社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

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2020/05/10
社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

医院経営や病院経営では、医師や看護師のために、社宅を用意することがあります。他人の物件を借り上げて貸与するのは当然できるとして、賃貸物件を購入してそれを貸与しても構いません。

また、医療法人でなくても、個人事業主の院長先生が賃貸物件を医師や看護師に貸与して社宅とすることもできます。

どの場合であっても、原則、理事が社宅の賃料の一部を負担する金額、理事ではない医師や看護師が社宅の賃料の一部を負担する金額については、下記の国税庁のHPに記載されている金額以上とする必要があります。

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No.2600 役員に社宅などを貸したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm

No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2597.htm
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読んでいただければ分かりますが、理事(上記では役員となっている)の社宅であっても、医師や看護師(上記では使用人となっている)の社宅であっても、実際の社宅の賃料の2分の1以上を負担してもらえばよいとされています。負担するとは、給料を受け取って所得税を支払った残りで支払ってもらうことを指します。

実務上では、給料からその金額を天引きしてから振り込まれることが、ほとんどのはずです。

例えば、看護師の月額の給料が50万円とすると、社会保険料が7万1,000円、所得税が1万9,000円となり、社宅であるマンションの賃料が10万円とします。ここで、看護師が社宅の賃料の2分の1を負担するとすれば、5万円です。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

社宅の賃料の残りの2分の1の5万円については、理事、医師、看護師が負担していなくても、個人事業主の院長先生の必要経費、または医療法人の経費として計上できます。結局、看護師は5万円の負担だけで、賃料10万円のマンションに住めるのです。

この社宅の制度の話を聞いた院長先生から、

「結局、私の負担が増えるだけではないか?」
「2分の1の負担とすると、10万円の賃料のマンションと20万円の賃料のマンションを借りる人の間で不公平となる」

と言われる方もいます。
その場合には、医師や看護師の給料について、自分で負担しなくてもよい金額と同額を下げてもよいのです。そうすれば不公平もなくなります。

先ほどの事例では、社宅であるマンションの賃料が10万円でしたので、看護師の月額の給料を50万円から45万円に下げます。すると、社会保険料は6万3,000円、所得税は15,000円となります。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

この社宅制度を活用しなければ、下記が看護師の手取り金額となります。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

ここから、10万円のマンションの賃料を支払うので、31万円が看護師の実質的な手取りとなります。

所得税は累進課税となりますので、医師などは、この給料が高いため、かなり得となるはずです。メリットがある社宅の制度ですが、医院や病院が導入するときに間違ってはいけない点が3つあります。

 

① 医療法人は院長先生だけを対象にしてはいけない

先ほど、医療法人だけではなく、個人事業主の院長先生でも社宅の制度を導入できると解説しましたが、個人事業主の院長先生が、自分の住む家を社宅とすることはできません。持ち家はもちろんですが、他人からの借り上げた物件であっても認められません。

一方、医療法人の場合には、院長先生に対してでも、親族である理事に対してでも、社宅を貸与することは認められています。とはいえ、厚生労働省からは、「役員等への特別な利益の供与等」は、配当類似行為とみなすとされています。

そもそも、医療法第54条において、「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定められているため、配当類似行為は禁止されているのです。この「特別な利益の供与等」の中には、院長先生など理事にのみ社宅を貸与する行為も含まれています。

そこで、医療法人で社宅の制度を採用するならば、就業規則にその旨を記載して、理事に限らず、誰でも利用できるようにしなければいけません。

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【重要】剰余金の配当禁止に抵触するおそれのある取引(例)
http://www.success-idea.com/dl/202004271212547.pdf

▶ 役員のみを対象とする福利厚生(社宅の貸与等),役員による法人資産の私的流用
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それでも、医院経営や病院経営において、人材の確保は最重要課題です。

社宅の制度によって、医師や看護師が募集しやすくなったり、辞めないことにつながるのであれば、導入すべきです。

 

② 固定資産税の課税標準額は軽減される前の金額を使う

先ほど、実際の賃料の2分の1以上を理事、医師、看護師から徴収すればよいと解説しましたが、上記の国税庁のHPには、それ以外の方法で計算してもよいとしています。

計算式を確認すると、固定資産税の課税標準額を使っています。2分の1に比べて、こちらで計算した方が、医師や看護師が負担すべき金額は絶対に安くなります。しかも、その差は少しではありません。実際に計算してみなければ分かりませんが、今までの私の経験上では、社宅の賃料の約10%から20%程度になりました。

このときの注意点として、「固定資産税の課税標準額」とは、市町村の「固定資産課税台帳に登録された価格」となることです。

そもそも住宅用地の土地は、下記の特例措置が適用されて、固定資産税を計算するときには評価が下がるのです。どの市町村でも同じ特例措置があります。

社宅に備え付ける家具の購入対価や水道光熱費を、医院や病院が負担してもよいのか?-その1

それでも、この特例を適用した低い価格を使って医師や看護師から徴収すべき社宅の賃料を計算してはいけないということです。

 

③ 2つの社宅を認めるときには、面積を合算する

個人事業主の院長先生は分院を出せませんが、医療法人の場合には分院を出すことが認められています。

例えば、現在、東京の本院で働いていた医師がいたとして、来月から埼玉の分院長として働いてもらうことにします。分院長となる場合には、原則として医療法人の理事に就任します。このとき、東京の本院の近くの社宅に住んでいたところ、埼玉の社宅に異動してもらうように伝えました。ところが、分院長となる医師の子供が小学校に通っている関係で、東京の社宅はそのまま借り続けたいと主張されたのです。

さらに、埼玉の社宅も用意して欲しいと要望されました。医療法人としては、分院長として転勤してもらうためには要求に応える必要があります。

税務上でも、合理的な理由があれば、1人の理事に対して社宅が2つあっても認められます。

ただし、ここで注意点があり、2つの社宅の面積を合算して、下記の小規模な住宅を判定する必要があるのです。

小規模の住宅に該当しない場合には、下記の国税庁のHPにも記載されていますが、その理事が負担すべき金額の計算式が変わってきます。簡単に言えば、負担すべき金額が増えることになります。

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No.2600 役員に社宅などを貸したとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2600.htm

小規模な住宅とは、法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。
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上記の社宅に付いては、院長先生からは、もっと突っ込んだ質問も受けています。
それについては、次回のブログで解説していきます。

 

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