医療法人が、初めて分院を作るときの効率の良い方法とは?

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2020/11/30
医療法人が、初めて分院を作るときの効率の良い方法とは?

医療法人が、初めて分院を作るときの効率の良い方法とは?

個人事業者の院長先生が医療法人を設立するメリットは、大きく分けて、2つあります。1つ目は、「所得税率>法人税率」となるため、医療法人を設立することで税金が節税できて、資金効率が良くなることです。2つ目は、医療法人であれば、分院が出店できることです。

今回は、2つ目のメリットである分院に焦点を当てて、見ていきます。

医療法人を2つ所有して、それぞれで展開することもできますが、まず、新しく医院開業を行うと、1年目は赤字になるケースが多いのです。本院と分院で医院経営や病院経営を行っていれば、分院の赤字と本院の黒字を通算できます。そして、現在の医院経営や病院経営は、費用に広告宣伝費が占める割合が高くなっています。特に、ホームページの制作費用から、SEO対策などかなりの費用がかかります。

医療法人の本院と分院であれば、同じホームページで広告できますが、違う医療法人では、当然ですが、ホームページも2つに分けなくてはいけません。

同じように、個人事業者の院長先生が医療法人を設立せずに、知り合いの医師に2つ目の診療所を開業してもらったとしても、同じことです。2つの医院や病院の損益を通算して確定申告することはできませんし、1つのホームページで、2つの医院や病院を広告することもできません。

このようなマーケティングの観点からも、医療法人を設立して分院を作ることには、大きなメリットがあります。

ただし、分院を作るときには、落とし穴もあります。医療法人を設立するときには、下記の東京都のHPの通り、許可を交付する期限が決まっています。そのため、都道府県の担当者もこの日程に詰め込んで、設立までやってくれます。

医療法人設立、解散、合併認可等に係る年間スケジュール(令和2年度)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/smph/iryo/hojin/h31sche.html

医療法人が、初めて分院を作るときの効率の良い方法とは?

ところが、分院を作るための申請には期限がありません。そのため、分院の許可が1年でも、2年でも、引き延ばされてしまうことがあります。

標準的な申請から許可までの期間は4か月ですので、それ以上、延びている場合には、何か問題があると考えてください。

よく聞くのが、下記の3つです。

医療法人が、初めて分院を作るときの効率の良い方法とは?

上記のことが発覚してしまうのは、分院の申請時には医療法人が毎年提出する事業報告書ではなく、税務署に提出している決算書と内訳書を提出するように言われるためです。その内訳書には、院長先生への貸付金の内訳、院長先生から受け取っている社宅の賃料、車両の金額、MS法人への未払金が記載されています。

結局、上記の問題が解消されない限り、分院の許可は下りません。分院を出すときには、すでに場所を借りて図面を書いて賃貸料も支払っているわけですので、許可が下りるのが遅れれば、それだけ損失も大きくなるのです。とにかく、決算書と内訳書を提出せずに、分院を出すことはできませんので、申請する前に、院長先生が貸付金を返済しておくなどして、消去しておきましょう。

このように時間を引き延ばされた経験がある、もしくは先輩の医師からかなり時間がかかったと聞いていると、無駄な賃貸料を発生させたくないため、他の方法を考えたくなってしまいます。そこで、名義貸しで分院を先に作ってから、医療法人に取り込もうとする院長先生がいます。

ただし、医師の免許を名義貸しで医院開業したことが判明した場合には、医療法違反です。そのため、名義貸しをした医師、名義借りをした医療法人が保険医の登録が取り消されたり、医師免許が一定期間停止される処分もあり得ます。

そのため、名義貸しで医院開業するのは絶対に止めましょう。名義貸しとは、簡単に言えば、医療法人の理事長が将来、分院の管理者となる医師や歯科医師にお金を貸すなどして、個人医院を開業させるものです。その個人医院の利益は業務委託料などで医療法人に還流させて、その名義貸しの院長先生には医療法人から給料を支払うというものです。

名義貸しても発覚しないのでは、と主張する院長先生もいますが、そんなことはありません。本当に医院開業をした経験がある院長先生は分かると思いますが、それほどすぐに医院経営や病院経営で利益が出るわけではありません。看護師や従業員との人間関係でも苦労したはずです。

名義貸しで開業した院長先生(将来の分院長)は、医療法人から給料をもらっていると地位が保証されているため、一般的には、余りがんばりません。看護師や従業員は、雇われ院長だと知っているので、あまり指示にも従いません。それで運営が上手くいかずに、医療法人(本院)の理事長が怒ったりすると、その名義貸しの院長先生は辞めてしまうというパターンが多いのです。

すると、医療法人(本院)の理事長が、また新しい、将来の分院長となる医師を連れてきて、同じ場所で、個人事業者として医院開業させるのです。このとき、ほとんどのケースで、診療所のクリニック名を変更しません。変更すればHPやパンフレットが作成しなおしになり、無駄なコストがかかるためです。

診療所の医業収益が上がらないという理由で、院長先生が変わったら、元のクリニック名をそのまま使い回すはずがありません。

それでは、患者に新しくなったことをアピールできないからです。これが1回ならまだしも、1年に2回も変わり、同じクリニック名であれば、保健所も名義貸しだと気づくでしょう。立入検査が入れば、業務委託料などで還流させていることに対して、言い逃れできません。繰り返しになりますが、名義貸しでの分院の出店は、絶対に止めましょう。

それでも現状、すでに名義貸しで開業させているという院長先生もいるかもしれません。その場合には、医療法人に事業譲渡させるなどして、違法な関係を今すぐに清算させるべきです。

それでは、もっと効率良く分院を出す方法はないのでしょうか?

実は、あります。
個人事業者である院長先生が分院を出せない理由は簡単です。院長先生が診療所の開設者であり、かつ管理者となっているからです。管理者は、専従までは求められていませんが、常勤であることが必要です。そのため、2か所の管理者を兼任することができません。

一方、医療法人は、診療所の開設者は医療法人であり、管理者は理事などとなります。

とすれば、医療法人の理事長以外の理事を本院の管理者に変更して、理事長が管理者から外れればよいのです。

そうすれば、医療法人の理事長が、個人事業者として診療所を開業することができます。

そもそも本院の事業が上手くいっているので、分院を出すことを考えているわけですから、本院は理事長がいなくても組織的に動くはずです。そこで、理事長個人が開業して、あとで、医療法人に事業譲渡などで合流すればよいのです。理事長自身であれば、一生懸命やるでしょうし、看護師や従業員も指示に従うはずです。しかも、理事長自身が開業していますので、最初の開業資金が不足したり、名義貸しという問題も起こりません。

さらに、医院開業すると理事長であっても、1年目は赤字となるケースが多いはずです。このとき、医療法人からもらっている給料と損益通算できますので、所得税も節税できるというメリットがあります。3つ目、4つ目の分院を出すときまで、このような手続きを踏む必要はないかもしれませんが、1つ目や2つ目の分院を出すときには、この方法を使うのがお勧めです。

なお、本院を管轄する都道府県と違う地域に分院を出す場合には、昔の言葉でいうと、広域医療法人となります。以前は、厚生労働省の管轄でしたが、現在は主たる事務所、つまり、本院が所在する都道府県が管轄することになります。それでも、管轄する都道府県をまたいで分院を出している場合には、立入検査や個別指導が同時に行われたり、税務調査もその日数や税務職員の数も増える傾向にあります。

そのため、広域医療法人として分院を出すならば、かなり管理部門の人員がしっかりしていることが必須です。

 

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