MS法人に、医療法人の出資持分を買い取ってもらう

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2020/08/30
MS法人に、医療法人の出資持分を買い取ってもらう

MS法人に、医院法人の出資持分を買い取ってもらう

相続税の節税対策が間に合わずに、院長先生の相続が発生してしまうこともあります。このとき、経過措置型医療法人、つまり持分の定めのある医療法人であれば、その持分には相続税がかかります。

もし、持分の評価が高くなり、多額の相続税がかかってしまった場合、相続人はどうすればよいのでしょうか?

まず、医療法人の持分を税務署に物納できるか、検討してみます。税法では、物納できる相続財産の順番が決まっています。

MS法人に、医院法人の出資持分を買い取ってもらう

第二順位の株式には未公開株も含まれます。物納するときには、売却益は発生しないため、所得税はかかりません。

ただし、未公開株の場合には、原則1年以内に税務署から買い戻す必要があります。

つまり、猶予は1年しかないのです。それでも、お金の調達に時間的な余裕ができるのは、確かです。ところが、医療法人の持分は未公開株の一種ですが、物納できないことになっています。そのため、物納するのであれば、MS法人の株式ということになります。

国税庁のホームページで発表されていますが、過去の平成11年が最大の件数で4,713件の物納が認められていました。ところが、令和元年は、なんと全国で72件しか物納が認められていません。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/enno-butsuno/jokyo/01.htm

相続税を納める人は逆に増えているのに、これだけ物納が減っているのは、国税庁が物納を認めない傾向にあることを示しているのです。

そのため、MS法人の株式を物納できるから大丈夫だと、甘い期待を持つべきではありません。
お金で相続税を支払う方法を考えておくべきです。

そこで、医療法人の持分を医療法人自身に買い取ってもらうという方法は、どうなのでしょうか?

医療法人が、自分の持分を買うと自己株式の取得となります。この方法であれば、将来、相続人が持分を買い戻す必要もなく、ずっとそのままでよい気がしますが、医療法人は、法律上、医療法人の持分を取得できないのです。そのため、株式会社であれば行える、「自己株式の取得による相続税の捻出」という手法は使えません。

そこで、もう一つの別の案が浮かびます。

それは、医療法人の持分をMS法人に買い取ってもらうのです。

それでも、院長先生の相続が発生したあと、相続人である長男が医療法人に持分を売却する金額ですが、原則は、純資産価額で評価されてしまいます。純資産価額とは、医療法人の資産の時価から負債を差し引いた差額のことです。持分の定めのある医療法人は、配当することができないため、毎年、利益が貯まってしまい、純資産価額は増え続けてしまいます。しかも、医療法人が昔から土地を保有していると、時価で換算するため、その含み益も資産に加算されてしまいます。

つまり、純資産価額で評価するとは、その売買価格が高額になることを指すのです。そのため、相続人は、下記の計算式の売却益に対して、20.315%の所得税を支払う必要があります。

MS法人に、医院法人の出資持分を買い取ってもらう

このとき、1口の医療法人の出資持分の取得費とは、院長先生が医療法人を設立したときの出資額のことです。通常は、主務官庁である都道府県から2か月分の運転資金を出資するように指導されますので、全口数で1,000万円程度であることが多いはずです。それが、例えば、2億円となっていれば、1億9,000万円が売却益となり、約3,859万円の所得税を相続税とは別に納める必要があるのです。

それでも、メリットもあります。それは、取得費加算という制度が使えることです。これは、相続人が相続税を支払うために相続財産を売却したら、所得税もかかると二重に資金繰りを悪化させます。

そこで、支払った相続税の一部を医療法人の持分の取得費に加算してくれるため、売却益は小さくなり、それだけ所得税は下がるのです。

ただし、この方法を採用するためには、1つのハードルがあります。それは、MS法人にお金が貯まっていなければいけないことです。医療法人がMS法人にお金を貸し付ければよいと考えるかもしれませんが、それは主務官庁である都道府県が許しません。

もちろん、貸し付けるのは許可制でありませんが、毎年提出する業務報告書に記載すれば、すぐに返済するように指導されるはずです。また、院長先生から、「MS法人が出資持分を担保に銀行からお金を借りれないのか?」という質問も受けます。

当然、銀行が判断することですので断定的なことは言えませんが、基本的には借りることができません。というのも、MS法人が医療法人の出資持分を取得すると議決権がなくなるのです。しかも、医療法人は配当もできません。

つまり、MS法人が所有する出資持分は、議決権も、配当請求権もないのです。これに担保があると認めてくれる銀行があるのかは、不明です。

結局、これを実現するためには、院長先生が生前に相続税の節税対策を準備しておくこと、そして、MS法人にお金を貯めておく必要があるのです。もし何もしていないとすれば、相続人である長男は、医院経営や病院経営に専念できないだけではなく、ずっと資金繰りのことで頭を悩ませることになります。

相続人である長男が、相続税と所得税で苦しまないようにするのは、院長先生の義務ではないでしょうか。

院長先生から、「税務署に相談して、相続税を延納するという方法もあるのでは?」と聞かれることもあります。延納はできますが、利子税がかかり、かつこれは経費にもなりません。

そのため、相続人である長男が医療法人から給料を受け取り、そこから社会保険料と所得税が差し引かれて、残ったお金で相続税とその利子税を支払い続けることになります。資金効率が悪いため、相続人はずっと苦しい生活となります。

MS法人に、医院法人の出資持分を買い取ってもらう

なお、「MS法人の株主が院長先生であれば、お金を貯めると株式の評価が上がり、それにも相続税がかかってしまうのでは?」という質問も受けますが、最初から配偶者、または相続人である長男を株主にしておけばよいのです。

さらに、MS法人にお金を貯める方法としてよく使われているのが、生命保険です。

終身保険など、100%以上で利回る商品に加入してお金を貯めておけば、実際に相続が発生したときに、解約する、または契約者貸付によって資金をすぐに調達できます。

 

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