医療費控除の正しい知識を持って、患者さんにも説明しよう

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2018/12/20
医療費控除の正しい知識を持って、患者さんにも説明しよう

年末から年明けにかけて、患者さんは確定申告の医療費控除で使うために、医院や病院からの領収書を集計し始めます。不明点や疑問点があれば、医院や病院に連絡をしてきます。または領収書を再発行して欲しいと依頼されることもあるでしょう。

ただ受付の従業員や看護師がまったく、医療費控除の知識がないと、間違った助言をして、あとでクレームにつながることもあります。そのため、1年に1回程度、従業員や看護師に対して医療費控除について説明すべきです。ただ判断に迷うような場合には、税務署や税理士に聞いてもらうべきですので、基本的な知識で十分です。

 

(1) 10万円超の部分のみ

医療費控除は、下記のように計算を行い、1年間で最大200万円までとなります。

この計算式を見て分かるように、1年間で10万円超の医療費を使わないと、医療費控除の申告はできないことになります。しかも領収書の金額ですので、当然、患者さんの自己負担分の金額です。社会保険診療であれば、7割(または75歳以上であれば9割など)負担の部分は対象外となります。

「なんだ、うちの患者さんで1年間の医療費が10万円を超えるケースは、ほとんどないな」と考えるかもしれません。確かに、入院施設がなければ慢性疾患でない限り、10万円を超えることはまずないかもしれません。しかし、この10万円は1人当りの金額ではないのです。

同居している家族の分をすべて合算することができます。

そのため、夫婦共働きであったとしても、妻の医療費を夫の医療費と合算して、夫の確定申告で使っても問題ありません。両親と同居している場合などは、その領収書も合算できるため、医療費が10万円を超えるケースが多くなります。だからこそ、

あなたの患者さんの1年間の医療費の合計がたったの3000円だったとしても、領収書を集める意味はあるのです。

さらに、間違えやすいのは、医療費控除の計算式の「①の金額」です。
例えば、患者さんが生命保険会社から受け取る入院費給付金などが該当するのですが、実際に支払った入金費用よりも大きくなる場合があります。そのとき、他の医院や病院の医療費から差し引いて通算してしまう人がいるのですが、その必要はありません。

あくまで、対象となった入院費用からだけ差し引き、引き切れずにマイナスになった金額は、切り捨ててよいのです。

 

(2) 医療控除は、所得控除でしかない

所得税の確定申告で控除という制度は、税額控除と所得控除の2種類があります。
まず税額控除とは、所得税自体を控除してくれる制度です。もっともよく使われるのが、外国税額控除です。

例えば、アメリカの不動産に投資して利益が出れば、現地で税金を支払います。
一方、日本は全世界所得課税ですので、そのアメリカの不動産からの利益を日本の所得と合算して申告しなくてはいけません。

つまり、アメリカでの利益は現地で課税されて、かつ日本でも課税されてしまうのです。そこで、日本での所得税が確定した段階で、アメリカで支払った税金を控除してよいと決まっているのです。アメリカで100万円の所得税(Income TAX)を支払い、かつ日本で確定申告したら500万円の所得税を支払うとなったならば、差し引き400万円を納めればよいことになります。

一方、医療費控除は所得控除となります。

例えば、医療費控除を申告する患者さんの所得が600万円だとすると、330万円を超えた部分には30%の所得税率がかかっています。

ここで、患者さんの家族の年間の医療費の合計が15万円だったとすれば、10万円を差し引いて5万円が医療費控除の対象となります。ただあくまで所得からの控除であるため、「5万円×30%=1万5000円」の所得税が戻ってくる制度なのです。

ここで所得600万円というのは、給与所得控除や社会保険料控除などを差し引いた金額ですので、おおよそ年収1000万円の患者さんのことです。そのため、もっと年収が低い患者さんであれば、所得税率が低くなり、戻ってくる所得税はさらに減るのです。

集めた医療費の領収書の金額が、そのまま戻ってくると勘違いしている患者さんもいます。

それがクレームにつながることもあります。だからこそ、そもそも戻ってくる所得税が小さいことを事前に理解してもらうことが大切です。

 

(3) 対象となる医療費は、限られる

医療費控除の計算式の「実際に支払った医療費の合計額」を間違える人がいます。というのも、医院や病院の領収書を足せばよいだけではないからです。

医療費控除の対象となる領収書は限られています。

まず病気を治療したことによる領収書でなくてはいけません。
予防に関するものは、対象外となります。

ということで、原則は社会保険診療が対象となり、自由診療は対象外となります。自由診療の具体的なものとして、美容整形は当然ですが、健康診断・人間ドックやインフルエンザの予防接種の料金なども含まれます。

ただ自由診療の中でも、妊婦の定期健診のための費用、不妊治療・人工授精の費用、妊娠中絶の費用などは対象となります。治療が目的ではないのですが、出産に関する費用は社会政策的に医療費控除の対象としているのです。もちろん、出産のための入院費も対象となりますが、健康保険から出産育児一時金をもらうはずですので、これを差し引いた差額が対象となります。

さらに、レーシックにかかる費用も自由診療の対価ですが、近視や乱視を矯正する手術であり、院長先生の診療も行われた上での治療と認められるため、対象となるのです。

同じように、眼鏡の購入費用は対象外ですが、子供の視力の発育を促すためだったり、白内障の患者の術後の保護のためだったり、院長先生が治療の一環として眼鏡をつけることを指示したならば、対象となります。

それ以外にも、美容整形となるホクロの除去費用は対象外ですが、やけどの治療にともに行うケロイド部分の皮膚移植手術の費用は対象となります。

もっとも判断が難しくなるのは、医療用器具等の費用です。
例えば、血圧計は予防のために買う人がほとんどですので、その購入費用は対象外です。ところが、院長先生から毎日血圧を測ることを指示された上で買ったという場合には、対象となってしまうのです。

だからこそ、院長先生に「治療の一環であったかどうか」を、患者さんは確認したいのです。

さらに、診療や手術の費用だけではなく、医薬品医療機器等法第2条第1項で規定される医薬品も対象となります。そのため、院長先生の処方箋によって調剤薬局でもらう医薬品だけではなく、市販されている、かぜの治療のための医薬品の購入費用も対象となるのです。ただ漢方薬やビタミン剤は、医薬品医療機器等法に当てはまらないため、対象外となります。とにかく、医薬品であっても、病気を治療するための領収書に該当すれば、対象となります。

このとき、認可されていない医薬品であっても、下記の3つを満たせば、医療費控除の対象となります。

そのため、院長先生が個人輸入して使用している医薬品の購入費用でも、治療のためであれば、対象となります。

なお最近の税制改正によって、医院や病院の領収書を確定申告書に添付して提出する必要はなくなりました。毎年、大量の医療費の領収書を保管しておくだけでも、税務署のコストはかなりかかっていたようです。

とはいえ、税務調査があったときには、医院や病院の領収書を開示する必要があります。

 

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