借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

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2020/01/30
借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

医院経営と病院経営において、社会保険診療の医業収益については診療した日が属する月末で絞めて、そのあと2か月後の入金となります。

それでも、診療したときには薬品を使います。翌月には、看護師や従業員の人件費を支払うのです。また、医院開業するときには、建物の内装設備を造り込み、かつ医療機器も購入します。

このように、医院経営や病院経営では、必ず支出や投資が入金よりも先行するのです。

そのため、院長先生の実家がもともとお金持ちでない限り、必ず銀行から借入をすることになります。これは、医業収益が上がることに比例して、それに使う薬品と人件費は増えていくため、事業が拡大していく限り、借金は増えていきます。

さらに、分院を開設する計画があったり、院長先生の中には高額な医療機器を購入する目標があったりすると、そのときに借金の金額は一気に跳ね上がります。そこで銀行からの借金について、院長先生としても最低限の知識は持っておく必要があります。

 

① 元利均等返済と元金均等返済について

銀行に返済する方法として、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。

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上図のグラフを見ても分かりますが、元利均等返済は毎月の返済額が一定となります。そのため、最初のうちは返済金額に占めるのは、ほとんどが利息となります。一方、元金均等返済は毎月の元金の返済額が一定となり、それに利息を上乗せするため、毎月の返済額はどんどん減っていくのです。

どちらがお勧めかと言えば、当然、元金均等返済です。

というのも、返済金額の総額がかなり違うためです。

借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

結果、元金均等返済の方が約400万円程度も返済総額が低くなるのです。ただし、初月の返済金額が元利均等返済であれば1,517,650円のところ、元金均等返済では1,750,000円となり、かなり大きくなります。

そのため、医院開業した当初は資金繰りが不安ですので、元利均等返済でもよいと思います。そのあと医院経営や病院経営が軌道に乗ってきて、借り換えをしたり、追加で融資を申し込むときには、元金均等返済にすべきです。こちらから申請しないと、今までと同じ条件で融資の話が進んでしまうため、そこははっきりと言いましょう。

 

② 返済期間について

単純に返済期間は長い方がお勧めです。

借金の返済期間が短いと、結果的に資金繰りが詰まることから、他の銀行から追加で借りるなどの事態に陥り、条件が悪くなる可能性が高くなるからです。

例えば、利息は無視して、3億円を借りて10年間で返済する場合と20年間で返済する場合を比べてみましょう。

借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

上記の返済額が、あなたの医院や病院の決算書において、「減価償却費+税引き後の当期純利益」よりも小さくなる必要があります。医療法人であれば、医業収益に占める社会保険診療の割合にもよりますが、法人税率は約30%となります。

例えば、医院開業のときに建物の建築費用が建物内装設備を含めて1億円、医療機器で5,000万円がかかったとして、ざっくり1年間の減価償却費は1,000万円程度です。その上で、借金が10年返済とすると、医療法人で28,500,000円の税引き前の当期純利益を確保しない限り、上記の返済金額では途中で資金繰りが詰まるのです。

さらに、院長先生が個人事業主であれば、所得税率は42%にもなります。そのため、10年返済であれば、個人事業主として35,000,000円もの税引き前の所得を確保しない限り、途中で資金繰りが詰まるのです。個人事業主であれば、35,000,000円に加えて生活費に相当する利益が加算されて、さらに所得税率が上がりますので、はっきり言って返済は難しくなります。

一方、借金が20年返済にできれば、医療法人で7,000,000万円の税引き前の利益、個人事業主で6,500,000円の税引き前の所得を確保すればよくなります。

金利の比較ばかりに目を行かせずに、返済期間が長い銀行を選ぶようにしましょう。

 

③ 信用保証協会について

信用保証協会とは、医院や病院が借金の返済ができない事態になったときに、代わって銀行に返済してくれる団体です。銀行としては、元本が保証された上での融資となるため、元本が返済されないリスクはなくなります。当然ですが、融資の稟議は通り安くなります。

ということですが、医院や病院は、銀行の金利に上乗せして、保証協会に支払う保証料も負担する必要があります。

一方、プロパー融資とは、信用保証協会が付いていない銀行からの融資です。
そのため、銀行の担当者から、

「うちの金利は他の銀行よりも低いですよ。ただし、信用保証協会付きにはなりますけどね」

と言われたら、あとで保証料が追加されるということです。

その銀行が提示してくる金利について、保証料がプラスされているのか確認してください。それも合わせて、銀行同士の金利を比べるべきです。

 

④ 表面金利と実質金利について

銀行によっては、

「3億円を融資しますが、そのうち1億円は定期預金に預け入れてもらうことになります」

と言ってくることもあります。

借入金は表面金利ではなく、実質金利で考えよう

最初に提示された金利は2%だったのに、そこに1%の信用保証料がプラスされて、かつ一部を定期預金に預け入れると、実質的な金利は約4.45%にまで跳ね上がることが分かります。2億円を10年返済として、2%で借りたら、返済総額は220,832,280円となります。

一方、2億円を10年返済として、4.45%で借りたら、返済総額は248,154,120円となり、27,321,840円も増えてしまいます。

判断を間違えないために、院長先生は、必ず実質金利を計算しなければいけません。

 

⑤ 変動金利と固定金利について

最後に、金利の設定方法にも3種類あります。
1つ目が、返済期間は同じ金利となる固定金利、2つ目が、返済期間で経済動向によって金利が動く変動金利、3つ目が2つの折衷で、最初の一定期間が固定金利で、途中から変動金利に切り替わるものです。

過去10年、20年を見ますと金利はずっと下がってきています。そこで、変動金利がお得ではと考えがちですが、将来の予測は誰にもできません。

そのため、返済期間を通じて固定金利とした方が、リスクは減るのでお勧めです。

変動金利よりも固定金利の方が、銀行側がリスクを負うため、高くはなりますが、現在の低金利で固定できるというメリットは大きいはずです。

以上のように、単純な表面金利だけで銀行を比べるのではなく、それ以外の条件も考慮して判断する必要があるのです。

 

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