消費税が10%に上がるまでに、医院や病院は手を打っておく必要があります。

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2017/01/30
消費税が10%に上がるまでに、医院や病院は手を打っておく必要があります。

消費税が10%に上がるまでに、医院や病院は手を打っておく必要があります。

平成29年度の税制改正が発表されました。
その中で、医院経営や病院経営に大きな影響を与える消費税について、下記のような記載があります。

「医療に係る消費税等の税制のあり方については、消費税が10%に引き上げられるまでに、医療機関の仕入れ税額の負担及び患者等の負担に十分配慮し、関係者の負担の公平性、透明性を確保しつつ抜本的な解決に向けて適切な処置を講ずることができるよう、実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当てのあり方の検討等と合わせて、医療関係者、保険者等の意見、特に高度な設備投資にかかる負担が大きいとの指摘等も踏まえ、総合的に検討し、結論を得る。」

もともと自由診療が中心の医院や病院は、患者に請求する診療報酬に消費税を乗せているので、ほとんど関係ありません。
ところが、保険診療が中心となる医院経営や病院経営は、患者に請求する診療報酬にも、国民健康保険や社会保険から振り込まれる診療報酬にも、消費税が含まれていません。それなのに、購入する医療機器や消耗品には消費税がかかっているのです。

受け取る医業収益には消費税が上乗せされていないのに、支払う経費には消費税が乗っていることで「損税(税金で損をしている)」が発生していると、院長先生は考えます。

これは個人事業主の医院でも、医療法人でも、200床以上の病棟がある病院でも、まったく状況は同じです。

消費税が10%に上がるまでに、医院や病院は手を打っておく必要があります。

上記の個人事業主の場合、消費税の支払いで360万円も損をしています。
上記の医療法人になると、3120万円も損をしていることになるのです。

これを見て、怒り出す院長先生もいるかもしれませんが、過去に消費税が上がったときは、診療報酬と薬価に関しては改定されて上げてくれています。「平成元年のとき、0%から3%」、「平成9年のとき、3%から5%」、「平成26年のとき、5%から8%」に消費税が上がっています。

消費税が10%に上がるまでに、医院や病院は手を打っておく必要があります。

消費税の上がり方には追い付きませんが、合計で2.89%も上がっていますので、現在の消費税率である8%分全てが「損税」となっている訳ではありません。

今回の10%に消費税が上がるときにも、配慮してくれるという一文が税制改正の中に載っているのです。それでも過去の経緯から考えると、2%に見合う診療報酬と薬価の上昇は見込めないでしょう。
そこで、医院経営や病院経営として、消費税の「損税」を小さくする工夫をすべきです。

 

1. MS法人を作る

消費税を支払うときに、一番、大きな支出となるのは医院や病院の建物の建築費、または医療機器の購入資金です。どんなに多くの消費税を支払ったとしても、医院や病院は取り戻すことができず、損をするだけとなります。
そこで、まずはMS法人を設立します。

MS法人で建物を建てることで、消費税を還付してもらいます。

例えば、1億円で建てると、800万円が還付されます。
次に、MS法人が医院や病院に建物を貸し付けて賃料をもらいます。
年間の賃料が1千万円を超えていなければ、MS法人が消費税を納める義務はありません。1億円の建物であれば、せいぜい年間700万円程度が賃料相場だと予想されます。そのため、医院や病院が賃料に消費税を乗せて支払う必要もありません。ただ年間の賃料が1千万を超えてしまう場合には、MS法人が賃料の消費税を納める義務が発生します。

このときには、簡易課税という制度があるので、これを税務署に申請します。

例えば、2億円の建物を建てると、1600万円が還付されます。
年間の賃料が先ほどの2倍で1400万円とすると、MS法人は毎年112万円の消費税を納めることになります。
医院や病院が賃料の消費税を支払うと、「損税」となります。ところが、MS法人が簡易課税の申請を税務署にしておくと、「みなし仕入れ率」が自動的に適用されて、不動産業の場合には40%が控除されるのです。
つまり、MS法人は60%の消費税を納めればよいことになります。先ほどの112万円ではなく、672千円を納めるだけでよいのです。

そもそも1600万円が還付されているので、「672千円×23年間=1545万円」となり、23年間は還付されたお金の方が多くなります。建物を建てている段階で賃料をいくらに設定するのかは分かるはずですので、簡易課税の申請が必要であれば、準備しておきましょう。

これは建物を建築せずに、ビルのワンフロア―を借りて診療を行う場合でも、その内装をMS法人で行い、医院や病院に貸し付けると同じ効果が得られます。

内装であれば、年間1000万円を超えるリース料になることはまずありえないので、MS法人が消費税を納めることにはならないでしょう。

また以前は、医療機器もMS法人で買って、医院や病院に貸し付けることを行っていました。しかし法律が改正されて、医療機器を貸し付けるときには、許可制または届出制になりました。そのため、MS法人を使って消費税の「損税」をなくす方法としては、建物を建築する方法しかありません。

 

2. 社員やパートを雇う

医療事務や窓口の業務を行う社員を派遣会社から派遣してもらっている医院や病院があります。派遣料には、消費税が上乗せされます。派遣会社も消費税を納めるため、医院や病院が消費税を納めないからといって、その分を値引きすることはできません。

例えば、年間500万円の派遣社員2人(合計1000万円)と契約すると、1年間で80万円の消費税を上乗せして支払うことになります。消費税が10%になれば、1年間に100万円にもなるのです。

ときどき、「医院や病院で従業員を雇ったら、社会保険料の半分を負担しなければいけないので、割高では?」と発言する院長先生もいます。ただその意見は、間違っています。
というのも、派遣会社が派遣社員の社会保険料の半分を負担しているからです。つまり、派遣会社が赤字で事業を運営するはずもなく、派遣料の中に社会保険料の負担分も含まれているのです。
だからこそ、派遣料は割高なのです。

ということは、結局、医院や病院が派遣社員の社会保険料を負担していることと同じなのです。保険診療が中心の医院経営や病院経営の場合には、従業員やパートを雇った方が「損税」はありません。

年間100万円もの消費税を、派遣会社を通じて支払うぐらいならば、従業員の給料をその分上げて、よい人材を確保すべきです。

 

3. 医療機器は借金で購入する

医療機器を買ったときに、その価格には消費税が含まれています。そのため、保険診療が中心の医院経営や病院経営では損をします。医療機器が高額であると自己資金では難しく、銀行から借金して買ったとすると、その利子には消費税がかかりません。
ということで、医療機器は買ってしまえば、そのときの消費税率で一度だけ、消費税を支払えばよいことになります。

一方、医療機器をリースで買うと、そのリース料には消費税がかかります。リース料には利息や保守料も含まれているので、それを除いて支払うリース料の総額と医療機器の購入金額は、ほとんど変わりません。

リース料に含まれている利子には消費税が乗っていないので、支払うお金は同じとなります。

ところが、リースの期間の満了時には違います。だいたいリース期間は5年(60か月)です。5年が経っても壊れる医療機器はほとんどなく、再リースするはずです。
このとき、消費税率が上がっているとその再リース料は高い消費税が上乗せされることになります。

再リースをせずに中古の医療機器として買取りを選択することもありますが、その場合でも高い消費税率が適用されてしまいます。現時点で消費税率が8%から10%に上がることは決定しているのです。

しかも今からリース契約をしたとすれば、再リースのときには、必ず消費税率が上がっているスケジュールになります。

そのため、支払う消費税から考えると、医院や病院は銀行から借金をして医療機器を買った方が得になります。

 

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