5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 医療法人編

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2020/06/30
5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 医療法人編

5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 医療法人編

前回は、個人事業の院長先生は、確定申告書の中にある「所得税青色申告決算書」から、医院経営や病院経営の1年間の支出を計算してもらいました。
その算式は、下記となります。

5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 医療法人編

その上で、医業収益が3割下がると予想するならば、「⑦ 差引金額×70%」が1年間の収入となるため、それと比べるという解説をしました。

今回は、医療法人についても、収支の計算方法を解説しますが、ポイントは、個人事業の医院や病院と同じです。まずは、2年分の決算書を用意してください。

次に、直近の決算書の中の損益計算書から、「販売費及び一般管理費」の合計を確認してください。それが1年間の固定費となるのですが、これには役員報酬と減価償却費が含まれています。その2つは控除することになります。

一般的に、医療法人の固定費が毎年、大きく変動することはありません。昨年度に特別な修繕費や広告宣伝費があれば、それを見つけるために2期分の決算書を比べます。もし、昨年度の「販売費及び一般管理費」の中に異常な金額を見つけたら、それも控除してください。減価償却費は、お金が出て行かない経費のため、「販売費及び一般管理費」から当然控除します。一方、役員報酬も、「販売費及び一般管理費」から控除するのは、下記の理由からです。

役員報酬については、前回の定時社員総会から、次回の定時社員総会まで、毎月同額でなければ、経費として認めないというルールがあります。

定時社員総会とは、決算日から3か月以内に医療法人の社員(株主のこと)が決算書などを承認するために開催するものです。そこで、任期が到来した理事や監事について、再度就任させるかなどの決定も行います。

例えば、3月決算の医療法人が6月に社員総会を開催して、6月から院長先生の給料(役員報酬)を毎月300万円に決定したとします。ところが、途中で医業収益が急激に下がったことから、翌年の3月から役員報酬を100万円に減額したとします。すると、差額の200万円が経費として計上できなくなるのです。

結果、6月から翌年の2月まで、つまり9か月間の差額である1,800万円(=200万円×9か月)が、すべて経費として認められないのです。ただし、役員報酬であることには、変わりません。そのため、院長先生の所得税率(住民税も含む)が50%、医療法人の法人税率が30%とすると、合計で80%もの税金を支払う計算となります。

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これは減額した場合だけではなく、医業収益が上がったという理由で、途中から役員報酬を増額しても、その部分は医療法人の経費と認められません。ということで、役員報酬を途中で減額したり、増額したりすることは厳禁なのです。

5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 医療法人編

これについて、国税庁から情報が発表されています。

新型コロナウイルスの影響で利益が大きく下がったことを原因に、役員報酬を下げても、全額を経費として計上できるとされました。

そのため、3月決算の医療法人であれば、これから減額した役員報酬を決定すればよいのですが、それ以外の決算月である医療法人でも、役員報酬を期の途中で減額して構いません。

ただし、今後、新型コロナウイルスの影響が少なくなり、医業収益が上がったときに、定時社員総会を経ずに、役員報酬を増額することは認められません。

そのため、安易に役員報酬を減額しない方がよいです。資金繰りが苦しくなったときには、未払金として計上することも認められるからです。

話を元に戻しますが、役員報酬は減額することも、未払とすることもできますので、1年間の支出を計算するときには考慮しないことにして、控除するのです。

さらに、決算書の中の貸借対照表を確認します。2年前の決算書の借入金の合計から、直近の決算書の借入金を差し引くことで、1年間に返済する金額を計算できます。このとき、借入金は長期借入金と短期借入金に分かれていますので、両方を合算することを忘れてはいけません。

それでも、昨年度に追加で銀行から借りていたり、新しい銀行で借り換えを行っていると、2期分の決算書の差額では、「返済が必要な金額」が計算できません。その場合には、銀行から郵送されてきている返済予定表から、1年間の返済金額を計算することになります。

このとき、借入金だけではなく、「リース債務」という勘定科目が計上されていることがあります。医療法人が、医療機器や院長先生が使っている車のリース料を支払うときに、「リース料」として経費にしている場合と、リース債務としてリース料の総額を計上し、毎月のリース料を「減価償却費」に含めて計上している場合があります。1契約のリース料総額が300万円以下であれば、どちらかの処理を任意で選択できることになっています。

それでも、個人事業の院長先生の確定申告書にはあまり計上されていませんが、医療法人の場合には、原則、貸借対照表にリース債務が計上されているはずです。このリース債務が計上されている場合には、リース会社から送られてきているリース返済表から、1年間の返済金額を集計するしかありません。基本的には1か月間で支払うリース料は定額のはずですから、12倍すれば、1年間で支払うリース料が分かるはずです。

以上から、医療法人の1年間の支出が計算できます。

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ここで、もう一度、損益計算書を確認します。
そこに、売上総利益という勘定科目があるはずですので、これで上記の1年間の支出を賄えないと、資金繰りはマイナスとなるのです。

医療法人の場合には、決算日によって、昨年度の決算書が新型コロナウイルスの影響を受けている場合と受けていない場合があります。圧倒的に、3月決算の医療法人が多いのですが、その場合には、2月終わりから3月末までは、新型コロナウイルスの影響を受けているはずです。それを加味して、例えば、昨年度に比べて今年度の医業収益が2割下がると予想するのであれば、売上総利益×80%が、収入の金額となります。

2割は下げすぎだと院長先生は感じるかもしれませんが、将来のことは誰にも予想できませんので、保守的に見積もるべきです。ご自分の医院や病院がある地域、また診療科目から、下がる割合は慎重に決定してくだい。

結果、2割下がるという仮定として、「売上総利益×80% ≧ 1年間の支出」となれば問題ないですが、「売上総利益×80% < 1年間の支出」となるならば、すぐに資金調達のための行動に移る必要があります。

また、プラスであっても、ギリギリである場合には、院長先生の役員報酬をゼロとして計算していることを忘れないでください。院長先生の貯金を取り崩して、生活費に充てることが難しい場合には、やはり資金調達が必要となります。

来月に、医院経営や病院経営の資金繰りが行き詰まるとなってからでは、間に合わない可能性もあります。

今は金利もほとんどゼロで借りることができるのですから、お金に少し余裕がある状態でも損はないので、積極的にお金を借りるようにしましょう。

 

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