患者から、診療記録やレセプトの開示を請求されたら、どうすべきか?

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2018/04/20
患者から、診療記録やレセプトの開示を請求されたら、どうすべきか?

医院や病院は、患者の個人情報を保存しています。そのため、

医院経営や病院経営の運営上、これらの個人情報をどのように取り扱えばよいのかという基本的な知識は必須です。

個人情報保護法では、「個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」と定義されています。

この定義に照らせば、診療記録やレセプトも個人情報に含まれるのです。個人情報は医院や病院で適正に管理するだけではなく、求められたら開示することも必要となります。

さらに、平成27年9月から新しくマイナンバー(個人番号)が発行されました。国民背番号制とも呼ばれ、将来は政府のデータベースで国民1人ずつのデータが一元管理されることになります。計画では、このマイナンバーを医療情報と結びつけることで、レセプトが医院や病院で共有されることを目標にしています。共有されることで二重の検査や薬の重複が排除されたり、医療ミスも減り、医療の効率化が図られると期待されています。

また患者にとっても、どの医院や病院にかかっても過去の病気の説明の必要がなく、バッティングするような薬が出される危険性も減り、安全性が高まるはずです。その計画が達成されたときには、医院や病院は莫大な数の患者のマイナンバーを保管することになるでしょう。ただそれはまだ先の話であり、現時点で医院や病院が個人情報について気を付けるべきことを考えていきます。

 

1. 診療記録やレセプトの開示について

院長先生から、
「患者本人から、診療記録やレセプトの開示請求をされたが、医院や病院は提供する義務があるのか?」
と聞かれることがあります。

診療情報の提供等に関する指針や個人情報保護法により、患者本人から請求があった場合には、医院や病院は個人情報を開示しなければいけないことになっています。

これは任意ではなく、義務となります。
ただし、患者に開示したことで、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合や医療機関の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合には、開示しないこともできます。

具体的には、患者に病状や予後、治療経過等について十分な説明をしたばかりに、本人に重大な心理的な影響を与えてしまう場合などです。病名を伝えたら、本人に不安が広がり、悪化してしまうなどの場面が想定されています。今後の治療効果に悪影響を与えてしまっては、患者本人の利益にもならないからです。これを医院や病院で判断できるのは、院長先生だけとなります。

ただ私は、患者本人が見たがっている以上、「診療記録やレセプトは開示できない」と突っぱねるよりも、提供して十分説明した方がよいと思っています。

というのも、開示しないことで、結果的に患者の心理に悪影響を与えたことになれば、無駄な争いの原因になるからです。

それでは患者本人ではなく、患者の家族から診療記録やレセプトの開示請求をされたら、どう対応すればよいのでしょうか?

実は、医院や病院は患者本人の同意がない限り、患者の家族に個人情報を開示することはできないことになっています。

自分の親の病状が知りたい、または兄弟の病状が知りたいと言われたとしても、患者本人の同意がない限り、絶対に開示してはいけません。院長先生が独自で判断してしまうと、あとでトラブルに巻き込まれることになります。「個人情報保護法23①により、開示できない」とハッキリと断ってください。

ただ患者が亡くなっている場合には、本人の同意を得ることはできません。このとき、患者の家族から診療記録やレセプトの開示請求があったら、どう対応すればよいのでしょうか?
その場合には、診療情報の提供等に関する指針第9項に従うことになります。

つまり、患者の遺族から診療記録やレセプトの開示請求があったら、医院や病院は提供しなければいけないのです。このときの遺族の範囲は「患者の配偶者、子、父母及びこれに準ずる者(これらの者に法定代理人がいる場合の法定代理人を含む。)」となっています。

この範囲を超えて無暗に、個人情報を提供することは止めてください。これ以外の範囲の遺族が診療記録やレセプトを見たいというのは、何か裏の意図がある可能性が高いのです。院長先生が自分で勝手に判断すれば、あとでトラブルに巻き込まれる原因となります。

 

2. マイナンバーの管理

医院や病院は院長先生だけではなく、勤務医、看護師、受付の社員のマイナンバーを保管する必要があります。これは年末調整や支払調書を発行するときに記載して、本人だけではなく、税務署や市区町村に提出する義務があるためです。

このとき、メール等で各人からマイナンバーを回収している医院や病院もあるようですが、基本的には紙ベースで集めなくてはいけません。その紙は鍵のかかるキャビネットに保管するか、システム等に入力したあとはシュレッダーで廃棄してください。本人に戻すという方法もあります。

そして医院や病院が自分たちで年末調整や支払調書を作成している場合には、システム側でパスワードによってマイナンバーが外部に漏れない仕組みになっているはずです。あとは、そのパスワードが担当者以外には分からないように管理して、かつ随時変更していれば問題ありません。

ただほとんどの医院や病院は社会保険労務士などのプロに年末調整や支払調書の作成を外注していることが多いと予想されます。その場合には、その外注先の管理体制について事前に説明を受け、マイナンバーの管理についての契約書も交わしておきましょう。これはマイナンバーが漏れたときの責任を誰が負うかをハッキリさせるだけではなく、外注先に注意を促すことができます。

結局、マイナンバーが漏れて、あの医院や病院は情報管理がずさんだという噂が周りの地域に流れてしまったら、お金では取り返しがつかないことになるのです。

個人情報が漏れる原因はシステムなどのエラーではなく、院長先生の判断ミスであったり、看護師や社員の人為的なミスがほとんどです。「診療情報の提供等に関する指針」については、厚生労働省のHPで誰でも見ることができて、しかも15分ぐらいで全文を読むことができます。そのため、一度、院長先生、勤務医、看護師、受付の社員まで全員が集まって、確認する時間を取りましょう。

 

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