医療法人化するときの最大のデメリットは、負債の引継ぎができないこと

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2019/05/30
医療法人化するときの最大のデメリットは、負債の引継ぎができないこと

医療法人を設立すると、今までは個人事業主として、利益に対して院長先生は所得税を支払っていましたが、これからは利益に対して法人税を支払うことになります。そもそも、日本の財政は苦しいため、消費税も含めて、税金は上がる傾向にあります。

ところが、法人税を上げてしまうと、海外の法人が日本に進出してくれないだけではなく、日本の法人も本店を移してしまいます。下記は、経済産業省が発表している、「平成30年度 経済産業関係 税制改正について」から抜粋した表となります。

今まで法人税率が高かったアメリカが減税で27.98%、フランスも28%と下げるため、日本とドイツが並んで、世界でもっとも法人税率が高い国となってしまいます。

ということで、これからも法人税率を下げなければ、日本は世界の競争に負けてしまいます。そのため、所得税率が上がることはあっても、法人税率が上がることはないでしょう。このことからも、医療法人を設立する方が、支払う全体の税金は少なくなります。

ところが、医療法人を設立するときには1つだけ、大きなデメリットになり得ることがあります。

それは、院長先生の可処分所得が減ることです。

個人事業主のときには、医院や病院の所得はすべて個人の通帳に入ります。一方、医療法人を設立すると、その利益は医療法人の通帳に残り、あくまで給料として支払われて所得税と社会保険料が差し引かれたあとのお金が、院長先生の通帳に振り込まれるのです。

ということで、医療法人を設立すると、院長先生が、
「俺の通帳の残高が、予想以上に増えない」
と愚痴を漏らします。

それだけであれば、問題はありません。
というのも、院長先生の可処分所得が減ったとしても、そこから看護師や従業員の給料を支払ったり、医薬品を仕入れたり、医療機器に投資するわけではありません。低い法人税率を支払って、医療法人に税引後利益として貯まったお金を使えばよいのです。そのため、通常はこれが大きなデメリットとはなりません。

ところが、医療法人を設立するときに、個人事業主の院長先生が金融機関から多額の借金をしていると少し話が違ってきます。というのも、金融機関が承諾すれば、医療法人に移転される資産に見合う借金を承継させることができます。

ただし、あくまでも現存する資産に対応する金額が認められるだけです。運転資金に対応する借金については、金融機関が承諾しても、主務官庁である都道府県が許可しません。その場合には、下記の計算式によって借金の一部が院長先生に残ることになります。

院長先生の個人事業主の時代が10年超などと長い場合には、借金がほとんど残っていないため心配する必要はありません。また医療機器をほとんどリースで組んでいる場合なども、リースの債務は医療法人に引き継げます。

ところが、個人事業主として開業して3年以内であったりすると、最初の年の運転資金の借金が回収できていません。または、自分で開業したわけではなく、個人事業主の医院や病院を買収して開業することもあります。その場合には、営業権が計上されていて、これは資産性があると都道府県が認めないため、医療法人には引き継ぐことができないのです。

すると、これらに見合う借金はそのまま、院長先生個人に残ってしまいます。

そのあと、院長先生は給料の可処分所得から生活費を差し引いて残ったお金で、その借金を返済していくことになります。そうなると、医療法人を設立したことによって、院長先生の通帳の貯金が減っていき、それでも完済できればよいのですが、最悪は個人の返済についてはリスケするハメになってしまいます。

リスケとは、銀行への元本の返済期間を延ばして、月々の返済額を減らすことです。事前に銀行と話し合っておけばスムーズに手続きが進み、事故とはみなされません。そのため、結果的にリスケとなったとしても、早い対応が必要です。返済が何度も滞ってからでは、取り返しのつかないことになります。

そもそも、このような事態に陥らないために、医療法人を設立するときに引き継げる借金を事前に計算して、シミュレーションを組むことが大切です。

そして、個人に借金が残ったとしても、医療法人が金融機関から追加で運転資金を借りて、それで院長先生の給料を増やし、個人の借金を内入れして早期に返済する計画を立てればよいのです。これは金融機関に事前に相談して事業計画を提出しておけば、医療法人を設立した直後にお金を貸してくれる手筈を整えてくれるでしょう。

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