あなたの医院経営や病院経営の福利厚生費は、グレーな経費ではないですか?

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2012/08/20
あなたの医院経営や病院経営の福利厚生費は、グレーな経費ではないですか?

前回の解説で、医院経営や病院経営において、税務調査で、経費であったものを、役員賞与にされてしまうと、最悪なことになるのは理解してもらったと思います。

まず院長やその親族だけが使うのに、【1】別荘にかかる管理費などを経費にしてしまうと、あとで税務調査のときに役員賞与にされてしまうので、止めましょう。

それ以外に、どんなものが役員賞与になってしまうのでしょうか?

【2】会員権は大丈夫か?

会員権と聞くと、すぐに思い浮かぶのが、リゾート会員権です。

別荘を買うよりも、医院や病院に働く看護師や社員みんなが使えて、しかもリゾート会員権ならば、管理会社が清掃を行ってくれまし、料理も予約しておけば作ってくれます。看護師や社員も気を使わずに、利用しやすいでしょう。

そのため、最近は医療法人が別荘ではなく、リゾート会員権を買うケースの方が多いようです。

また他にも、医療法人がフィットネスクラブの会員権を買うケースもあります。
法人会員になれば、同じ系列のフィットネスクラブはすべて使えるというものです。

チェーン展開していれば、院長だけではなく、看護師や社員が住んでいる家の最寄り駅にあるフィットネスクラブを自由に使えることになります。

このように、院長だけではなく、看護師や社員も利用していれば福利厚生費という経費になります。

ただ、個人医院や医療法人が支払ったお金が、すべて経費になるわけではありません。

 

個人医院の場合

医療法人の場合

誰が会員か?

院長個人

院長個人

医療法人

入会金について

経費ではない

院長個人の役員賞与
ただし、法人会員の制度がなく、やむを得ず院長個人で入会した場合にはその理由によっては資産として計上できる

資産として計上
ただし、院長個人やその親族しか使えないと、規約上で利用者が限定されていれば、役員賞与になる

入会金が返還されない場合には、資産として計上したあと、入会金の有効期間で償却するため、経費として計上できる

保証金について

経費ではない

資産として計上

年会費は?

経費ではない

福利厚生費
ただし、入会金が役員賞与になった場合には、この年会費も役員賞与になる

医院や病院が負担した利用料は?

福利厚生費

福利厚生費

院長、看護師、社員が同じ金額で利用できて、その金額も一般的な範囲内で妥当性があることが前提

個人医院や医療法人がリゾート会員権を買った場合も、ほぼ同じ処理になると考えてください。

また、あなたは、「役員である院長は忙しいので使わず、社員である親族だけが使っているならば、経費になるのでは?」と主張するかもしれません。この場合でも、福利厚生費という経費にはならず、最悪は役員賞与になってしまうのです。

役員は院長だけではなく、その親族も医療法人の登記上は役員になっていなくても、税務上は「みなし役員」となるからです。

そのため、役員ではない妻だけが使っているフィットネスクラブの会員権にかかる経費もすべて役員賞与になる可能性があります。

あとで、多額の法人税と所得税、それにペナルティがかかってしまうので、気をつけましょう。

とにかく、役員賞与になるぐらいならば、
役員報酬として経費にした方が絶対に得です。

役員賞与になれば、法人税と所得税をダブルで支払うことになります。

【3】院長の役員社宅は豪華すぎないか?

医療法人が、院長のためにマンションを借りて、貸し付けていることがよくあります。
自宅は持っていたとしても、毎日、診療で遅くなるので、近くにマンションを借りていることもあるでしょう。

院長が医療法人に支払う家賃が安すぎたり、あまりに豪華だと差額が役員報酬になります。さらに、この役員報酬が高すぎるとなれば、役員賞与とみなされることもあるので、注意が必要です。

(1)院長から取るべき家賃

院長が医療法人に支払うべき家賃は、勝手に決めてよいわけではありません。

例えば、月額20万円の家賃の社宅があり、院長が月額10万円を医療法人に支払えば、差額の10万円が医療法人では経費になります。

院長が支払う10万円は、役員報酬でもらったお金から支払うため、所得税の支払い後の金額です。一方、医療法人が支払う差額の10万円は経費になるため、法人税は支払いません。

これで、毎月10万円、1年間で120万円、10年間で1200万円分が節税できます。

そして、この差額が大きいほど、節税効果も大きくなることに気づくでしょう。

でも、無制限に許されることではありませんので、下記の計算式で算定します。

賃料相当額(月額) =
{ 建物の固定資産税の課税標準額 × 12/100(※) + 土地の固定資産税の課税標準額 × 6/100 } × 1/12
(※)木造家屋以外は、10/100

この賃料相当額と、医療法人が支払う賃料の50%と比べて、高い方を院長は支払わなくてはいけません。
ただ、小規模住宅として、床面積が132㎡以下(木造以外の建物であれば99㎡)であれば、上記に関係なく、下記の計算式で算定できます。

賃料相当額(月額) =
建物の固定資産税の課税標準額 × 2/1000 + 12円 × 建物の総床面積(㎡)/3.3(㎡) + 土地の固定資産税の課税標準額 × 2.2/100

さらに、床面積が240㎡以上あったり、プールがついていたり、社宅としては豪華すぎると、豪華役員社宅と認定されて、上記の計算式が使えなくなってしまいます。

豪華役員社宅と認定されることは少ないですが、上記の計算式で賃料相当額を計算していないと、経費とは認められません。気をつけましょう。

なお、個人事業主の医院では、役員社宅は認められていません。

【4】社員旅行も経費に認められない?

医院や病院では、院長や看護師や社員の人数が多くなく、アットホームな雰囲気になります。みんなが、患者を助けるという同じ方向で協力していることもあり、連帯感もあります。

医院や病院では女性が多く働く職場でもあり、みんなで、社員旅行(慰安旅行)に行くというケースは本当によく見受けられます。

社員旅行に行って親睦を深めることは、そのあとの仕事の士気も高めるので、よいことなのですが、この経費が高すぎたりすると問題が起こります。

  • 【1】 医院や病院が負担する1人当たりの旅行費用は、10万円程度
  • 【2】 旅行日程は、4泊5日以内
  • 【3】 社員旅行に参加する看護師や社員は、全体の50%以上

これらを満たしていないと、医院や病院が支払った旅行費が福利厚生費とはならず、看護師や社員の給料となってしまいます。
これは役員賞与とまではなりませんが、看護師や社員の給料とみなされることで、所得税を支払うことになってしまいます。

注意すべきことは、業務上の理由で参加できないのはよいのですが、単なる自己の都合で社員旅行に参加できない看護師や社員に対して、お金を支給した場合には、その不参加者だけではなく、全員に給料があったものとみなされてしまうことです。

医院や病院で、看護師や社員への配慮から、社員旅行に行くことを選択制にしている場合が多く見受けられます。
そのとき、参加しない看護師や社員に対してお金を出すと、給与になってしまうのです。

なお、個人事業主の院長や親族だけで行く場合はもちろんのこと、医療法人の役員だけで行く旅行費は、福利厚生費にならず、役員報酬(一部、交際費)になります。

結局、経費だと考えていたものが、あとで違ったとなれば、医院経営や病院経営の資金繰りを悪化させてしまいます。

そうならないために、税法の要件を知っておくべきです。

それを守れば、必ず、経費として認められるのです

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