできます。
ここで中小企業者等とは、資本金が1億円以下の持分の定めのある医療法人のことです。では持分の定めのない医療法人はどうなるのでしょうか?

持分の定めのない医療法人の場合には、従業員が1千人以下であれば中小企業者等となります。さらに個人事業主として医院経営や病院経営を行っている場合にも、従業員が1千人以下であれば所得税が税額控除できます。ということで、

医療法人であっても、個人事業主であっても、医院や病院は中小企業者等に該当するはずです。

ここで医療法人に所得拡大税制を適用する場合に、勘違いしやすいポイントがあります。それは平成25年4月1日以後に設立された医療法人は、基準事業年度がありません。そのため、いきなり①の要件を満たせずに、医療法人を設立した初年度は所得拡大税制が使えないと勘違いしている院長先生がいます。ところがこれは逆なのです。

所得拡大税制では、医療法人を設立した事業年度の給与等支給額の70%相当額を基準雇用者等支給額とすると定めていて①の要件を満たせるのです。また前事業年度が存在しないため前期の雇用者給与等支給額がゼロとなり、初年度に1人でも従業員がいれば②の要件も満たします。さらに特例により当期の平均給与等支給額は1円、前期の平均給与等支給額はゼロとされるため、③の要件も無条件にクリアできるのです。

つまり、医療法人を設立した初年度に国内雇用者が存在して利益が黒字ならば、100%所得拡大税制が使えるのです。当然ですが、医療法人で理事長や理事長の配偶者以外に、従業員を雇っていないといけません。でも医療法人を設立するときには、個人事業主として最低でも2-3年は医院経営や病院経営を行ってきたあとになるため、従業員がゼロということは考えられません。

また法人税の税額控除の制度ですので、医療法人が黒字にならないと適用はありません。これも医療法人の場合には初年度からほぼ100%が黒字になるはずです。

個人事業主の医院や病院では、従業員の給料をそこまで上げることができずに、所得拡大税制の適用がなかった場合でも、医療法人を設立した年度は絶対に適用できることになります。

なお最後に、医療法人が所得拡大税制を適用するときに、注意点があります。似た名称となりますが、雇用促進税制という制度があります。雇用促進税制は2018年3月末で終了する制度ですが、今年度は適用ができます。

この制度は事前にハローワークへ雇用計画書を提出して、雇用保険加入者を2人以上(中小企業者等でなければ5人)かつ10%以上増加させるなどの一定の要件を満たすと、増加した1人あたり40万円を医療法人の法人税額から控除してくれるのです。ただし適用できる地域が限定されているため、所得拡大税制ほど使われてはいません。

それでも医院や病院は都市部にだけ集中しているわけではないので、対象となる医療法人は少なくありません。そして、この制度も個人事業主として医院経営や病院経営を行っている場合に、同じ基準で所得税の税額控除ができます。

それで注意点とは、

所得拡大税制は、この雇用促進税制との選択適用となっている

点です。

そのため、どちらも適用できる場合には、どちらが有利になるかをシミュレーションする必要があります。一般的に、新しく雇った従業員が多い事業年度は雇用促進税制が有利になることが多くなります。

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