個人事業主の医院(クリニック)が知っておけば損をしない所得の区分とは-①

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2017/06/10
個人事業主の医院(クリニック)が知っておけば損をしない所得の区分とは-①

個人事業主の医院(クリニック)が知っておけば損をしない所得の区分とは-①

医療法人は法人税がかかりますが、基本的に医療法人で契約を行います。それをもとに売上を上げたり、経費を支払ったものは、すべて医療法人の決算書に反映されます。

例えば、医療法人がアパートを購入して運営すれば、医療法上は問題です。
都道府県から改善の指導や命令が発せられたり、過料(罰金)として20万円を課せられるかもしれません。それでも、法人税法上はアパートの賃料を医療法人の売上として計上し、その修繕費や清掃費は医療法人の経費と認められます。

医療法人が借家人と賃貸借契約を行い、実態的に医療法人の社員がアパートの管理を行っていれば、否認されるリスクこともありません。そして、賃料は医業収益と合算されて売上となり、アパートの経費も医療法人の賃料や医薬品の仕入などと合算されるのです。その上で、利益が計算されて法人税がかかることになります。

一方、所得税はまったく違う構造となっています。

所得税では、その売上の性質によって10種類に区分されています。

個人事業主の医院(クリニック)が知っておけば損をしない所得の区分とは-①

① 利子所得や② 配当所得とは、受け取るときに課税されます。
例えば、10万円の利息を銀行から受け取るときに20%の2万円を源泉徴収されて、残りの8万円を受け取ります。上場会社の配当も源泉徴収されるのですが、同じようにそれだけで課税を終わらせることができます。ただ未公開会社の配当については、源泉徴収されたあと確定申告して精算する必要があります。

⑤ 給与所得や⑥ 退職所得も、院長先生が勤務医の時代を思い出してもらうと、医院や病院から給料や退職金をもらうときには、源泉徴収された残りが自分の通帳に振り込まれたはずです。あとで給料明細をもらうと、そこに給料の額面金額と源泉徴収した金額、社会保険料の金額が明記されていたはずです。

このように、4つの種類の所得に関しては、お金を受け取る本人が区分を決めるわけではなく、支払う側がどの所得区分になるかを判断して支払うことになります。また⑦ 山林所得は木を伐採してそれを売却するときに発生する所得となるため、医院経営や病院経営とは関係がありません。

さらに、⑨ 一時所得については、具体的には下記となります。

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あと残った所得区分は、③ 不動産所得 ④ 事業所得 ⑧ 譲渡所得 ⑩ 雑所得の4つとなります。まずはそれぞれの定義を見ていきましょう。

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なぜ、所得区分とその定義が大切になるのでしょうか?
それは、3つのことからです。

第一に、基本的に所得区分の中での売上と経費の通算が原則となります。
第二に、所得区分に分類された売上に関連した支出で、かつ必要なものしか経費に計上できません。
第三に、所得区分によって、税金の計算方法が変わってくるのです。

例えば、院長先生が所有する土地の上で医院経営や病院経営を行っていたとします。この病院の駐車場としては少し広すぎるのでフェンスで区切り、月極め駐車場するとともに自動販売機を置いたとします。

個人事業主の医院(クリニック)が知っておけば損をしない所得の区分とは-①

まず医院や病院の専用駐車場の駐車場代は土地の貸付となりますが、医院や病院の事業に必要な敷地ですので、院長先生の事業所得となります。医院や病院が駐車場代を徴収していないことも多いはずですが、長時間駐車するときには徴収することもあるはずです。この敷地のアスファルト舗装する費用などは、院長先生の事業所得の経費として確定申告を行います。

次に、その隣で運営する月極め駐車場の駐車場代は、医院や病院の事業とは関係なく、あくまで院長先生の土地の貸付となるため不動産所得に分類されます。この駐車場部分に関して使った経費、例えばフェンスを建てる費用などは月極め駐車場を運営するためのものでしたので、不動産所得の経費として計上されます。また専用駐車場と一緒にアスファルト舗装をした場合には、その面積で事業所得と不動産所得に按分します。

最後に駐車場に設置した自動販売機の売上は、医院や病院とは関係がなく、不動産所得の定義からも外れて、それ以外にも該当する所得が見当たらないため、雑所得に分類されます。この自動販売機の設置費用や壊れた時の修理費用は、雑所得の経費になります。

それだけならば、所得区分があっても同じではと勘違いしてしまいます。
ところが、院長先生が最初に医院開業するときに、この土地を購入するために銀行から借金をしていたとします。
毎年、借金の利息を支払うのですが、専用駐車場の面積に対応する利息は医院経営や病院経営のために借りているため、事業所得の経費になります。月極め駐車場の面積に対応する利息は不動産所得の経費になります。

ところが、月極め駐車場は周辺地域にも競合の駐車場が多く、空きが出て売上が上がらないことで赤字になることもあります。このとき、赤字のうち土地を購入するための借金の利息は不動産所得の経費として認められないのです。つまり、その部分に対応する利息は切り捨てとなります。

さらに、自動販売機についても、初期投資の経費を差し引いたら初年度は赤字になるかもしれません。この場合も雑所得は最低がゼロ円でマイナスは認められません。つまり、事業所得や不動産所得との通算が認められていないため、やはり赤字に相当する経費は切り捨てとなります。

このように医院経営や病院経営に直接関連する事業であれば、院長先生の事業所得となるのですが、関連しないものは院長先生の不動産所得や雑所得となって、所得区分が変わることで不利益となるのです。

医療法人であればすべて通算できた売上と経費が、個人事業主の院長先生の場合には制限されるということになります。そのため、どの所得区分になり、赤字になるとどのような不利益があるのかを確認してください。

先ほどの事例でも月極め駐車場の経営を12月末近くにやり始めれば、すぐに埋まらずにフェンスの設置費用だけがかかり赤字になる可能性があります。それなら1月から経営すれば、1年間の猶予があるためフェンスの設置費用はカバーできるはずです。

ここまで所得区分が理解できたら、次は医院経営や病院経営の事業所得の中で必要経費として計上できるものと、院長先生の生活費(家事関連費と呼ぶ)として必要経費に計上できないものを分けていくことになります。これに関しては、具体的な事例をもとに次のブログでご紹介していきます。

 

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