医療法人に院長先生の社宅を売却するメリットとデメリット

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2017/12/20
医療法人に院長先生の社宅を売却するメリットとデメリット

医療法人が看護師や従業員のためにマンションなどの社宅を借り上げて、低い賃料で貸していることがよくあります。この場合、

看護師や従業員からもらう賃料を無料としてしまうと、賃料がすべて給与として課税されてしまいます。

そこで適正な賃料を計算して、支払ってもらう必要があります。
適正な賃料とは、実際に医療法人が支払っている賃料の50%、または下記の計算式の「(1)+(2)+(3)」の合計額を比べて、低い方でよいことになっています。

これを見て、固定資産税の課税標準額は、毎年5月ぐらいに不動産の所有者に送られてくる固定資産税の支払い明細書に記載があります。あなたは「社宅として不動産を賃借しているだけの医療法人が、その金額をどうやって把握するのか?」と疑問に思うかもしれません。ところが、

賃借人は下記の法律を根拠に固定資産税の課税標準額を閲覧することができるのです。

「政令で定める者」とは下記に記載されています。

そのため、市役所の固定資産税課の窓口に行けば、自由に閲覧できます。もし閲覧を断られたら、上記の条文を担当者に見せれば、すぐに対応してくれます。

それでは、具体的な数字で考えてみましょう。
例えば、看護師の社宅で、不動産オーナーに支払う賃料が月額10万円だったとします。その50%とすると5万円を看護師や社員は医療法人に支払うことになります。実際に計算してみなければ分かりませんが、「(1)+(2)+(3)」の合計額はおおよそ10%から20%程度になります。つまり、看護師は2万円を医療法人に支払えばよいことになります。

院長先生は、「医療法人の負担が8万円も増えることになるのでは?」と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。この看護師の月額の給料が50万円だったとします。医療法人が社宅を借り上げてあげないとすれば、50万円に対して所得税と社会保険料を支払ったあとの手取りから、10万円の賃料を支払うことになります。

一方、社宅を借り上げてあげれば月額の給料を42万円にして、8万円が社宅の差額の賃料分とすればよいのです。すると看護師は所得税と社会保険料が安くなるため、得をします。医療法人も看護師の給料に対して負担する社会保険料が減るため、得をするのです。院長先生は「もっと早く教えてくれれば、社宅の導入をしたのに」と思うかもしれません。ただ

看護師や従業員の離職率が高い医療法人の場合には、そのたびにオーナーとの原状回復の交渉が必要となるなど、手続きが煩雑になります。

一度でも社宅の制度を導入すれば、看護師も従業員も手取りが増えるので廃止しにくくなります。そのため、慎重に検討しましょう。

それでも、医療法人に社宅の制度を導入すると院長先生にもメリットがあります。それは同時に医療法人が院長先生の社宅を借り上げることができるからです。もともと医師に社宅を貸すことは、医療法人の本来の業務ではありません。社宅は福利厚生の一環であるため、看護師や従業員に対して行うものです。院長先生だけに許される制度となると、特別の利益供与とみなされて、監督官庁である都道府県から廃止するように指導されることもあります。ただし

社宅の利用者が院長先生に限定されず、医療法人の制度として導入している場合には認められます。

このとき、院長先生が医療法人に支払う賃料ですが、看護師や従業員と同じ計算式を使えば原則は問題ありません。原則とは法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積を按分して、専用部分の床面積に加えたところで判定)である住宅の場合です。ということで、

医療法人が院長先生に社宅を借上げる場合で、これらの住宅以外の場合には例外となり、院長先生は賃料の50%を負担する必要があるのです。

50%を負担しないと、全額が院長先生の給料として課税されてしまい、社宅による節税のメリットはなくなります。賃料の半分でも医療法人で負担させることができれば、院長先生の所得税と社会保険料を削減することができます。

院長先生は年収が高いこともあり、自宅を所有しているケースも多いと思います。その場合には、

院長先生の自宅を医療法人に売却して社宅にすることができます。

その場合の賃料は次の(1)と(2)の合計額の12分の1の月額を支払えばよいことになります。

このとき、院長先生から「自宅を医療法人に移転させるときに登録免許税や不動産取得税が、予想以上にかかるのでは?」と聞かれることがあります。これに関しては、登録免許税や不動産取得税は医療法人の経費になります。それに社宅の建物の減価償却費を医療法人で計上できるため、それらのコストを負担したとしても、結果的には節税効果は大きくなります。

なお社宅を医療法人に売却するときには、自宅がマンションではなく、一戸建てである場合には、建物だけを移転させましょう。建物だけを医療法人に売却するならば、原則、院長先生に所得税がかかることはありません。

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