患者に関する記録(診療録など)は、いつまで保存しておけばよいのか?

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2019/09/30
患者に関する記録(診療録など)は、いつまで保存しておけばよいのか?

診療録とは医師法上の言葉で、医師が患者の診療内容や経過などを記載する文書のことです。ただし、医療法施行規則第 20 条では、診療に関する諸記録を含むとしています。そこで、診療録等とは、診療録だけではなく、看護記録や処方内容、さらには医療保険制度上で適切な記載が必要とされる書類を指すことにします。

まず、診療録の具体的な記載事項は、療養担当規則で様式一として定められています。

次に、看護録などについてですが、助産婦が記載する助産録は保健婦助産婦看護婦法で記録が義務づけられています。その他の看護録については法律上の規定はなく、施設基準と診療報酬算定要件として厚生労働省から公表された文書上で、患者の個人記録の作成を要請しています。

これらは、院長先生や看護師の私的なメモではないため、事実を正確かつ客観的に記載する必要があります。

もし記載がない場合には、診療を行わなかったと見なされてしまいます。病棟がある医院や病院であれば、入院患者についても、毎日記載する必要があります。特に、医療訴訟で訴えられたときには、「カルテに記載がないことはかえって診察しなかったことを推定せしめるものとすら一般的にはいうことができる」 (岐阜地裁昭和49年3月25日判決)とされています。

ということで、院長先生が適切な診療を行っている重要な証拠となるので、必ず作成しておきましょう。当然ですが、証拠となるものですから記載するときには、インク又はボールペンを使ってください。くれぐれも、鉛筆など将来、消えてしまうものは使ってはいけません。
そして、記載を訂正するときには、訂正する部分に二本線を引き、元の記載が見えるようにしておくことが重要です。元の記載を塗りつぶしたり、修正液等で修正すると、改ざんを疑われる原因となります。

それでは、これらの診療録等の保存期間は、何年なのでしょうか?

 

(1) 診療録

医師法24条第2項において、

「2 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。」

とされていますので、5年間の保存義務があります。

 

(2) 診療に関する記録

病院については、診療に関する諸記録を2年間備えておく必要があります。(医療法21条①九)
諸記録とは具体的には、医療法施行規則20条十において、

「診療に関する諸記録は、過去二年間の病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院患者及び外来患者の数を明らかにする帳簿並びに入院診療計画書とする。」

と定義されています。

 

(3) 療養の給付の担当に関する必要事項を記載した診療録、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録

保険医療養担当規則9条において、

「保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする。」

との記載があります。ということで、保険医は療養の給付の担当に関する帳簿及び書類について、3年間の保存が義務付けられているのです。

 

以上のように、法令によって診療録等の保存期間が定められています。
ところが、最初に解説しましたが、もっとも必要となるのは患者から訴えられたときです。そのため、医療訴訟の損害賠償請求の消滅時効まで保存しておくべきです。原則として、医院や病院と患者との間での医療行為の契約について債務不履行であったとして、訴えられるケースでは、民法167条1項により10年間行使されなければ消滅します。

一方、患者が不法行為で医院や病院を訴えてきた場合には、民法724条が適用されるため、

① 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき

または、

② 不法行為の時から20年を経過したとき

のどちらかが、消滅時効となります。通常は、知ったらすぐに訴訟してきますので、20年と考えるべきです。

とすれば、診療録等は、この20年に合わせて保存しておくべきです。

ただし、書類を保存するにも保管料がかかります。それでも、これらをケチったことで医療訴訟に敗訴すれば、賠償請求だけではなく、医院や病院の名前にも傷がつきます。診療録等をPDFでファイルとして保存するとともに、安い保管料の倉庫を探して保存しておきましょう。

このとき、ファイルとして保存するときの名称や倉庫に送るときの段ボールのラベルは工夫してください。

ファイル名を保存した日付だけにしていたり、段ボールに無作為に詰めるだけでは、あとから診療録等を探すときの手間が膨大にかかります。それで結果的に探し当てることができなければ、ファイルや原本として保存しておく意味もないからです。

 

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