MS法人は医療法人から、どのような業務を受託できるのか? ①

住所
  • tel:03-3539-3047
  • 初回相談料の特典はコチラ
医院経営/病院経営コンサルティング > 医療法人制度の基礎知識と理事長がやるべきこと > MS法人は医療法人から、どのような業務を受託できるのか? ①
2018/07/10
MS法人は医療法人から、どのような業務を受託できるのか? ①

医院経営や病院経営において、MS法人を設立するケースはかなり多いはずです。

MS法人とは、メディカルサービス法人の略称で、特別な許可は必要ありません。

通常は、株式会社の形態で設立します。
このMS法人を設立する目的は大きく分けて3つあります。

まず1つ目の目的は、従業員の就業規則を分けるためです。
医院経営や病院経営では職種の違う従業員を雇います。医師や看護師などの専門職から、医療事務や介護職員などの正社員、または清掃員や警備員などはパートやアルバイトとして雇うこともあります。常時10人以上を雇用している場合には、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る義務があります。届け出なかったとしても、最近では就業規則がないことで看護師や従業員とトラブルになることもあり、必ず作成しておくべきです。

ただそれぞれの職種によって、有給休暇の日数、手当や賞与の有無、退職金規定などを区別できないのかと相談を受けることがあります。そのときには、例えば、医師や看護師は医院や病院と直接雇用契約を締結するとして、それ以外の従業はすべてMS法人の所属にすれば、適用する就業規則を変えることができると回答しています。

2つ目の目的は、医療法人ではできない業務を行うためです。
個人事業主の院長先生であれば、個人でどのような事業を行っても医療法上の規制はありません。ところが医療法人を設立している場合には、医療法上、禁止されている業務があるため、それについてはMS法人で運営することになります。

例えば、医薬品や物品などを大量に販売したり、人材派遣業を行ったり、経営コンサルティング業を行う場合です。MS法人が患者に直接物品を販売したり、他の医院や病院に医薬品を卸すこともあり、その業務を遂行するために必要な従業員を雇うことになります。

3つ目の目的は、MS法人に業務を委託して手数料を支払うことで、個人事業主の院長先生の所得税、または医療法人の法人税を節税するためです。
具体的には、以下の5つのことが考えられます。

 

① 給料を分散できる

MS法人の代表取締役に、個人事業主の院長先生からも、医療法人からも給料をもらっていない配偶者や子供を就任させて給料を支払えば、所得を分散できます。所得税は累進課税ですので、分散させる効果は絶大です。しかも、これによって院長先生の給料が下がれば、財産が夫婦に分散されることで将来の相続税の対策にもなります。ただし

MS法人の代表取締役として仕事をしなければいけません。

例えば、遠方に居住している子供を代表取締役にして給料を支払うことはできません。

 

② 社宅を購入できる

個人事業主であれば社宅は認められません。
一方、医療法人であれば、看護師や従業員にも社宅を提供する制度があれば、院長先生の社宅も購入することができます。ただしそのような制度がないのに、院長先生だけの社宅を購入することは、特定の人物への利益供与に当たるため、禁止されています。ところが、

院長先生の配偶者がMS法人の代表取締役に就任すれば、そこで社宅を購入することは自由にできます。

「社宅を購入できることが、そんなによいことなのか。社宅と言っても無料では住めないだろ?」と疑問に思う院長先生もいるかもしれません。
確かに、無料で社宅に住み続けることはできません。社宅の法定耐用年数が30年以下の建物の場合には床面積が132㎡以下、または法定耐用年数が30年超の建物の場合には床面積が99㎡以下であれば、下記の計算式による「(1)から(3)の合計額」の賃料をMS法人に支払う必要があります。

上記以外の社宅に該当すると、下記の計算式のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

基本的にはイとロの合計額になるはずですが、それでも、MS法人が社宅を購入すれば、建物の減価償却費によってかなり大きな節税ができます。というのも、社宅の固定資産税や借入金の利息も経費になりますし、修繕費も経費になるからです。院長先生の配偶者が賃料を支払ったとしても、これらの経費の方が大きく、MS法人の利益と通算できます。

 

③ 軽減税率が適用できる

個人事業主の診療所であれば、所得税率は15%から最大で55%(住民税を含む)までの累進課税となりますが、院長先生であれば平均で40%から50%の範囲に入るはずです。

一方、資本金が1億円以下の医療法人であれば、基本的な法人税率は33%(地方税を含む)となりますが、800万円の利益までは23%(地方税を含む)という軽減税率が適用できます。

同じように資本金1億円以下のMS法人に業務委託を行えば、800万円の利益までは23%という軽減税率が適用できるのです。

これだけで、1年間で80万円の節税となります。
ただし、社会保険診療を占める割合が大きいと事業税がかかっていません。ところがMS法人に業務委託すると、800万円の利益にも事業税がかかります。そのため、1年間で節税できる金額は50万円に下がってしまいます。またMS法人で800万円を超えた利益には事業税がかかるため、注意が必要です。

 

④ 共同で支出する

個人事業主でも、医療法人でも、MS法人でも、10万円未満の固定資産はすべて経費になります。ところが、10万円以上の固定資産となると、一度に経費にならず減価償却によって、毎年経費に計上するのです。

例えば、医療法人が医院経営や病院経営で使うために50万円のサーバを設置したとします。
ところが一度に経費にならずに減価償却するため、利益が発生して法人税を支払うことになるのです。ただし、

30万円未満の固定資産であれば、一度に経費に計上してよいという特例があります。

そこで、医療法人とMS法人で25万円ずつを共同で支出してサーバを設置するのです。MS法人でもサーバを使うことが前提です。これでどちらも30万円未満となるため、全額を経費に計上できることになります。個人事業主の院長先生でも30万円未満の固定資産を一度に経費にできる特例が使えるため、個人とMS法人で共同購入することで、同じ効果があります。

 

⑤ 交際費の枠が増える

資本金が1億円以下の医療法人とMS法人は、1年間で800万円までは交際費が全額経費として認められます。そのため、MS法人を設立すれば、合計で1600万円まで交際費が認められることになります。ただこれに関しては、個人事業主である院長先生であれば、交際費の上限はなくすべて経費になります。また医療法人の交際費は800万円が上限としても、そこまで交際費を使うケースは少ないので、あまりメリットはないでしょう。

 

以上がMS法人を設立する3つの目的ですが、特に3番目の節税という観点から、できるだけ多額の業務委託の手数料を支払いたいと考えるかもしれません。ただ個人事業主である院長先生や医療法人からMS法人に無制限に手数料を支払うことが認められているわけではないのです。これは

平成4年の医療法の改正から、MS法人に業務を委託する場合には、医療法施行令に定める基準をクリアしている場合のみしかできないとされたのです。

具体的には、下記の8業種について業務委託する場合には、標準作業書、業務案内書等によって、確認しなければいけません。

これらについては、医療法施行規則に詳細に定められているため、一度確認してください。

さらにMS法人に対する規制があるのですが、それは次回のブログで解説していきます。

 

facebook
twitter
google+

コンサルタント必見の書籍 医院経営のからくり