個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは①

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2020/03/10
個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは①

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは①

現在、医療法人を設立すると、原則として、持分のない医療法人となります。そのあと、もし事業承継者が見つからない場合に、第三者へM&Aで売却しようとしたときに困ってしまいます。

一般の株式会社であれば、株式を売買すればよいのですが、持分のない医療法人の場合には、譲渡すべき持分がないのです。そのため、院長先生に多額の退職金を支払うか、M&Aで売却したあとも医院経営や病院経営を手伝ってもらって給料を支払うなどの方法しかありません。それでも、多額の退職金や労働の対価に見合わない給料を支払えば、税務調査で否認される可能性も高くなります。

ということで、子供が事業承継をするか分からない時期は、医療法人にはならずに個人事業主として医院経営や病院経営を続けるという院長先生も増えています。もちろん、医療法人化することは、M&Aを行うときにはデメリットですが、所得税を節税するという観点からは大きなメリットがあります。

そのため、子供が事業承継しないという理由だけで、医療法人を設立しないという判断をすべきではありません。

それでも、医療法人にそこまでメリットがないと感じて、個人事業主のままというケースも多いのは事実です。

結局、子供が医院や病院を継がないという意思決定を行えば、いつかは第三者に売却することになります。それが、院長先生の昔から友人である医師だったり、外来を手伝っている勤務医ということもあるかもしれませんが、第三者への売却という意味では同じです。

このとき、この個人事業主の形態の医院や病院を買収する側として、注意しておくべき点が4つあります。

個人医院をM&Aで買収してくるときの4つの注意点とは①

今回は、あなたが医院や病院を買収する側であると仮定して、この4つの項目を順次解説していきます。

 

(1) 初年度の経費と減価償却費は、できるだけ多額に計上する

個人事業主の医院や病院の資産は、院長先生個人の所有権となっています。それを買収するのですが、医薬品、建物内装、医療機器、受付の大型テレビモニター、ソフトウェア(電子カルテ)、机や椅子などの資産は、確定申告書に記載されている帳簿価額で買い取ることになります。

医院や病院を買収した直後は少し患者が減りますが、そこまで医業収益は下がらず、1年目からでも利益が出ることがほとんどです。もし、この買い取った資産ができるだけ早く経費に計上できれば、それだけ利益が小さくなり、所得税を支払わなくてもよいと言えます。

まず、医薬品などは棚卸資産ですので、買い取ったあと患者に使ったり、販売すれば経費となります。ただし、12月末の時点で残っている在庫は、棚卸資産として経費にはなりません。

次に、帳簿価額が10万円未満の固定資産であれば、買った年度の経費として計上できます。その累計金額がどれほど大きくても、全額が経費となるのです。10万円以上で30万円未満であれば、年間300万円までは全額が経費となります。ただし、年間というのは月数按分が必要となります。

例えば、6月に個人事業主の医院や病院を買収してきたら、12月までは6か月と数日となります。

このとき1か月未満は切り上げしてよいので、7か月として、

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が経費として計上できる上限となります。

このとき、通常、取引される単位、または機能する単位で10万円や30万円を判定します。

例えば、100万円で購入した業務用の洗濯機が医院や病院に2台設置されていたとします。これが減価償却されていき、院長先生の確定申告書の帳簿価額には、それぞれ20万円で計上されていたとします。

合計すると40万円ですが、業務用の洗濯機は1台ずつ取引するのが通常であり、機能も2台なければ動かないわけではないので、別々に判定します。つまり、買収した段階で1台20万円ですので、合計40万円が一度に経費となるのです。

さらに、連動して動いている固定資産であっても、機能ごとにバラバラで判定できます。例えば、医院や病院に防犯カメラが3台設定されていて、それにモニター、ビデオ、スピーカーをつなげて操作しているとします。通常であれば、全部で放送用設備となりそうですが、それぞれ別々に機能しますので、セットで金額を判定しなくてよいのです。

とすれば、院長先生が購入してから数年が経っていれば、それらの帳簿価格は30万円未満となっているはずです。それ以外に、部屋のカーテンなどは1枚では機能を満たさないため、1部屋ごとに判定します。

そして、30万円以上、または年間300万円以上となったため、全額を経費に計上できない固定資産があったとしても、耐用年数は下記の簡便的な方法で計算できます。

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法定耐用年数とは、事務機器や医療機器の場合には、下記の表で判定します。

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注意すべきなのは、簡便的な方法で耐用年数を計算するならば、医院や病院を買収してきた初年度の減価償却費の計算で使わないといけないことです。

初年度は赤字となりそうなので、確定申告書を銀行などに提出する手前、法定耐用年数を使って減価償却費を小さくしたとします。その翌年度は黒字になったので、簡便的な計算による耐用年数を使って減価償却費を大きくするということはできないのです。

なお、ここまでは、医薬品、建物内装、医療機器などの買収を前提にしていましたが、医院や病院の建物や土地などの不動産も一緒に買収することもあります。

不動産は、院長先生の確定申告書に記載されている帳簿価額ではなく、そのときの時価で売買することになります。木造の医院や病院の建物であれば、法定耐用年数は17年ですので、築年数が法定耐用年数を経過していることもあります。

そのときは、先ほどの計算式が、下記のように変わります。

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例えば、築年数が20年で木造の医院や病院の建物を買収してきたら、「17年×20%=3.4年」、つまり、3年で償却することができます。

最後に、資産を超えてお金を支払った場合には、「営業権」というノウハウを買収してきたことになります。これは、5年間で減価償却します。このときも、忘れずに月数按分してください。

例えば、9月に医院や病院を買収したとすれば、「4か月÷60か月(=12か月×5年)」を掛け合わせることになります。

以上のことを前提に、初年度の経費が計上されて所得税を支払うことになります。特に、医院や病院を買収するときには、直前まで大学病院などで勤務医として働いていることもあるでしょう。

買収した初年度の医院や病院の利益とその給料を合算して所得税が計算されるため、予想以上に高額となることもあります。

医院や病院を買収するときには、事前に資産の一覧を確認するはずです。とすれば、経費になる金額も簡単に予想できますので、それを加味して所得税を計算しておき、資金繰りの計画を立てておくべきです。

次回のブログで、これに続く注意点について解説します。

 

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