医院や病院も消費税の仕組みを知らなければ、消費税の節税なんてできない-(2)

住所
医療関連のコンサルティング
医院経営/病院経営コンサルティング > 医院の所得税、医療法人の法人税、消費税の節税手法 > 医院や病院も消費税の仕組みを知らなければ、消費税の節税なんてできない-(2)
2012/05/17
医院や病院も消費税の仕組みを知らなければ、消費税の節税なんてできない-(2)

前回は、医院や病院は消費税の最終支払者になるという話をしました。

今回は、課税売上が1000万円を超えていて、消費税を納めている医院や病院は、どうすれば節税できるのかを考えます。

なお、消費税はあなたの医院や病院が個人事業主であっても、医療法人であっても、全く同じ取り扱いになります。

まず、あなたの医院や病院が税務署に納める消費税は、どのように計算されるのでしょうか?

医療材料代として受け取った代金の中には、1万円の消費税が含まれています。

一方、支払い側には、水道光熱費の中に2000円の消費税、医療材料仕入の中に5000円の消費税があり、合計7000円です。

それならば、あなたの医院や病院は、差額の3000円を税務署に納めればよい・・・というわけではありません。

それができるのは、医業収益のうち課税売上が95%以上の場合だけなのです。

ただ、医院経営や病院経営の医業収益のうち課税売上が95%以上になるのは、美容整形外科、または歯科で自由診療だけを行なっている場合に限られます。ときには、健康診断を専門に行なっている医療法人もありますが、一般の診療も行なう場合も多く、やはり課税売上が95%以上にはなりません。

つまり、あなたの医院経営や病院経営で納める消費税は、単純に、

預かった消費税-支払った消費税 = 納める消費税

とは計算されないのです。では、どのように計算されるのでしょうか。

それは、明らかに医療材料代に対応するのは、医療材料仕入です。だからこれは、1万円から5000円を差し引きます。そして、水道光熱費は、医療材料代をもらうためだけではなく、診察代をもらうためにも使われているはずです。そのため、2000円は医療材料代と診察代で按分するのです。

医療材料代20万円÷
(診察代20万円+医療材料代20万円 )= 50%

50%なので、ちょうど半分の1000円分の消費税を支払ったとみなして差し引くのです。そのため、この医院や病院は、6000円を税務署に納めることになります。

どうですか? これだけ単純ならば、それほど計算は難しくないように感じます。

ところが、実際には、毎日、患者の数だけ医業収益があるので、医療材料代に対応する医療材料仕入を拾っていく作業は大変です。

それ以外にも、あなたの医院経営や病院経営に特色があるほど、課税売上の種類も多様になり、それぞれに対応する仕入をすべて拾う必要あるのです。

そこで、一括的に医業収益の内容で案分比例できる方法が採用できることになっています。(ただし、一度選択した場合には、2年間は継続適用となるため、すぐに元に戻すことはできません)

ここでは、その按分比率は50%であり、支払った消費税が7000円なので、あなたの医院や病院としては、半分の3500円を支払った消費税とみなされるのです。

とすれば、「1万円 - 3500円 = 6500円」の消費税を納めることになります。

さっきよりも500円も納税額が多くなりますが、事務作業に比べると、こちらを選択してもよいと思うかもしれません。

ただ、この単純化された医業収益では、たったの500円でしたが、大きな医院や病院になれば、50万円、100万円も違ってくることがあります。

あなたの医院経営や病院経営では、どちらの方式を採用しているか、もしそれによって消費税を多く支払っているならば、来期からは消費税が少なくなる方を選択するようにしましょう。

次に、ここまでは預かった消費税に対して、支払った消費税を差し引いて、納めるべき消費税を計算しました。

ところが、この計算方法自体の作業が大変ということ医院や病院もあるでしょう。

そこで、課税売上が5000万円以下の場合だけは、簡易課税という方法も選択できるようになっています。

そもそも、課税売上が5000万円を超える医院や病院はそれほど多くありません。そのため、ほとんどの医院経営や病院経営で、簡易課税制度を選択できると思います。

この簡易課税制度とは、単純に預かった消費税に対して、50%をかけて納めるべき消費税を計算します。

簡易課税の50%という割合は、医院経営や病院経営の場合に決められている割合です。

これは業種ごとに、90%から50%の範囲で決められています。

90%が最も有利なのですが、医院経営や病院経営は50%と最低になっているので、最も多く消費税を納めろと言われているのです。(もちろん、50%なのは、医院経営や病院経営だけではなく、他の業種もあります)

先ほどの例では、1万円を消費税として預かっていたので、それに50%を掛け合わせて、5000円を納めればよいことになります。(実際には国税を計算して、そのあと地方税を計算するため、単純に50%をかけて計算するのではないのですが、ここでは簡略化して説明しています)

支払側の消費税を一切、調べる必要がないので、簡単に計算できます。

ただ、6000円を納めればよかったのに、今回は1000円も多くなっています。

では、下記の場合には、どうなるでしょう?

預かった消費税は1万円、支払った消費税も7000円で、先ほどと同じ金額です。これを原則的な方法で、納めるべき消費税を計算すると、7500円になります。

一方、簡易課税であれば、預かった消費税に50%をかけるだけなので、5000円ですむのです。

先ほどの図と比べてください。
どちらの方が、あなたの医院経営や病院経営にとって、現実的な医業収益の構成ですか?

もちろん、後者の方ですよね。

医院経営や病院経営では、診療代が医療材料代に比べて9倍、つまり課税売上は全体の医業収益のうち10%程度というのが一般的です。
いや、もっと課税売上は低いはずです。

もちろん、この診療代とは患者からもらう自己負担分だけではなく、社会保険診療報酬などから受け取る金額も含まれます。

ということは、原則的な方法よりも、簡易課税の方が得になる可能性が高いのです。あくまで可能性ですが。

だからこそ、あなたの医院経営や病院経営で、原則的な方法で消費税を計算すべきか、簡易課税を選択すべきかシミュレーションして欲しいのです

どちらの制度を選択するかで、消費税の金額が大きく変わるのです。
消費税こそ、多く納めたからといって、なんの得にもなりません。

なお、この簡易課税は一度選択すると、2期間連続で使わなくてはいけません。

最後にもうひとつだけ、注意して欲しいことがあります

課税売上は、全体の売上で判断するということです。

そのため、個人医院の院長先生の場合、不動産投資を行っていたり、副業を行なっている場合には、それらの売上のうち課税売上に該当するものも合算して、消費税を計算することになります。

それも含めてシミュレーションを行なうと、結果が違ってくるかもしれません。

facebook
twitter
google+