結婚してから20年以上が経つと、2,000万円まで無税で贈与できる

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2019/06/30
結婚してから20年以上が経つと、2,000万円まで無税で贈与できる

院長先生が奥様と結婚してから20年以上が経つ夫婦であれば一生で1回だけ、現在の自宅、または自宅を買うお金として2,000万円まで無税で贈与できます。

この特例を、贈与税の配偶者控除と呼びます。この特例で贈与した院長先生が万が一にでも3年以内に亡くなっても相続財産に加算されることはありません。このとき、院長先生の相続税の節税対策として贈与するならば、お金ではなく、建物でもなく、土地を贈与した方が得です。

そもそも相続税も贈与税も計算するときには、財産を評価しなくてはいけません。現預金はそのままの評価となりますが、株式や不動産は時価を計算する必要があります。上場株式であれば第三者間による取引市場がありますので、そこで時価を計算できます。

ところが、不動産は形状や前面道路に面している距離の違いによって時価は変わってくるため実際に売りに出してみないと分かりません。相続税や贈与税を計算するためだけに、不動産会社に自宅の売却を依頼することは現実的ではありません。そこで法律では一律に、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価してよいことになっているのです。

国土交通省は前年の取引事例から、毎年1月1日時点における土地の時価である公示価格を発表します。ただし、すべての土地ではなく標準地を選びます。それをもとに、国税庁がすべての道路に評価額を付けて7月1日に路線価を発表します。路線価は公示価格の80%を目安としているため、時価に比べて低くなります。また、路線価がない地域もあり、そこは建物と同様に固定資産税評価額を使うことになります。

一方、建物の固定資産税評価額とは、建築会社の利益を差し引いて再建築した場合のコストとして、市町村の担当者が新築されたときに内見して評価します。おおよそ、建築費の30%から50%が評価の目安となります。そして、固定資産税評価額は3年に1回見直されて、建物の評価額については下がっていきます。

以上を前提に、院長先生から奥様への自宅の贈与を検討してみましょう。

例えば、院長先生が時価1億円の自宅(建物5,000万円、土地5,000万円)を買うとします。1億円の自宅を買う直前に2,000万円のお金を奥様に贈与しておくと、自宅の持分は5分の4が院長先生、5分の1が奥様の持分になります。院長先生が1億円の自宅を買ってから奥様に建物だけを贈与するならば、建物固定資産税評価額は2,000万円程度(購入価格の40%程度と仮定)と想定されるため、ほぼ全部を贈与できます。

ところが、建物の固定資産税評価額は下がっていくため、院長先生が亡くなるときに500万円程度になっているかもしれません。つまり、院長先生が保有していても、相続税がかかる財産の評価としては500万円となるため、1,500万円の相続税の節税効果が消えてしまったことになります。

そこで、院長先生が1億円の自宅を買ったあと、奥様に土地を贈与することにします。土地は路線価の評価で4,000万円(=5,000万円×80%)と想定されるため、そのうち2,000万円分であれば、土地の2分の1を贈与できます。建物を贈与するよりも持分は少なくなりますが、そのあと評価が下がらないため、損をしません。

ではこれをもとに土地だけを贈与すれば、本当によいのでしょうか?

先ほどの院長先生が買った1億円の自宅に夫婦で数十年間住み続け、最後に売却するとします。中古の一戸建てを買う人は建て替えるケースが多いので、建物の価格はゼロと評価しますが、土地の時価は上がっていて1億円とします。5,000万円で買った土地なので、5,000万円もの売却益が発生して所得税がかかります。このとき、自宅は売却したあと買い換える、または借りるにしても敷金などのお金がかかることから、その売却益から最大で3,000万円を特別に控除してくれる特例があるのです。

実は、この特例を使う条件は建物に名義が入っている人ごととなっています。

ということで、建物の名義が院長先生だけであれば2,000万円(=売却益5,000万円-3,000万円)に所得税がかかります。もし奥様の名義も入っていれば、2人で2倍の6,000万円が控除でき、所得税がかからないのです。

建物に入れる奥様の名義は、10分の1でも構いませんし、それによって土地の持分と建物の持分が一致しなくても、問題ありません。

将来、自宅を売却する可能性があるならば、院長先生から奥様に土地だけではなく、建物も贈与しておくべきです。贈与の特例と一緒に暦年贈与も使えますので、建物は110万円分だけ贈与するならば、やはり贈与税はかかりません。

これで話が終わりではありません。実は、遺贈や生前贈与を受けると特別受益とみなされて、相続財産に加算されて遺産分割の対象となります。そのため、生前に贈与した財産についても、遺留分の請求の対象になってしまうのです。

ところが、結婚してから20年以上が経つ夫婦間で自宅を贈与した場合だけは、特別受益に当たらないことになっています。ここでは、2,000万円という制限もありません。

自宅の贈与が特別受益に該当しないため、奥様は将来の生活費としての現預金を相続できます。

もし親族間で争う可能性があるならば、院長先生から奥様に贈与税の特例にとらわれずに2,000万円以上を贈与してしまうという選択肢もあります。

 

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