医院経営や病院経営を手伝っている妻(配偶者)への給料は、いくらまで支払えるのか?

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2012/02/16
医院経営や病院経営を手伝っている妻(配偶者)への給料は、いくらまで支払えるのか?

あなたが、個人で医院経営を行っているとすると、毎年1月1日から12月31日までの医業収益から、経費を差し引いた所得(利益のこと)に応じて、所得税を支払っているはずです。

この所得税は、累進課税となっています。

累進課税とは、所得税が、あなたの所得に比例して増えるという制度ではありません。所得が増えると、一気に段階的に税率が上がるという制度です。

例えば、あなたの医業収益が5000万円であったが、看護師の給料や医院や病院の賃料、それ以外の経費が4500万円かかったとすれば、500円の所得になります。

所得税を計算するときには、扶養控除や医師国保の保険料などが差し引けるため、それが100万円とすれば、最終の所得は400万円と計算できます。400万円の所得に対しては、372,500円の所得税がかかります。

372,500円 ÷ 500万円 = 7.45%

つまり、実質的な所得税率は、7.45%になるのです。

次に、あなたの医業収益が上がり、1億円になったとします。経費比率90%は同じであったとすれば、所得は1000万円になります。

同じように、扶養控除や医師国保の保険料が100万円とすれば、最終の所得は900万円となります。900万円の所得に対しては、1,434,000円の所得税がかかります。

1,434,000円 ÷ 1,000万円 = 14.34%

つまり、実質的な所得税率は、14.34%に上がっています。所得税が所得に比例するだけであれば、実質税率7.45%を使い、900万円の所得には、670,500円の所得税と計算できます。

ただ、実際には、2倍以上も所得税は増えてしまっているのです。

だからこそ、所得税は累進課税と呼ばれ、高い所得の人から、より多くの税金を徴収する仕組みになっているのです。

また、上記は所得税の計算でしたが、それ以外に、所得に対して住民税がかかります。こちらは、所得に対して、一律10%であるため、比例していると言えます。

とにかく、所得税は、所得を分散して、
各自の所得を低くすることができれば、
税金は節税できるのです。

そこで、あなたが、個人で医院経営を行っていると、所得を分散させるためには、妻(または夫)に対して、給料を支払うということを考えます。

所得税では、配偶者に対して、
専従者給与を支払うことを認めています。

ただし、要件があります。

  • 【1】医院経営が青色申告で行われていること
  • 【2】青色申告者と生計を一にする配偶者、その他の親族であること
  • 【3】その年の12月31日現在で、年齢が15歳以上であること
  • 【4】その年の6ヶ月を超える期間に、医院経営に専ら従事していること
  • 【5】事前に、青色専従者給与の金額を、税務署に届け出ていること

要件を満たしていれば、所定の用紙(上記の【5】)に記入して、税務署に提出するだけであり、それが受理されないことはありません。

悩むのは、妻(または夫)に対して、どのくらいの給料を支払ってもよいのかということです。ハッキリ言って、あなたと同じぐらいの専従者給与を支払えば、所得は2分されて、節税効果は一番高くなるでしょう。

ただ、看護師や受付の社員と比べて、医師でもない妻(または夫)の給料が高すぎると、税務上は否認されてしまいます。税務申告書を提出した段階ではダメだとは言われません。

あとで、税務調査が入り、妻(または夫)の勤務実績や仕事内容から、給料が高すぎると判定されることがあるのです。もちろん、妻(または夫)にしかできない仕事、例えば、看護婦や社員の給料の計算や支払いなどを頼んでいたり、医院経営の確定申告のために、領収書の整理をやってもらっていたりすれば、それは、評価されて、給料に反映させて問題ありません。

それでも、何の基準もなければ、決めることができないという方も多いかもしれません。そこで、TKC医業賃金統計の資料から、凡その全国の平均の金額を記載しておきます。

(単位:万円)

 

医師 薬剤師 看護師 その他 資格なし

平均総支給額

1,500 700 650 600 550

あくまで、上記の金額は平均なので、地域によっても、医院や病院の大きさによっても、変わってきます。そして、先ほども言いましたが、あなたの医院経営や病院経営での妻(または夫)の働く内容(受付というだけではなく、給与計算とその支払いや領収書の整理を行っている)によっては、上記の平均に加算できます。

一方、妻(または夫)だけ、看護師や社員に比べて、出社日数が少なかったり、午後だけ出勤するなど、勤務時間がそもそも短ければ、それを反映させて、上記の平均から減額しなくてはいけません。

なお、青色専従者給与は、毎年、少しずつ昇給させることも、働く内容が変わった時点で金額を変更させることも、税務署に変更の届出を提出すれば、問題なく可能です。ただし、1年の途中で変更することは難しく、1年毎と考えてください。

そのため、あなたが医院経営や病院経営を行っていて、12月末に近くなり、又はそこまで行かなくても、8月ぐらいに、今年の利益は大きくなることを理由に、妻(または夫)の給料を増やして節税することはできないことに、注意が必要です。

だからこそ、年度末には、来年からの妻の給料をいくらにするのか、決めておくことが、節税するためには、必要となります。

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