院長が医療法人の会長になるときに退職金を支払う場合に、必ずチェックすること①

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2018/01/10
院長が医療法人の会長になるときに退職金を支払う場合に、必ずチェックすること①

個人事業主の院長先生が、子供に診療所を承継するときには、自分には退職金を支払うことはできません。通常は、子供がそのまま建物内装や医療機器を借りて、院長先生に賃料やリース料を支払い続けるという方法がよく見受けられます。子供が支払う賃料はインターネットによって周辺相場の坪当たりの賃料を調べれば計算できます。

住宅ではなく、事業用の物件ですので、類似となるデータが少なくてインターネットからは見つけることができなければ、駅前の不動産会社に想定賃料を聞いても構いません。リース料に関しては、医療機器メーカーに頼めば、すぐに見積もってもらえます。

ただ最近は医療機器のリースを行うためには許認可が必要となるため、子供が銀行からお金を借りて、建物内装や医療機器を買い取るケースも増えてきました。

この場合でも、院長先生の確定申告書に記載されている建物内装や医療機器の未償却残高で売買すれば、税務上は妥当な金額とみなされます。

院長先生も税務上の簿価で譲渡したことになるため、売却益も発生せず所得税もかかりません。どちらであっても、そのあと子供が医院経営や病院経営の事業主として経営を行っていきます。ただ院長先生がそのまま引退するのではなく、子供の医院や病院に雇われた医師(従業員)として、1週間に数回程度診察を手伝うケースがあります。

このとき、院長先生に給与を支払うはずですが、1つだけ注意点があります。もし院長先生が子供と生計一であれば、つまり同居して生活している場合には、事前に税務署に専従者給与の金額を届け出なければいけません。それを忘れていると、子供の医院経営や病院経営の経費とは認められず、院長先生も給与をもらうことはできません。

それでも通常は院長先生と子供が同居していることは少なく、生計別となっていれば事前に届け出る必要はありません。院長先生が働いた分に対する給与の金額は、子供と相談して決めてもらえば問題ありません。子供の医院経営や病院経営の経費として計上できます。

 

ここまでの話は、院長先生が個人事業主として医院経営や病院経営を行っている場合で、医療法人を設立していると話が違ってきます。

平成19年4月1日以降に設立された医療法人は、「持分なし」となります。
まずは「持分なし」の医療法人を前提にして説明していきます。

持分なしの医療法人の院長先生が引退する場合には、子供に経営権を譲渡する持分がないため、退職金だけで精算することになります。

税務上の院長先生の退職金の上限は、下記の計算式となります。

功績倍率は、理事長であれば3倍となります。
例えば、最終月額報酬が300万円で、勤続年数が30年であれば、2億7000万円が退職金の上限となります。このとき給与と違って、退職金の税金は下記を基に計算します。

ここでは詳細な計算は省きますが、結局、「1/2」を掛けているため、所得税率は半分になります。そのため給与としてもらうよりも、退職金としてもらうだけで、所得税がかなり節税になります。

退職金を支払ったあと、子供が医療法人の理事長に就任して医院経営や病院経営を運営し、院長先生は辞めたあと、一切経営に携わらなければ何の問題もありません。ところが院長先生が理事として残り、医院経営や病院経営に口を出すということになると、先ほどの2億7000万円の退職金は認められないことになります。

退職金とは、あくまで院長先生が医療法人を辞めるからこそもらえるお金だからです。所得税も退職金まで高い税率をかけると、老後の生活がありかわいそうだということで安くなっているのです。それなのに、今まで通り働いて医院経営や病院経営に携わり給与ももらうのであれば、そんな恩恵を受けられるはずがありません。
「それじゃ、引退せずに理事として残ったら、ずっと退職金をもらえないじゃないか」
と怒る院長先生もいます。
ただそれが原則であり、

本当に理事を辞めるときに理事長だった時代も含めて、通算した退職金をもらえばよいのです。

そのときの退職金は認められます。
私も上記のように説明するのですが、どうしても理事長から理事に降格して、子供に事業承継したときに退職金が欲しいという院長生成が多いのです。

実は、退職金を絶対に支払えないという訳ではありません。

下記の要件を満たすような役職の変更等があった場合(分掌変更と呼びます)に、退職金を支払ってもよいという法人税の通達があります。

医療法人の場合には、取締役を理事、監査役を監事と読み替えてください。

このとき、重要なポイントは2つあります。
1つ目は、最初に「例えば、次のように」と記載されていることです。

(1)から(3)まで記載されていることはあくまで例示であって、これに該当しなくても分掌変更による退職金を支払うことができます。

そのため、(1)から(3)まで該当しない事例でも、実質的に退職していると認められる場合には、退職金を支払うことができます。

2つ目は、院長先生が分掌変更したあと、「法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合」には、どんなことがあっても認められないということです。
肩書の名称とは関係ありません。
院長先生から質問されるのは、
「理事の役職も降りて、1人の医師として働いてる。名刺にも『勤務医』と記載するし、ホームページからも削除する。だから退職金として認められるはずだ」
というものです。

税務上では、あくまで実質的な判断となりますので、形式上で医療法人の経営上主要な地位を占めていないとしても、口を出していたら認められないのです。具体的には、次の点に注意してください。

これに関する詳細な説明は、次の記事で行います。

 

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