社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

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2020/05/20
社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

医院経営や病院経営では、そこで働く医師(医療法人の理事も含む)や看護師のために、社宅の制度を導入していることが多くあります。特に、医院や病院は駅近のビルで開業しているよりも、郊外にあることの方が多いのです。そこに通ってもらう優秀な人材を確保するために、社宅の制度はぜひ検討すべきです。

それで前回のブログでは、実際の社宅を医師や看護師に貸与したときに、本人たちが負担すべき金額の計算について、基本的なことを解説しました。今回のブログでは、負担すべき金額の計算以外に、院長先生から質問を受けるため、それについて回答していきます。

ここでもう一度の確認となりますが、税務調査で医師や看護師から徴収すべき金額を間違っていたことが分かったとします。すると、医師や看護師の給料とみなされてしまいますが、個人事業主の院長先生の必要経費や医療法人の経費としては認められるのです。それでも、給料とみなされた部分は、突然、過去に遡って所得税を課税されてしまいます。

例えば、医師や看護師が月額10万円の賃料の社宅に住んでいたとします。本人たちの給料から2万円を徴収していれば、差額の8万円が自己負担のない賃料となります。ところが、税務調査によって、8万円のうち3万円が給料とみなされてしまいました。しかも、過去3年分、かつ医師1人、看護師4人が該当したとします。すると、下記が追加で所得税の対象となる金額となるのです。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

すでに退職している医師や看護師がいれば、連絡するのは無理ですし、現在、働いている医師や看護師から、遡って所得税を負担してもらうことも難しいはずです。

とすれば、個人事業主の院長先生、または医療法人が負担するしかありません。

しかも、源泉徴収漏れとなりますので、加算税などのペナルティも追徴されるのです。あとで、このような事態にならないように、社宅については正確な知識を持っておきましょう。それでは、院長先生からよくされる質問に答えていきます。

 

① 社宅の賃料をゼロにできるのか?

院長先生から、

「知り合いの医療法人では、看護師の社宅の負担をゼロにしていると聞いた」

と質問されることもあります。

所得税法においては、「給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物でその職務の性質上欠くことのできないもの」は非課税としてよいと定めています。社宅の貸与は、「金銭以外の物」に該当します。

そのため、社宅の貸与で一定の場合に該当すれば、医師(医療法人の理事を含む)や看護師が一切の負担をしなくてもよくなります。

これについては、税務署が具体的な事例として列挙しています。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

上記の「通常の勤務時間外においても勤務を要することを常例とする」という条件には、「看護師」が該当するとしています。それでも、あくまで事例ですので、看護師だけではなく、医師や医療法人の理事であっても、この条件に当てはまれば、貸与された社宅の賃料を1円も負担せずに住むことができます。

さらに、下記のような事例も最近ではあり得ます。

いつもは医院や病院に自宅から電車で通っている医師がいたとします。ところが、感染症対策で、医院や病院の近くに常時待機してもらうことになりました。仕事のためだけではなく、この医師が電車で通って来るときに感染症にかかれば、元も子もありません。

そこで、医院や病院の近くのホテルを借りて、3か月間から半年間はそこを社宅として住んでもらうことになりました。常識的に、ホテルのルームチャージは賃料ではないですが、ここでは仕事上必要ですので、無償で貸与しても給料として課税されることはないのです。ただし、ホテルを借りた理由が別であれば、対応は違ってきます。

例えば、社宅に住んでいた医師が辞めることになり、新しい医師にそのまま貸与する計画があったとします。ところが、診察している患者との関係で、辞める時期が2か月程度伸びたとします。その間、新しい医師もすでに医院や病院で働いていることから、2か月間だけホテルに宿泊してもらいました。

このときには、ホテルのルームチャージの負担について、無料とはできません。それでも、その医師の本人の責めに帰すべきところはありません。それに辞めることが遅れたことにも合理的な理由があります。

ということで、新しく勤務した医師から、貸与するつもりだった社宅に対して負担すべき金額を徴収しておけばよいことになります。

 

② 水道光熱費も負担できるのか?

社宅の水道光熱費は1か月間であれば2-3万円程度であっても、1年間の合計で、かつ制度を利用している医師や看護師の全員分となれば、かなりの金額となります。これらを個人事業主の院長先生や医療法人が負担することはできるのでしょうか?

所得税の通達には、下記の記載があります。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その2

寄宿舎と記載されてますが、寮なども含まれます。これらの水道光熱費は、建物全体に対してかかるため、誰がいくらを消費したのか不明です。そのため、これらの水道光熱費は、医師(医療法人の理事も含む)や看護師が負担する必要はなく、その全額を個人事業主の院長先生の必要経費、または医療法人の経費として計上できます。

ただし、寄宿舎や寮ではなく、マンションは当然のこと、アパートが社宅となっており、部屋ごとの水道光熱費が区別して計算できるのであれば、それは本人の負担にしなくてはいけません。個人事業主の院長先生、または医療法人が一旦は支払って、同額を本人から徴収する方法でも構いません。とにかく、徴収していなければ、あとから水道光熱費の金額は給料とみなされます。最近は、寄宿舎や寮よりも、マンションやアパートを社宅する方が一般的となっていますので、通常は本人負担となります。

それでも、寄宿舎や寮というケースもゼロではないため、その場合には水道光熱費については、医師や看護師の本人負担はゼロとしてあげましょう。

これ以外にも、社宅については様々な論点がありますので、それは次のブログで解説します。

 

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