個人事業者である院長先生は、いつから自分の妻に給与を支払うことができるのか

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2021/01/10
個人事業者である院長先生は、いつから自分の妻に給与を支払うことができるのか

個人事業者である院長先生は、いつから自分の妻に給与を支払うことができるのか

今年も、確定申告の申告時期が近づいてきましたが、1年に1回のことですので、基本的な事項も忘れがちです。そこで、今回は、個人事業者の診療所の院長先生からよく質問される「青色事業専従者給与」について解説します。

まず、個人事業者の院長先生が前提となりますが、確定申告のときには、白色申告と青色申告があります。青色申告は、税務上の特典は多いですが、毎日の医院経営や病院経営について、複式簿記により帳簿へ記録し、その結果を確定申告書に記載する必要があります。

ただし、2014年(平成26年)分からは、白色申告についても「帳簿への記帳」と「帳簿等の保存(期間5~7年)」が義務づけられましたので、帳簿の作成という手間については、青色申告と差がありません。それに、医院経営や病院経営の帳簿への入力、またはデータのチェックを会計事務所に依頼している場合には、会計ソフトを使うはずです。会計ソフトは入力するだけで、自動的に複式簿記となりますので、医院や病院が青色申告を選択していないことはないはずです。

なお、医院開業の初年度は、開業日から2か月以内に「青色申告承認申請書」を所轄税務署に提出する必要がありますが、それを失念して適用できないことはありますので、そこは注意してください。

医院経営や病院経営において、自分の配偶者や子供がその業務を手伝ってくれていることがよくあります。青色申告であれば、配偶者や子供に対して、自分たちで決めた給与を支払うことができます。これを、青色事業専従者給与と呼びます。

所得税は累進課税ですので、所得が分散できれば、かなりの所得税が節税できます。

医師国保についても、世帯単位での加入となり、かつ1人当りで定額の保険料を徴収している都道府県が多く、その場合には、青色事業専従者給与を支給しても金額は変わりません。歯科医師で、国民健康保険料を支払っている場合でも、世帯全体の総所得金額で計算されるため、青色事業専従者給与を支給すると、給与所得控除額など、各種控除の制度により、逆に保険料は減額されます。

それでも、今日から給与を支給すれば、すぐに経費として認められるというわけではありません。原則として、院長先生が青色事業専従者に給与を支給しようとする年の3月15日まで、もしくはその年の1月16日以後に、新たに専従者がいることになった場合には、その日から2か月以内に、下記の「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しない限り、経費とは認められないのです。

この届出書には、月額の給与の金額だけではなく、賞与を支給する場合には、その金額も記載しなければいけません。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/13_14.pdf

ここで、間違ってはいけないことがあります。

それは、上記に記載した範囲内の給与や賞与でなければ、医院経営や病院経営の経費としては認められないということです。

もし金額を超過した場合、この届出書と院長先生が提出する確定申告書を比較するだけで判明するため、税務署が見逃すことはありません。

そして、青色事業専従者の給与や賞与を増額したい場合には、それを変更した給与を支給するまでに、変更届出書を提出しなければいけません。

ただし、毎年、従業員と同じ基準で昇給することになっている場合には、最初の変更届出書にその事実を記載して、かつ給与規定を添付しておけば、それ以降の変更届出書の提出は省略できます。とはいえ、医院経営や病院経営で毎年、同じ基準で従業員の給与を昇給させることはほとんどないはずです。

確定申告によって、昨年度の医院経営や病院経営の決算書を作成して利益を確認して、その上で昇給金額やその年の賞与の金額を決定するのが一般的です。これと合わせて、青色事業専従者給与も変更するはずです。

従業員だけではなく、青色事業専従者給与の変更についても年の途中で行うこともできますが、以上のことから、3月15日までに提出する確定申告と一緒に変更届出書を提出するケースが多いと予想されます。

さらに、誰でも青色事業専従者に該当するわけではありません。下記の3つの要件を満たした者のみが、該当します。

個人事業者である院長先生は、いつから自分の妻に給与を支払うことができるのか

ここで、①で生計を一にする配偶者又は親族としていますので、基本的には、院長先生と同居している者が該当します。そのため、同居していない子供が医院経営や病院経営を手伝ったときには、青色事業専従者ではなく、一般の従業員となります。

そのため、給与を支払ったとしても、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出も必要なく、給与や賞与の金額を変更することも自由です。それでも、あくまで労働の対価として適切な金額を支給しなければいけません。他の従業員と比較して、過大な金額となっていれば、その超過した金額は経費として認められません。

次に、②は当然としても、③については、よく質問があります。③のポイントは、「6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)」において、かつ「青色申告者の営む事業に専ら従事している」という点です。

「6月を超える期間(一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)」

とは、1月1日から12月31日まで、医院経営や病院経営を手伝っているならば、「6か月超の勤務が必要となる」という意味です。

ところが、年の途中まで、妻が別の医院や病院の看護師として働いていて、例えば、7月にそこを退職して、8月から夫である院長先生の医院や病院を手伝ったとします。その場合には、8月から12月まで、5か月間しかありません。6か月超が必要とすれば、今年は妻に対して、青色事業専従者給与を支払えないことになります。

ところが、原則は6か月超ですが、括弧の中に「一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間」として例外を認めているのです。

そのため、8月から12月の間の5か月間の中で、2分の1超の勤務期間があれば、青色事業専従者給与を支給できることになります。

これについては、妻が他で勤務していた時だけではなく、例えば、産休で6か月以上休んでいるときにも、病気になって入院したときにも、医院経営や病院経営を手伝える期間で、その2分1超勤務していれば、問題ないことになります。

また、妻が子供の幼稚園の送迎や食事の世話などで、1日の医院や病院の営業時間である9時間のうち、5時間しか手伝えないとします。それでも、「5時間÷9時間=55%」となり、2分の1超は従事しているため、青色事業専従者給与を支給することが認められます。

最後のポイントが、「青色申告者の営む事業に専ら従事している」という点です。

「専ら従事」という定義ですので、妻が副業をしたとしても、医院経営や病院経営の業務に支障をきたさなければ、青色事業専従者給与を支払うことは認められます。

一方、副業の売上が上がってきて、そちらに時間をかなり割くようになると専従とみなされず、青色事業専従者として認められなくなるのです。これについては、売上の規模だけで判断するのではなく、業務の実態で判断します。

例えば、妻の両親が亡くなり、アパートを相続したとします。アパート経営のために、妻が清掃をしたり、修繕の見積もりを取ったり、領収書の整理から、様々な雑用を行えば、かなり時間が取られます。アパートからの賃貸収入が小さくても、医院経営や病院経営に「専ら従事していない」と判断される可能性があります。

ところが、アパート経営からの賃料収入が大きかったとしても、不動産管理会社にすべての仕事を丸投げして、自分はまったくその業務に関与しないとすれば、医院経営や病院経営に「専ら従事している」と認められるのです。

なお、夫と子供の両方がそれぞれ、医院開業した場合に、妻が夫である院長先生の青色事業専従者となれば、子供の青色事業専従者、及び従業員としては認められません。

 

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