一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

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2020/11/10
一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

医療コンサルタントや顧問の会計事務所などが、個人事業者として医院経営や病院経営を運営している院長先生に対して、

「そろそろ診療所を法人化する頃ですね」

と提案することがあります。

理由は、医院や病院の利益(正確には、「事業所得」)がかなり大きくなったことで、所得税が高くなり、法人税の方が安いという理由もあるでしょう。もしくは、お金も貯まってきたので、新しく分院を出すためという目的かもしれません。または、地域によっては、人員を募集した時に、医療法人の方が採用しやすいということもあり得ます。

個人事業者として開業すると、院長先生は開設者であり、かつ管理者でもあります。1人の医師又は歯科医師が2か所の管理者となることはできません。管理者は「常勤であること」という要件があるためです。なお、あくまで常勤であり、専従ではありませんので、診療時間中はずっと常駐しなければいけない訳ではありません。

ということで、説明を聞いた院長先生は、

「そうだな、医療法人を設立しよう!」

という回答になります。

ただし、ここでちょっと待ってください。
個人事業者の診療所を法人化するときに、医療法人という選択肢しかないのでしょうか?

実は、一般社団法人で診療所を法人化するという方法もあるのです。つまり、一般社団法人が保健所に申請をして、診療所を開設するのです。

医療法人を設立すると、大きなデメリットがあります。
それは、当然ですが、医療法人は医療法で規制された法人ということなのです。そのため、定款は厚生労働省のモデル定款をほぼそのまま使うしかありません。許認可制度なので、その定款を将来変更する場合にも、監督官庁である都道府県の指導の下で行う必要があります。そもそも、医療法人を設立するという手続きだけでも、各都道府県が決めている時期までに申請して、かつ標準機間として6か月程度もかかるのです。

一方、一般社団法人は都道府県の指揮監督下にはありません。
あくまで、保健所に申し出て、一般社団法人として診療所を開設しているだけです。医療法で定められた診療所についての法令、医師法などは遵守しなければいけませんが、医療法で定められた医療法人についての法令とは無関係となります。そのため、下記のようなメリットがあります。

一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

つまり、迅速に設立できて、そのあと、組織内の変更にも柔軟に対応できるのです。なお、医療法人は原則として、理事長は医師又は歯科医師とされていますが、一定の要件を満たす場合には、医師又は歯科医師以外でも理事長になれます。それでも、医療法人を設立するときは、絶対に不可能です。

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/igyou/igyoukeiei/tetuduki/rijityouyouken.html

一方、一般社団法人であれば、上記の通り、理事長は医師や歯科医師でなくても問題ないのです。とはいえ、個人事業者の院長先生が法人化するのですから、理事長に就任するはずですので、この点は、一般社団法人だから有利だとは言えないかもしれません。では、一般社団法人には、本当に一切の規制がないのでしょうか?

実は、診療所が一般社団法人で、法人化するときには、非営利型でなくては、保健所が認めません。これは医療法人が、医療法上、非営利団体とされているためです。

一般社団法人が非営利型といえるためには、下記の要件を満たす必要があります。

一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

上記の01と02は、新たに医療法人を設立するときの定款と同じです。03はこれから一般社団法人を設立するのですから、自動的に満たします。唯一、04だけは、医療法人よりも厳しい要件となります。04の要件を満たせる院長先生であれば、一般社団法人で診療所を開設することも選択肢に入れるべきです。

また、院長先生から、「この非営利型の一般社団法人の税金は、どうなっているのか?」と聞かれることもあります。

一般社団法人は、税金の側面からも医療法人とほぼ同じ取り扱いとなっています。

1つ目が、保険診療に対する法人事業税の取り扱いです。
医療法人は保険診療にかかる利益に対しては、法人事業税がかかりません。

一方、非営利が徹底された一般社団法人も、「医療保険業を行う公益法人等」に該当するため、その保険診療にかかる利益には法人事業税がかからないのです。

2つ目が、相続税です。
今から医療法人を設立しようとすると、持分のない医療法人のみとなります。持分がないため、例えば、院長先生が1千万円の基金を拠出して医療法人を設立し、20年後に相続が発生したとします。このとき、持分の定めのある医療法人と仮定して持分を評価したところ、1億円と計算されたとしても、持分のない医療法人であれば、最初に拠出した1千万円だけが相続財産となり、かつ相続税の課税対象となるのです。そして、株主のことを社員と呼び、議決権は1人1票となります。

一方、一般社団法人は、下記の要件を満たすと相続税が課税されるとしています。

一般社団法人で、診療所を法人化するとメリットがあるって、本当ですか?

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4143.htm

非営利が徹底された一般社団法人であれば、上記の理事の要件も満たせるはずですので、相続税も課税されないことになります。

ただし、最初に一般社団法人を設立するときに、「基金」を拠出することがありますが、それだけは上記の要件を満たしても、相続財産となり、かつ相続税の課税対象となります。そして、株主のことを社員と呼び、議決権は1人1票となることは、医療法人と同じです。ということで、一般社団法人で診療所を開設しても、税金の面でもデメリットはまったくないことになります。

では、本当に一般社団法人には、1つもデメリットがないのでしょうか?

1つだけあります。
それは、そもそも一般社団法人で診療所を開設できることを知っている人が少ないことです。医師や歯科医師だけではなく、保健所の担当者も知らないという意味です。一部の地域、東京都や大阪府ではかなり一般社団法人による診療所の開業が増えてきましたが、地方では未だに開業がゼロという地域もあります。

一般社団法人で診療所を開設したあと、分院を作ろうと他の都道府県に申請したら、断られたという意見も聞きます。

そのため、分院を大々的に展開していく場合で、その地域が決まっているならば、管轄している保健所に事前に聞いておくべきでしょう。それでも、分院を出す地域が事前に決まっていなければ、あとから断られる可能性があります。分院のこと以外で、一般社団法人で診療所を開設することのデメリットは見当たりません。

なお、一般社団法人ではなく、株式会社で診療所を法人化できないかと聞かれることもあります。株式会社は営利法人ですので、原則はできません。

ただし、株式会社であっても、「専ら当該法人の職員の福利厚生を目的とする場合」は、診療所を開設することができます。

実際に下記の「東京都医療機関・薬局案内サービス ひまわり」で検索すると、何件がヒットします。

https://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop/

 

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