医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

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2020/10/10
医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

院長先生から、「医師や歯科医師の診療業務について、業務委託契約を締結できないのか?」と聞かれることが、あります。

業務委託料を受け取った医師や歯科医師は確定申告するのですが、必要経費を算入することができ、雇用契約による給料よりも、所得税を減らせることが多いと予想されます。また、所得税がそれほど変わらなくても、社会保険に加入しなくてもよくなれば、医師国保への加入が可能となり、医院や病院にとっても負担が軽減されるため、やはりメリットがあります。

診療業務は「委託できない」という意見を聞くことがあります。医師や歯科医師から、「病院に業務委託契約を締結するように依頼したところ、断られた」という話も聞きます。実は、医師や歯科医師の診療業務を委託できるのかは、医療法に規定されています。

医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

上記の医療法第15条の3第2項において、私がアンダーラインを引きましたが、

「医師若しくは歯科医師の診療~を委託しようとするときは、~」

と定義されています。

ということで、医療法上、医院や病院が、医師や歯科医師と業務委託契約を締結して、診療業務を委託することはできます。

さらに、下記の表は、東京都福祉保健局医療政策部医療安全課が作成している「令和2年度病院自主管理チェックリスト」の一部となります。

医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

上記においても「医師、歯科医師、看護師等が行う医療関連業務の委託」の有無のチェック蘭があります。そもそも、業務委託ができないのであれば、このようなチェックを付けさせることもあり得ません。

つまり、医療関連業務を委託できることを前提にしているのです。

ただし、注意点もあります。
それは、病院には医師や看護師の人員基準があることです。

一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床などに分けて、患者に対して必要となる医師や看護師の数が決められています。このとき、診療業務を委託していると、主務官庁である都道府県によって判断が変わる可能性はありますが、基本的には、この人員に含めることができないと考えるべきです。

そのため、病院としては人員の確保のため、診療業務の委託は行っておらず、医師と歯科医師とは雇用契約のみしか締結しないというルールを作っていることもあります。
その場合には、雇用契約を締結するしかありません。

一方、診療所には人員基準がありません。
そのため、診療所を経営する個人の院長先生又は医療法人と、医師又は歯科医師が業務委託の契約を締結するのは、まったく問題ないはずです。

それでは、医師や歯科医師が株式会社を設立して、その取締役に就任して、医院や病院と診療業務について、業務委託契約を締結することはできるのでしょうか?

これも、医療法第15条の3第2項で、個人にのみ委託できるとしていませんので、株式会社と診療業務について業務委託契約を締結することができると言えます。

ただし、業務委託契約書に「実行するのは、医師又は歯科医師に限る」という条項は必要になると考えます。

ここまでは、医院や病院が委託できる業務を解説しましたが、逆に、できない業務も医療法で定められています。先ほどの医療法第15条の3第2項において、「入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは~厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託」と定められていました。

この政令とは、下記の医療法施行令第4条の7を指しています。

医師や歯科医師の診療業務を委託できるのか?

上記において、一号が「衣類その他の繊維製品の滅菌又は消毒の業務」、六号が「寝具又はこれらの者に貸与する衣類の洗濯の業務」、七号が「医師若しくは歯科医師の診療~入院の用に供する施設の清掃の業務」となっています。

ということで、医院や病院が消毒、洗濯、清掃の業務をMS法人に委託するときには、「厚生労働省令で定める基準に適合するもの」に該当しなければいけません。

そして、「厚生労働省令で定める基準」とは、「病院、診療所等の業務委託について」(平成五年二月一五日指第一四号)において定められています。一般的に、MS法人がこの基準を満たすことは難しく、もし無視して委託していると医療法違反となります。

そのため、経理や従業員の研修などの業務をMS法人に委託するのは問題ないですが、消毒、洗濯、清掃の業務を委託することは止めるべきです。

また、これはよく知られていますが、医療機器のリースや販売については、医療機器の種類によって、高度管理医療機器販売業・貸与業の許可、又は管理医療機器販売業・貸与業の届出が必要となります。こちらは、医療法ではなく、薬事法で定められているものとなります。

それでも、MS法人から該当する医療機器を借りていて、かつ許可や届出を行っていなければ、法令違反となります。そのため、現時点で違反している場合には許可や届出を行うか、もしくは、医療機器を医院や病院に売却してしまいましょう。

なお、該当する医療機器の分類については、「平成17年3月10日付厚生労働省告示第71号及び同月11日付同省告示第78号」で示されています。

 

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