5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 個人事業主編

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2020/06/20
5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 個人事業主編

5分でできる、新型コロナウイルスの影響を加味した資金繰りの計算方法 ― 個人事業主編

医院経営や病院経営は、新型コロナウイルスの影響を大きく受けています。特に、新型コロナウイルスの患者を受け入れている医院や病院の医業収益は、受け入れていない医院や病院に比べて、大きく下がっています。新型コロナウイルスを恐れて、外来患者が減ることは、容易に予想できます。

実際に、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が5月18日に「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況緊急調査」を公表したデータからも、明らかとなりました。3病院団体(会員1141施設から回答)によれば、病院全体の収入について2020年4月と2019年4月を比較すると、医業収益はマイナス10.5%となっています。

一方、医院経営や病院経営は、固定費がほとんどの割合を占め、変動費は医薬品や消耗品ぐらいです。しかも、新型コロナウイルスの感染防止策のための追加の費用もかかっています。そのため、医業利益率は2019年4月の1.0%から、2020年4月にはマイナス9.0%にまで落ち込んでいるのです。このうち新型コロナウイルス感染症患者を受け入れている病院では、医業収益はマイナス12.7%で、医業利益率は2020年4月にはマイナス11.8%となっています。

下記の図は、「新型コロナウイルス感染拡大による 病院経営状況緊急調査(速報) 2020年5月18日 日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会」の資料から抜粋しています。

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下がっている医業収益の内訳を確認すると、入院収入がマイナス8.9%、外来収入がマイナス11.5%、その他医業収入がマイナス22.8%となっています。入院患者は、退院したくともできないという理由から、外来患者の収入の方が減少幅は大きくなっています。これを病床がない医院や病院に絞れば、つまり、診療所は外来患者しかいないため、大きく医業収益が下がっているはずです。

新型コロナウイルスの感染者数が減ってきたとはいえ、ゼロになることはなく、かつインフルエンザが流行る季節になれば、再度流行る可能性は大きくなります。そのため、ワクチンが完成して、みんなに行き渡るまでは、医院経営や病院経営の医業収益が元に戻ることはありません。
これからの長期戦に備えて、医院経営や病院経営が資金繰りで行き詰まらないように、資金計画を立ておく必要があります。

まずは、個人事業の医院や病院の場合には、2年間の確定申告書を用意してください。その中に、下記の「所得税青色申告決算書」というものが含まれているはずです。

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この表の㉜の「計」が、医院や病院の1年間の固定費の合計金額となります。ただし、これには⑱の減価償却費が含まれていますので、「㉜-⑱」が1年間に支払っている固定費の合計金額となります。2年分の確定申告書を用意してもらったのは、2つを比べてみて、大きく金額が違うか確認するためです。

医院経営や病院経営でそこまで、毎年の固定費が大きくずれることはありません。たまたま昨年度だけ、医院や病院の内装の修繕を行っていたり、ホームページをリニューアルしていれば、2年間の固定費は大きく異なります。その場合には、異常な費用は控除して、1年間の固定費を計算してください。

次に、貸借対照表を見るのですが、そこには借入金の期首と期末の残高が計上されています。この差額を計算すると、1年間に「返済が必要な金額」となります。これも、昨年度に追加で銀行から借りていたり、新しい銀行で借り換えを行っていると、直前と2年前の確定申告書の貸借対照表から計算される「返済が必要な金額」が大きく違ってきます。その場合には、銀行から郵送されてきている返済予定表から、1年間の返済金額を計算することになります。

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このとき、注意点は、借入金だけではなく、「リース債務」という科目が計上されていることがあります。医院や病院が医療機器のリース料を支払っている場合、支払いごとに「リース料」として経費に計上している場合と、リース債務として計上して、リース料を「減価償却費」に含めて計上している場合があります。1契約のリース料総額が300万円以下であれば、どちらかの処理を任意で選択できることになっています。

とにかく、リース債務として計上されている場合には、リース会社から送られてきているリース返済表から、1年間の返済金額を集計する必要があります。基本的には1か月間で支払うリース料は定額のはずですから、12倍すれば、1年間で支払うリース料が分かるはずです。

ということで、下記で1年間の支出が計算できます。

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ここで、もう一度、「所得税青色申告決算書」を確認します。

そこに「⑦差引金額(=①-⑥と記載されている)」の数字が出ていますが、これが上記の1年間の支出を超えないと、資金繰りはマイナスとなるのです。

当然、昨年度の確定申告書の⑦は、新型コロナウイルスの影響を全く受けていない状態の12月末までの数字です。そのため、例えば、医業収益が3割下がると予想するのであれば、⑦×70%が今年度の収入金額となります。

先ほどの3病院団体が発表した数字に比べると、3割下がるのは大きすぎると院長先生は感じるかもしれませんが、将来のことは誰にも予想できませんので、保守的に見積もるべきです。ご自分の医院や病院がある地域、また診療科目から、下がる割合は慎重に決定してくだい。

結果、3割下がるという仮定として、「⑦×70% > 1年間の支出」となればよいですが、「⑦×70% < 1年間の支出」となるならば、すぐに資金調達のための行動に移る必要があります。

また、プラスであっても、ギリギリである場合には、院長先生個人の所得がゼロとなりますので、貯金を取り崩して、生活費に充てることになります。それができない場合にも、資金調達が必要となります。

次回は、医療法人の資金繰りの計算方法を解説いたします。

 

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