あなたの医療法人は、社員総会議事録の内容を書面で残していますか?

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2019/10/30
あなたの医療法人は、社員総会議事録の内容を書面で残していますか?

通常、医療法人は財団ではなく、社団で設立します。
そのため、社団医療法人を前提に解説をします。なお、出資持分ありの医療法人と出資持分なしの医療法人の違いもありますが、これから解説する内容は、どちらにも共通します。

医療法人の重要事項は、社員の頭数で決めます。
ここで、社員とは従業員のことではなく、株式会社の株主に当たるものです。その社員の1人がどれだけ多くの出資をしたとしても、議決権の数とは比例しません。

あくまで、社員1人1票の議決権しか持てません。

株式会社の株主と決定的に違うのはこの点です。
そして、医療法人の運営については、社員総会の決議により行うとされています(医療法人運営管理指導要綱)。この点については、株式会社の株主総会と同じで、最高意思決定機関となります。ということで、医療法人の社員(株式会社の株主のことで、以下同じ)は次の3つの権利を持つと考えられます。

そのため、誰が社員なのかという社員名簿を記載しておく必要があります。特に、分院を出すときに主務官庁である都道府県の担当者から、分院長を理事に就任させるだけではなく、社員に追加するように指導されることもあります。

分院長として社員総会で意見を述べさせて、けん制機能を働かせるという趣旨だと想定されます。分院長の数が増えていき、知らずに院長先生の親族の数が過半数未満となり、突然、反旗を翻されて医療法人が乗っ取られる可能性もゼロではありません。

ここで勘違いしている院長先生もいますが、「理事=社員」ではありません。

理事に就任すれば、社員になることが求められますが、社員に参加しても理事に就任する義務はありません。主務官庁である都道府県の担当者からも、そのような指導はありません。理事には重い責任がありますので、それを強制的に負わせることはできないのです。

とすれば、医療法人の意思決定権を安定多数で占めておくためにも、親族を入れておくのが得策です。遠方に住んでいる親族でも構いませんし、年齢も関係ないので両親を社員にしてもよいでしょう。このとき、医療法人の持分は相続されないため、あとで争うことを心配する必要はありません。

例えば、院長先生の弟を社員に参加させたとします。
弟はサラリーマンでまったく医療法人の業務には関わっていません。それでも、サラリーマンとして医療法人の経営方針については、他の理事とは別の視点からアドバイスしてくれます。銀行なども紹介してくれて、院長先生としても他の理事や社員へのけん制の意味でも参加してもらっています。

とはいえ、院長先生には医療法人を継いでくれる長男がいて、将来はすべての持分を渡す計画があります。もし弟の持分をその子供が相続するとなれば、長男とは従兄になる人物が勝手に社員になってしまいます。長男との関係性は濃いとは言えず、もめる原因になるかもしれません。

ところが、弟の持分はその子供に相続されない一身専属の権利であり、かつ弟が出資せずに社員となっていれば、医療法人に対する払戻請求権も発生しないのです。

このような理由もあるのか、社員が10人以上もいる医療法人もあります。ただし、下記の社員総会の議事録を作成する前提ですので、社員には出席してもらうことが前提となります。今は、テレビ会議やパソコンの画面での参加もできますので、それらを使っても構いません。

結局、現時点で誰が社員なのかを把握するためにも、下記の事項を記載して、社員が時系列で分かるように打ち出してファイリングしておきましょう。

社員総会は1年に2回が望ましいとされていますが、ほとんどの場合、決算の承認と理事の報酬を決定するため、決算日から3か月以内に1回だけ開催されているはずです。このとき、社員総会を開催する少なくとも5日前までに、その目的である事項が記載された招集通知を各社員に送る必要があります。それをメールで送って返信があればよいですが、何の返事もない社員に対しては到着したことを確認するために郵便で送ることもあります。そのために、メールアドレスだけではなく、郵便が届く住所も教えてもらってください。

また、社員総会は、総社員の5分の1以上の社員から開催を提案された場合には、請求のあった日から20日以内に招集する義務が発生します。この5分の1については定款で下回る割合を定めることもできますが、通常は5分の1未満にすることはないはずです。

この社員総会ですが、社員の過半数が出席しないと成立しません。事前に出席するという返事がなければ、こちらから連絡を取って確認をする必要があります。出席する社員一同がその場に会することが原則ですが、分院が遠方にあったり、海外に出張しているなど、やむを得ない場合には、社員総会の決議事項を事前に通知しておき、持ち回りで決議することも可能です。(最高裁 平成15年6月27日判決)

実際に社員総会が開催されたとすれば、議長はその場で決めますが、一般的には理事長が議長となり進めていきます。あとで決議した事項を明らかにするためにも、議事録を作成して書面(又は電磁的記録)に残しておかなければいけません。そのときに、必ず、下記の事項を記載してください。

院長先生に、

「過去の社員総会の議事録を見せてください」

と聞くと、

「いやー、そんなものは作ったことがない」

と回答されることもあります。

社員総会議事録は、社員総会の日から10日間、主たる事務所に備え置く義務があるのです。もし従たる事務所、つまり分院があれば、そこにも社員総会の日から5年間は、コピーを備え置く義務もあるのです。

社員だけではなく、債権者である銀行の担当者は、医療法人の業務時間内であれば、いつでもそのコピーを請求できるのです。これらがないとすると、社員同士での争いに発展したり、銀行から訴訟される原因にもなります。

もし過去の社員総会の議事録がない場合には、これからでもよいので作成しましょう。そのとき、社員総会が開催された事実があれば、その議事録はあとで作成しても構いません。

それでも、社員総会議事録には理事長だけではなく、出席した社員の押印が必要となります。すでに退社した社員がいる場合には、メールで議事録を送るなどして承認をもらってください。もしメールの送付では難しい場合には、書面を持って会いにいき、説明するしかありません。

 

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