歯科医院は医療費控除の判定が難しいが、正しく患者さんに説明しよう

住所
  • tel:03-3539-3047
  • 初回相談料の特典はコチラ
医院経営/病院経営コンサルティング > 歯科医院の経営に特有な戦略やテクニックを知りたい方 > 歯科医院は医療費控除の判定が難しいが、正しく患者さんに説明しよう
2018/12/30
歯科医院は医療費控除の判定が難しいが、正しく患者さんに説明しよう

年末から年明けにかけて、患者さんは確定申告の医療費控除で使うために、歯科医院からの領収書を集計し始めます。不明な点や疑問点があれば、歯科医院に連絡をしてきます。または領収書を再発行して欲しいと依頼されることもあるでしょう。

ただ受付の従業員や歯科衛生士がまったく医療費控除の知識がないと、間違った助言をして、あとでクレームにつながることもあります。そのため1年に1回程度、院長先生から従業員や歯科衛生士に対して医療費控除について説明すべきです。ただ判断に迷うような事例については、税務署や税理士に聞いてもらうべきですので、基本的な知識だけで十分です。

 

(1) 10万円超の部分のみ

医療費控除は、下記のように計算を行い、1年間で最大200万円までとなります。

この計算式を見て分かるように、1年間で10万円超の医療費を使わないと、医療費控除の申告はできないことになります。それでも、歯科医院の場合には、1年間で何度も通う人も多く10万円を超えることもあるはずです。しかも、

この医療費は同居している家族の領収書を合算して構わないことになっているのです。

そのため、歯科医院の領収書だけではなく、同居している両親が内科にかかった領収書も合わせて、10万円を超えていればよいことになります。とすれば、予想以上に多くの患者さんが医療費控除の申告を行えることになります。

 

(2) 対象となる医療費は、治療のために限られる

歯科医院が発行した領収書がすべて医療費控除の対象となる訳ではありません。あくまで治療のための領収書に限られるのです。

① 治療のための費用
歯科医院で院長先生の診察のもと、虫歯を治療するための費用は、医療費控除の対象となります。簡単に言えば、社会保険診療による治療であれば、患者さんの自己負担部分の金額が対象となります。

② 高価な材料を使用した歯の治療費
歯科医院では社会保険診療による治療であっても、歯の被せものだけ健康保険の適用がないものを使うことがあります。

例えば、金やポーセレン、セラミックの費用であっても、それがなければ治療は完了しないのですから、医療費控除の対象となるのです。

③ 歯列を矯正するための費用
発育段階にある小学生や中学生の子供の成長を阻害しないという理由で歯列を矯正した費用は、医療費控除の対象となります。つまり、院長先生が「治療が目的で歯列を矯正する」と指示すれば、対象となるのです。とはいえ、美容整形の一環として行われる歯科矯正は対象外となります。ただそれは例外であり、一般的には医療費控除の対象となることがほとんどだと想定されます。

④ インプラントや入れ歯の費用
インプラントの費用は、かなり高額となるため、患者さんは医療費控除の対象になるのか迷うかもしれません。それでも、インプラントを装填するためには手術が必要となり、これは歯科医院の院長先生による診療と治療そのものです。
そもそも食べ物の咀嚼に必要な義歯の装填であり、美容整形などの目的ではありませんので、全額が医療費控除の対象となります。同じように、入れ歯の費用も全額が対象です。

以上のことから、

歯科医院では歯のメンテナンス、クリーニングなどの予防歯科を除けば、ほとんどが医療費控除の対象となるのです。

 

(3) いつの時点で控除の対象となるのか

医療費控除は、医療費を支払った日が属する年度で申告します。例えば、歯科医院で歯列の矯正の治療を1月から初めて、12月末までの1年間でちょうど終了したとします。

治療費の総額が100万円のところ、1月に50万円を支払ってもらい、残りの50万円は12月末の治療が完了した段階で支払ってもらう契約にしました。ところが、12月末ぎりぎりになってから治療が完了したことで、患者さんの50万円の支払いが翌年1月になったとします。当然、歯科医院が発行する領収書の日付も治療が完了した日ではなく、翌年の50万円を受け取った日を記載します。

このときは、今年の確定申告では50万円だけが医療費控除の対象となるのです。治療が12月末で終わっていたとしても、それは関係ありません。あくまで支払った日、つまり残りの50万円は翌年の確定申告のときに医療費控除の対象となるのです。

では、患者さんがクレジットカードで分割払いしたら、どうなるのでしょうか?

クレジットカードの発行会社は、患者さんに代わって立替えて、あなたの歯科医院に全額を支払ってくれます。そのあと、患者さんはクレジットカードの発行会社に分割で利息と一緒に返済していきます。そもそも歯科医院も、患者さんがクレジットカードを使った日の日付で領収書を発行しているはずです。そのため、その日付が属する年度で、患者さんは医療費控除を申告することになります。

このとき間違えやすいのは、12月中にクレジットカードで支払った場合です。
1回払いであっても、分割払いであっても、患者さんの口座から引き落とされるのは翌年1月からとなります。それでも、

クレジットカードを使った12月が属する年度の医療費控除の対象となるのです。

さらに、歯科医院によっては、患者さんに治療費の全額を前払いしてもらうことがあります。例えば、9月から治療が始まったとして、最初に治療費の全額である100万円を患者さんに支払ってもらったとします。この治療が完了したのが翌年1月となった場合には、100万円の一部に前払金が含まれていることになります。

それでも9月から始めていて、治療の大部分が今年中に終わっているのであれば、全額を医療費控除の対象として構いません。やはり支払った日で判定するのです。ただ12月に100万円を前払いで支払ったが、それに対応する治療は翌年の1月から始まったなど、ほとんどが前払金であれば、今年ではなく翌年の医療費控除の対象となるのです。

実際に医療費を支払っていることだけではなく、それが治療の対価と認められる年度でなければ、医療費控除の対象とはなりません。

なお最近の税制改正によって、医院や病院の領収書を確定申告書に添付して提出する必要はなくなりました。毎年、大量の医療費の領収書を保管しておくだけでも、税務署のコストはかなりかかっていたようです。とはいえ、税務調査があったときには、医院や病院の領収書を開示する必要があります。

facebook
twitter
google+

コンサルタント必見の書籍 医院経営のからくり