医療法人の理事会は3か月に1回は開催することが、原則となっている

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2019/11/20
医療法人の理事会は3か月に1回は開催することが、原則となっている

厚生労働省の医療法人のモデル定款では、理事会の開催が前提となっています。

通常は、医療法人を設立するときにモデル定款を変更せず、かつ主務官庁の指導により、理事も3人以上を選任するため、理事会が設置されてしまうのです。

 

(1) 理事会の役割について

理事会の役割は、医療法により、3つあるとされています。

① 医療法人の業務執行を決定する
理事会において、医療法人の業務執行について議論して、決定します。理事会が業務執行の一部を理事長などに委任することはできますが、「重要な業務執行」については、理事長に委任することはできません。

ただし、この重要な業務執行について具体的な内容や金額についての定義がありません。そのため、あとから重要な業務執行であるのに、理事会で決議していないことから無効とされてしまうことがあるのです。

院長先生の中には、

「医療法人の社員(=株主)は親族だけ、理事もすべて親族で固めているのに、反旗を翻すようなことはあり得ない」

と主張する場合もあります。

実は、医療法人にとっての一番の利害関係者は、銀行などの債権者なのです。もちろん、医療法人の運営が上手くいっているときには何の問題もありません。それが一度、資金繰りに詰まって銀行の態度が変化すれば、今までの意思決定の経緯などが確認されて、もし理事会が機能していなければ問題視されるのです。

そのため、「これは重要な業務執行に当たるのでは」と想定されることは、できるかぎり理事会で決定して議事録に残しておきましょう。

② 理事の職務執行を監督する
理事会で決定された業務執行を遂行するのは、理事長などになります。その職務が適正に行われているかを理事会で監督するのです。監事も同じように理事の業務をチェックする役割がありますが、理事同士でもけん制する機能を持たせているのです。

③ 理事長の選任と解雇する権限
理事会の決議によって理事長を選任するとともに、解雇できる権限も持ちます。そのため、大規模な医院や病院で、理事が親族だけではなく、何人も在籍している場合には、その過半数を抑えるための紛争が勃発する可能性もあります。それでも、診療所であれば、医療法人の理事の過半数は親族としていることがほとんどですので、基本的には問題ありません。

ただし、父親である院長先生が理事長に就任していて、その父親が亡くなったときに親族間で争いが起きることもあります。そのため、後継者は自分を理事長に推薦してくれる理事について、父親を除いた過半数を抑えておく必要があります。

 

(2) 理事会の開催方法について

医療法によれば、理事長は3か月に1回以上の頻度で自己の職務執行状況を理事会に報告しなければいけません。

ということで、3か月に1回以上の頻度で、理事会を開催する義務があるのです。

ただし、理事長からの報告の頻度は、定款に定めることで「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上」まで緩和できます。毎月、理事会を開催している医療法人もあり、その場合には一切の問題はありません。

一方、毎月行わない医療法人は、1年に1回決算の報告などで開催するだけとなっているケースも多いと予想されます。

このままでは医療法の違反となってしまいますので、定款を変更しておくこと、それと1年に最低でも2回は開催しましょう。

理事会を招集する場合には、理事長などが理事会の開催日の1週間前までに、各理事と監事に招集通知を送らなければいけません。それでも、書面で送る必要はなく、メールでもよいですし、全員の同意があれば、この手続きは省略もできます。

結果的に、みんなが理事会の開催される日を知り、出席してくれれば問題ないのです。もちろん、全員が出席できなくても、「議決に加わることができる理事」の過半数が出席すれば、理事会は成立します。

なお、過半数の理事を抑えているため、敵対する理事に招集する日を伝えないという対応では、あとから理事会の開催自体が無効となる可能性が高いため、止めてください。

必ず、全員に理事会の開催日時を伝えて、出欠席を確認する必要があります。

 

(3) 理事の出席と議事録の残し方について

院長先生の父親などが理事に就任していると遠方に住んでいるため、理事会に出席できないこともあります。この場合に、どのような形での出席が認められるのでしょうか?

① 認められない出席方法
理事は、その資質を見込まれて就任しているため、弁護士などが代理人となったとしても、代理出席は認められていません。また、「書面によって議決権を行使すればよいのでは」と聞かれることもありますが、理事会での議論がなく、白紙委任状となりやすいため、認められません。

さらに、全員が一度に集まらずに、「書面の持ち回りによる決議が認められるか」と聞かれることもありますが、これも認められないのです。

あくまで、理事が理事会に出席して、議論した上で業務執行の意思決定を行うことで善管注意義務等を果たしていると言えるのです。

② 認められる出席方法
それでは遠方に住む理事は、どうすればよいかと言えば、今はTV会議やパソコンでのリアルタイムでの出席が可能です。コストも、ほとんどかかりません。これならば、理事会に出席して自分の意見を主張することもできますし、他の理事の意見を聞いて判断もできます。

基本的には電話での会議ではなく、画面を使った双方向の会議であれば、理事会は成立して、理事の責任についても問題視されることはないでしょう。それでも、そのことについて理事会の議事録に記載しておく必要はあります。

 

ここまで、理事会について解説してきましたが、理事会の開催が重要だと分かってもらえたと思います。ということで、「その理事会の議事録」についても、強い法的な効力を持つことが分かります。

つまり、理事会で決定した業務執行の内容につき、あとから銀行に訴えられたときには、それに賛成している理事に責任が及ぶということです。

そこで異議を唱えて賛成しない理事がいれば、必ず理事会の議事録に、下記のような旨を記載してもらってください。

「〇〇理事は、第〇〇号議案となっている1億円の設備投資について異議を述べて、賛成しなかった」

そこには、賛成しなかった理由まで記載しておくとよいでしょう。ということは、理事会に出席していない理事は異議を述べていないことになり、立場的には厳しくなることが予想されます。そのため、理事に就任しているならば、基本的には理事会に出席しましょう。

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