専従者である妻や、理事である妻に支払う給料は、いくらが妥当なのか?

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2019/05/10
専従者である妻や、理事である妻に支払う給料は、いくらが妥当なのか?

毎年、人事院から「職種別民間給与実態調査」と題して、4月時点での全国の給与の平均額が発表されます。平成30年分は、下記のようになっています。

これを見ますと、看護師で月額31万円、准看護師で月額26万円程度となっています。当然、これとは別に、賞与が支給されているはずです。ただし、あなたの医院経営や病院経営で、この給与と同水準にすべきと言っているわけではありません。参考にはなりますが、それぞれの医院や病院特有の事情があるからです。

では、なぜこの表を示したのだと思いますか?

それは、院長先生から、
「配偶者である妻が、個人事業主の専従者として働いてもらっているが、いくらの給料であれば税務上、認められるのか?」

または、
「配偶者である妻が、医療法人の理事に就任しているが、いくらの給料であれば税務上、認められるのか?」
と質問されることがあるからです。

あなたの医院や病院で働いている看護師や従業員と同じ仕事であれば、同額程度の給料を支払えばよいのですが、配偶者である妻は、それ以外の仕事をしていることが多いはずです。

例えば、医院や病院の経理や給与計算であったり、看護師をまとめる役割などです。そのため、単純に比較できないことがあります。特に、給料計算は他の看護師や従業員に見せたくないという理由から、妻が会計事務所や社会保険労務士と連絡を取って、作業をしていることがほとんどのはずです。このとき、妻にはいくらの給料を支払えばよいのかという点で、先ほどの職種別民間給与実態調査が参考になります。

例えば、配偶者である妻が看護師であり、かつ経理や給与計算をしていたとします。職種別民間給与実態調査から、看護師の給与は月額31万円でした。これに経理や給与計算をしている分も加算すれば、最低でも月額41万円、年額500万円程度を支払っても問題ないことになります。

さらに、配偶者である妻が、医師などの免許を持っていて医院経営や病院経営を手伝っているとすれば、それだけで月額90万円の給料が平均となります。これに経理や給与計算の作業量を加算すれば、最低でも月額100万円は支払えるはずです。

そして、理事であれば、理事会への出席やそれに伴い責任も負うことから、例えば、月額50万円をプラスしたとして、月額150万円、年額1,800万円の給料を支払えることになります。

なお、ここまでの給与の金額は、あくまで妻が毎日、看護師として、または医師として医院や病院に勤務することが前提です。1週間のうち3日しか出勤しないなどの事情があれば、その分は差し引く必要があります。ときどき、「妻は給与として所得税を支払っているのだから、税務署にとやかく言われる筋合いはない」と主張する院長先生もいます。

妻が受け取る給料は、個人事業主が届出を忘れていて、全額が経費と認められなかったとしても、医療法人で社員総会を開催していないことで、全額が経費として認められなかったとしても、所得税法上は給料となります。

同様に、税務調査によって、個人事業主から、または医療法人から妻への給料が過大だと否認された場合でも、単純に過大部分が経費に算入できないだけで、妻は否認された金額も含めて所得税を納めることになるのです。

つまり、二重課税となってしまうので、妻への給料は慎重に決める必要があるということです。

そして、過大給与以外にも注意すべき点があります。
まず、あなたが個人事業主として医院や病院を経営していると、専従者給与は事前に、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出している場合だけ、認められることになります。

そこには、月額の給与とは別に、賞与を支給する場合には、その時期とその金額を記載しておかなければ、認められません。

届出の時期は、支給することにした3月15日までとなっています。もし新たに開業したときには、開業日から2か月以内、新たに専従者として働いてもらったときには、その日から2か月以内に届出を提出しなければ、その年の専従者給与は認められません。もし期限までに間に合わなかった場合には、翌年から支給するしかありません。

そして、月額の給与の昇給方法を変更したり、賞与を支払うことにするなど、条件に変更があった場合には、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を変更したい年の3月15日までに提出しなければ、認められません。

さらに、注意点は専従者も電車通勤するならば、通勤手当を支給することもあります。これも給料に含まれるため、これを加算した上で給料として届出に記載しておかないと、その分が経費として認められないことになります。

次に、あなたが医療法人として医院や病院を経営していて、妻が理事として就任している場合です。

理事には定時社員総会で月額の給料を決定したら、それから毎月、同額の給料を支払う必要があり、賞与は原則支払うことができません。

また妻が新たに理事に就任したときには、その就任させる臨時社員総会で給料を決定して、最初の月から同額で給料を支払う必要があります。ただし、医療法人の場合には、事前に理事の給料について税務署に届出を提出する必要はありません。また通勤手当は給料とみなされないため、実費相当分を支給する限り、社員総会での決議も必要なく、経費として計上することができます。

このように、配偶者である妻に支払う給与については、その金額の多寡だけではなく、手続きも漏れないように注意しましょう。

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