現場でよくある質問
専門医に支払う報酬は、源泉徴収が必要になるのか?
あなたが、源泉徴収と聞くと、看護師や社員への給料を思い浮かべると思います。
給料を支払うときには、税務署で決められた金額の源泉徴収を差し引くことが義務付けられています。
源泉徴収しないと、医院や病院側にペナルティがかされることになります。
例えば、アルバイトの医師に、30万円の給料を支払うとします。このとき、5万円の源泉徴収を取り忘れたとします。これを返還してくれれば、納付漏れとして、延滞税などがかかるだけで終わります。
ところが、すでにアルバイトの医師と連絡が取れなくなり、返還されないときに、税務署が、個人の医師を捜索して、徴収しに行くはずもありません。そこで、医院や病院が下記のように、その医師に37万円の給料を支払ったとみなされ、7万円を源泉徴収漏れと認定されてしまうのです。
しかも、医院や病院には、7万円に対しての延滞税も発生するのです。
このように、源泉徴収漏れは最悪です。
ただ、通常は、給料に対するものしかないのですが、特殊な技術を持つ人に支払う報酬にも、医院や病院が源泉徴収する義務があると決められています。
例えば、弁護士、税理士、司法書士、測量士などは、原則10%で、1回に支払う金額が100万円を超えるときには、その部分は20%となります。それ以外にも、広告やポスターのデザインに対する報酬やホームページの原稿を作ってもらった報酬にも、医院や病院が源泉徴収を行う義務があります。同じように、麻酔専門医などに対して支払う報酬に対して、源泉徴収が必要になるかどうか、迷うことが多いようです。
結論は、義務はありません。
ただし、その専門医に支払った報酬が、業務委託報酬なのか、給料なのかを、税務署と争うことがあります。給料とみなされると、源泉徴収の義務が発生してしまうからです。
このとき、医院経営や病院経営を行う上で、特殊な事情がないかぎり、専門医が常勤することは考えられないため、個人事業主に対する支払になるので、源泉徴収は必要ないと考えられます。
もちろん、あとで、税務署から指摘されないように、専門医との業務委託契約書を作成し、それに従って報酬を支払うようにしてください。