医院や病院にとって、消費税を納める義務が発生する基準が変わりました

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2015/07/30
医院や病院にとって、消費税を納める義務が発生する基準が変わりました

医院や病院にとって、消費税を納める義務が発生する基準が変わりました

医院経営や病院経営で、消費税を支払うかどうかは、資金繰りに大きく影響します。
基本的に、社会保険診療収入に消費税がついていないので、消費税を税務署に納める必要はありません。
ところが、自由診療収入には、消費税がつくため、その消費税は納めなくてはいけません。

あなたが、「うちの医院や病院では、自由診療収入があるけど、消費税なんて税務署に納めたことがないな」と考えるかもしれません。
それは、自由診療収入が1年間で、1000万円を超えた場合だけ、消費税を納める対象者になるからです。
それでも、「うちの医院や病院は、昨年の自由診療収入が1000万円を超えたけど、やっぱり、消費税を納めた記憶がないな」と言う院長先生もいるかもしれません。

実は、消費税は、個人の医院や病院が1000万円の自由診療収入があった年の翌々年から、消費税を納めることになるのです。
原則、個人の医院や病院であれば、1年ごとに判定し、医療法人であれば、事業年度ごとに判定します。

では、なぜ、翌々年になるのでしょうか?

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消費税は、患者から、医院や病院が預かって、税務署に納めるという性質の税金です。
そのため、今期に消費税を納めなくてもよい医院や病院は、自由診療収入に消費税を乗せて、患者に請求する必要がないのです。

そして、今期の医院や病院の自由診療収入が1000万円超となったかは、翌期の決算書を作成して、初めて分かります。
決算書を作成するまで、翌期の途中まで、自由診療収入に消費税を乗せるべきか、判断がつきません。
そこで、翌々期の自由診療収入を請求する時から、消費税を乗せて、患者に請求することになります。

このとき、翌々期の自由診療収入が1000万円を下回ったとしても、その自由診療収入にかかる消費税を納めることになるのです。
だから、今期の自由診療収入が、たまたま1億円となり、翌々期の自由診療収入が100万円だったとすれば、あくまで、100万円に対する消費税を納める義務が発生するのです。

また、翌々期の自由診療収入が100万円と、1000万円以下になったら、その翌々期からは消費税を納めなくてよくなります。
いつでも、2年単位で考えるのが、消費税の原則なのです。

 

なお、消費税を納めない医院や病院でも、ほとんどの場合、自由診療収入に消費税を乗せて、患者に請求しているはずです。
それは構わないのですが、制度としては、消費税を乗せる必要がないということなのです。

 

このことを利用して、医療法人やMS法人を設立する院長先生もいます。

例えば、個人の医院や病院で、今期の自由診療収入が1000万円を超えたとします。
自由診療収入が年々、増えてきていて、今後は、もっと上がると予想しています。
そこで、翌期の時点で医療法人を設立する申請を行い、年度末までに法人成りします。

すると、翌々期は、医療法人としての自由診療収入となるので、そこから1000万円を判定することになります。
そのため、医療法人として、その翌々期にならないと、消費税を納める義務が発生しないのです。

つまり、個人の医院や病院で、自由診療収入が1000万円を超えた年から、5年後まで、消費税を納める義務を発生させないことができます。

これは、別に脱税ではありません。
個人医院が、医療法人に成るのは、経済合理性があります。

 

また、眼科などで、メガネやコンタクトレンズを医療法人で売っていることもあります。
自由診療収入とその売上を合せて、1000万円を超えてしまうと、やはり消費税を納めることになってしまいます。

そのため、1000万円を超えそうならば、MS法人を設立して、そちらで、メガネやコンタクトレンズを販売すれば、医院や病院の医業収益とは切り離して、MS法人の売上だけで、1000万円を判定することになります。

医療法でも、医療法人の付随事業として、メガネやコンタクトレンズを売ることもできますが、できれば、営利事業なので、MS法人で販売する方が望ましいのです。
とすれば、売上を分けることには、経済合理性があります。

 

今までは、この基準しかなかったのですが、新しい基準として、下記の2つが同時に満たされた場合にも、翌期から消費税を納める医院や病院、MS法人になってしまいます。

(1)前年度、または前期の6ヶ月(特定期間という)の自由診療収入が、1000万円を超えていること

(2)特定期間の給料の支払い額が、1000万円を超えていること

これからは、1年間で判定するのではなく、前期の半分の6ヶ月で判定して該当すれば、翌期から消費税を納める医院や病院、MS法人になるのです。

これで、1年間、消費税を納める時期を早められてしまいます。

ところが、これにも抜け道があります。
それは、特定期間が6ヶ月となっていることです。
個人の医院や病院は、毎年、1月から6月までの特定期間で、自由診療収入の売上と給料で判定されてしまいます。
そのため、抜け道は使えません。

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一方、医療法人やMS法人は、自分で自由に決算日を決めることができます。

例えば、4月1日に設立しても、決算期を12月末にすれば、1期目だけは、9か月間とすることができるのです。
とすれば、前期を6ヶ月間以下に設定してしまえば、特定期間自体がないことになります。

さらに、6ヶ月間の自由診療収入や物販の売上の合計は、6ヶ月目の最後の日を超えないと確定しません。
それを考慮して、前期が7ヶ月以内であれば、特定期間がないとみなされます。

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個人の医院や病院から、医療法人に成るときには、最初から、自由診療収入の見込み金額が分かっているので、計画を立てて、決算日を決めましょう。

一方、MS法人であれば、最初に12ヶ月間としていても、途中で、1000万円を超えそうになったら、決算日を変更することができます。

最初は、そこまでMS法人の物販の売上は上がらないと思っていたが、予想以上に上がり始めたら、すぐに決算期を変更してください。
MS法人の場合、ほとんどの場合、売上のほぼ100%が消費税の対象となるので、かなり税金が違ってきます。

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