歯科医院の医業収益は早く計上されてしまうので、資金繰りに気をつける

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2018/05/10
歯科医院の医業収益は早く計上されてしまうので、資金繰りに気をつける

1. いつ医業収益を計上するのか?

診療報酬の医業収益を計上する時期は、税法上、その診療行為などの役務提供が完了したときになります。社会保険診療であれば、窓口で患者から3割負担分を受け取り、翌月にレセプトを集計して7割負担の部分を支払基金へ請求します。

ただこの手続きとは関係なく、窓口で3割を患者からもらった時点で、100%が医院経営や病院経営としての医業収益を計上する時期となります。

例えば、3月末が決算日の医療法人の場合、3月分の社会保険診療は翌月の4月の初旬に支払基金に請求します。そこから実際に入金されるのが5月末であったとしても、あくまで3月の医業収益として今期の決算に計上されるのです。このとき、記載の間違えなどの理由で返戻レセプトがあれば、現金が入金されるのは、さらにその2ヶ月後となるため、最大4ヶ月後にズレ込むこともあります。それでもあくまで、3月の医業収益として今期の決算書に計上します。

自由診療であれば、窓口で現金で支払うこともありますが、全額をクレジットカードで決済する患者も多く、それは約2週間後に入金されます。ただそれも関係なく、あくまで院長先生が自由診療の治療を完了して請求をした時点で、医業収益を計上する必要があります。このように医院経営や病院経営では医業収益の計上時期と実際に現金が入金される時期が異なります。

一方で、診療所の家賃や歯科衛生士などへの人件費は、毎月支払う必要があります。先に経費の支出があっても、あとから入金があります。そのため、開業時や医院経営や病院経営の医業収益が伸びているときには、運転資金が切迫することがあり、資金繰りには注意が必要です。

 

2. 歯科医の歯列矯正料の医業収益の計上時期は?

歯科医院が行う歯列矯正では、患者との事前の契約に基づいて矯正装置を装着します。最近では少しずつ矯正する期間は短くなっているとはいえ、最低でも1年、長ければ数年かけて矯正を完了させるはずです。このとき、歯科医院はいつの時点で医業収益を計上すべきなのでしょうか?

実は、歯列矯正が完了した日ではありません。

矯正装置などの装着を行って、契約に従って患者に対して診療報酬の支払いを請求した時に、医業収益を計上するのです。

患者はクレジットカードでの支払いが多いと予想されますが、その場合でも入金日ではなく、請求日が医業収益を計上する日となります。

歯科医院の院長先生の中には、
「えっ、でも歯列矯正の役務の提供が完了していないのだから、それまでは医業収益に計上する必要はないのでは?」
「途中で契約を破棄して、歯列矯正を止めてしまう患者もいて、返金が必要となるから、それはおかしい」
という疑問を持つようです。

ただ税務上では、矯正装置を装着するなど一定の役務の提供が終了して、契約において支払日が定められていて、かつ患者が解約しない限りは返金しないという条件であれば、一括で医業収益を計上することになっているのです。

例えば、3月末が決算日の医療法人があり、1月に矯正装置を装着したことで、患者から全額を前払いでもらったとします。そうなると医業収益はその時期に計上されてしまい、翌期の5月末にはそれに対応する法人税も消費税も申告して、納付することになります。ところが、その歯列矯正したあとの保守メンテナンスにかかる診療所の家賃や歯科衛生士の人件費はあとでかかってくるのです。

またあとで、歯列矯正を解約した患者がいた場合には、お金を返金したときに損失として経費に計上することになります。その場合には、

先に法人税や消費税を支払っているにも関わらず、あとで返金するのですから、医療法人の資金繰りにとってはかなり悪い影響を与えることになります。

歯科矯正を行っている歯科医院は運転資金に余裕をもって医院経営や病院経営を運営する必要があります。

ではそもそも、これを回避する方法はあるのでしょうか?

歯列矯正を行う程度に応じて、患者に請求を行う契約にしておけば、その都度、医業収益を計上すればよいことになります。
例えば、矯正装置を装着した段階で、全体の70%程度を基本料金として徴収し、残りは保守メンテナンスを行う都度、請求するという方法です。残りの30%は少しずつ医業収益に計上されるため、かなり法人税や消費税の負担は減ります。

 

3. デンタルローンを組んだ場合の医業収益の計上時期は?

歯科医院の場合には、入院しなくても、歯列矯正、審美歯科、インプラントなど、患者が高額な治療費を支払うことが多くあります。その場合、歯科医院がローン会社と組んで、デンタルローンを患者に紹介することがあります。

デンタルローンの仕組みは、ローン会社が患者に代わって、歯科医院に一括で診療報酬を支払い、あとで患者から分割で金利とともに返済を受けるものです。

この仕組みの中では、歯科医院の院長先生が診療した時点では患者からの入金は一切ありません。それでも自由診療という役務の提供が終わっていて、患者の代わりにローン会社が立替てくれているので、一括で医業収益に計上する必要があります。

注意点は、ローン会社からの入金時に医業収益を計上するわけではないことです。患者への役務提供が終わって、患者に請求した時が医業収益を計上する時期となります。この場合でも、医業収益が先に計上されてしまうため、資金繰りには注意が必要です。

 

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