個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

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2020/03/30
個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

個人事業主の医院や病院を買収してきたときの注意点は、下記の4つとなります。

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

過去のブログの「個人医院をM&Aで買収したときの注意点とは その2」までで、上記の(1)から(3)までを解説しました。あなたが買収する側に立っていると仮定して、今回は、最後の注意点である(4)を解説していきます。

 

(4) 保険診療の空白期間をゼロにする

個人事業主の院長先生から医院や病院を買収したら、その診療所は廃止することになります。その上で、買収した側である、あなたが個人事業主として新規の開設の手続きを行います。このとき、自由診療だけを行っている、もしくは医業収益に占める保険診療の割合が20%未満という診療所であれば、注意すべきことはありません。

ところが実際には、個人事業主の医院や病院が買収された事例を見ると、そのほとんどが保険診療中心の医院や病院となっています。というのも、自由診療の場合には、院長先生の個人的な医療技術であったり、広告宣伝の上手さで医業収益が上がっていることが多いためです。

自由診療であれば、遠方から患者が来ることも多く、院長先生が変わったことでその特徴が変われば、同じようには通院してくれません。個人事業主であれば、分院もありませんので、自由診療のみの診療所をM&Aで1か所売買することになります。

そのような医院や病院は買収しても、今までと同じ医業収益が保てるか不安ですので、買収する側が提示する売買価額は低くなりがちです。売却したい院長先生としても納得ができず、M&Aが決まらないのです。

実際に、皮膚科の自由診療のみの診療所で1年間の医業収益が2億5000万円もあり、利益も1億円近く出ているにも関わらず、提示されてきた売買価額は7,000万円となりました。当然なのかもしれませんが、売却する院長先生とすれば、「1年間の利益よりも低い売買価額では安すぎないか」と考えてしまうのです。この売買価額を下げなくていけないことに納得するまでに、かなり時間がかかります。

一方、保険診療が医業収益の80%超を占める医院や病院であれば、利便性という観点から周辺に住む患者が通っていることが多く、院長先生が変わっても転院しません。

もちろん、院長先生の人柄が患者の数に影響する部分も大きいので、買収したあと、患者の話はよく聞いてコミュニケーションを取る必要はあります。それでも、すごく専門的な医療技術が必要となるわけではありませんので、そもそも治療ができないという事態には陥りません。

売却したい院長先生の希望する売買価額に近い数字が出るため、決まるスピードも速くなります。結局、M&Aを成立させようとする仲介会社としても、売却する側も買収する側も気持ちよく、しかも時間がかからない案件を扱いたいと考えます。

ということで、医業収益に占める保険診療の割合が高い医院や病院ほど、M&Aが成立しやすくなります。

買収した側が保険診療を行うことを前提とするならば、下記の「保険医療機関・保険薬局の指定等に関する申請・届出」(以下では、「保険医療機関の指定」と呼ぶ)を地方厚生局の都道府県事務所に提出します。

下記は、東京都のものになりますが、他の都道府県でもほとんど様式は同じです。
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/index.html

この保険医療機関の指定が承認されるまでに、都道府県事務所の対応によっても変わってきますが、平均して2週間から1か月程度かかります。その間、医院や病院は保険診療ができないことになります。

ただし、上記の申請書と一緒に「遡及願い」を提出して、それが認められれば、その開設日に遡って保険診療報酬の請求が可能となります。

厚生労働省から「保険医療機関等の遡及指定に係る施設基準の届出の取扱いについて」という事務連絡が出されていますので、基本的には認められるはずです。

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/documents/290602_sokyu_kijyun.pdf

上記の中で、昭和33年8月21日の「保険医療機関及び保険薬局の指定期日の遡及について」とは、下記となります。

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

さらに、厚生労働省のHPにおいて、下記のように解説されています。

指定期日の遡及の取扱いについて
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/shinsei/shido_kansa/hoken_shitei/shiteibi_sokyu.html

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは③

このことから、医院や病院の開設者が変更された場合でも、その開設者の死亡、老齢等のやむ得ない理由により、新しく引き継いだことから、診療内容、患者等などの実態に変動がなければ、遡及できることになります。院長先生の子供が医院や病院を継いだ場合、または個人事業主である院長先生が医療法人を設立した場合には、当然、これに該当して遡及が認められます。

そして、第三者が医院や病院を買収して承継した場合でも、新開設者が旧開設者である院長先生から引き続いて開設者となればよいとしています。

とはいえ、あくまで事務連絡ですので、主務官庁である都道府県によって対応は変わります。そのため、事前に所轄の地方厚生局の都道府県の窓口に出向いて、確認しておくべきです。

実際に、第三者が買収して承継する場合には、その医院や病院で一定期間は勤務医として働いていることが条件としている都道府県もあります。

このとき、勤務医として働く一定期間は、半年以上などと具体的に決められています。子供であれば半年どころではなく、ずっと前から手伝っていて勤務医ということもあり得ますが、第三者となれば、直前まで大学病院などで働いていることも多いでしょう。

結果、どうしても、保険医療機関の指定の遡及が認められない可能性もあります。その場合には、1か月間は保険診療を休診するしかありません。患者や近所の住民に挨拶状を送ったり、医院や病院を売却した側の院長先生にも協力してもらい、説明をするなどの手立ては打つべきです。

また、1か月間も時間があるため、医院や病院の内外装をリニューアルするなど大規模修繕を行うチャンスでもあります。それでも、看護師や従業員はそのまま引き継ぐはずですので、1か月間は医業収益がゼロでも給料を支払うことにもなります。

これらの修繕費や給料は資金繰りに大きく影響しますので、それも考慮して事業計画書を作成して、銀行からお金を借りておかなくてはいけません。

このように、個人事業主の院長先生から、医院や病院を買収するときには、4つの注意点を覚えておきましょう。

 

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