看護師に決算賞与を、上手に支払って、モチベーションを上げる

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2014/10/30
看護師に決算賞与を、上手に支払って、モチベーションを上げる

医療法人が院長や配偶者である妻に支払う給料は、毎月一定でなければ、経費になりません。
つまり、賞与を支払うと、経費にならずに、法人税がかかるだけではなく、所得税も支払うことになるのです。

というのも、院長が、いつでも自由に自分の給料を変更できてしまうと、決算日が近付いた時点で、法人税と所得税を比べて、所得税の方が安ければ、その場で、毎月の給料とは他に、賞与で支払うことで、簡単に節税できてしまうからです。

同様に、医療法人の院長だけではなく、理事などに就任している妻の給料も、毎月一定でなければいけないのです。

ここで、「など」と書いているのは、配偶者である妻が、医療法人の理事になっていなかったとしても、院長と一緒に暮らしているならば、「みなし役員(理事)」となり、給料を一定にしなければいけないからです。

 

一方、雇っている看護師や社員に対しては、自由に賞与を支払うことができます。
医療法人の利益を節税したいという気持ちで、賞与を支払う院長はいないはずです。
例えば、1000万円の利益に対して、法人税は最大でも40%なので、支払っても600万円は医療法人に残ります。

もし1000万円を看護師や社員に特別な賞与として支払えば、医療法人の手元には1円も残らないのです。
そのため、理事(役員)ではない看護師や社員に対して支払った賞与は、医療法人の経費になるのです。

ここでのポイントは、決算日までに、実際に賞与を、看護者と社員の銀行口座に振り込んで、支払っている分だけが、経費になることです。

通常、医療法人は決算日から、2ヶ月以内(3ヶ月まで延長できる)に法人税の申告書を作成して提出すると同時に、税金も支払います。
この申告書を作成している2ヶ月の間に、医療法人の利益が判明して、院長が「こんなに利益が出ているならば、いつも頑張って働いてくれる看護師や社員に賞与を支払うか」と考えても、すでに時遅しなのです。

もちろん、賞与を支払うのは自由ですが、その利益を稼いだ年度の経費にはならず、支払った年度の経費になるのです。
やはり、簡単に医療法人の利益を調整させないという制度になっているのです。

ただ医療法人の利益は、院長の力だけで稼いだものではなく、看護師や社員の頑張りのおかげでもあります。現実には、彼女らのモチベーションを上げるためにも、賞与を支払いたいと考える院長も多いと思います。
この賞与は、雇用契約に記載されている賞与とは違うため、「決算賞与」と呼ばれます。

医療法人だけではなく、他の業種でも、儲かった利益を社員に還元したいと考える社長が多くいます。
そこで、税務上は、決算日までに支払っていない決算賞与であっても、3つの条件を満たせば、経費にしてよいと決めたのです。

【1】看護師や社員に、決算日までに支払う決算賞与の金額を通知していること

【2】通知した看護師や社員に対して、決算日の翌月末日までに支払っていること

【3】その決算賞与を経費として計上していること

 

看護師に決算賞与を、上手に支払って、モチベーションを上げる

 

まず【1】ですが、決算日までに決算賞与の金額を確定させなければいけないことになります。
医療法人は、他の業種と比べて、売上や経費が安定しています。
そのため、決算期末に近づいた段階で、今期の利益を予測すれば、それほど大きく違うことはないでしょう。
決算日が終わってから、大量の領収書を整理し始めるという医療法人もありますが、できるだけ毎月、会計データを入力していないと、この予測はできないことになります。

次に【2】ですが、ここは意外と間違いやすいポイントです。
決算日に通知したら、翌月末までに支払うのですが、その通知したときには在籍していた看護師や社員が、翌月末までに辞めてしまうこともあります。
院長としては、辞めてしまった看護師や社員に決算賞与を支払うのは、気持ち的に進まないと思います。

ただ、通知した看護師と社員に支払うという条件になっているため、通知をしているならば、決算賞与を出すしかありません。
もし1人にでも、決算賞与を出さないと、全額の経費が認められなくなります。

最後に【3】ですが、これは決算書で経費(支払っていないので、未払金)として処理すればよいので、簡単です。

この決算賞与を支払うと、看護師や社員のモチベーションは上がります。
同時に、医療法人の利益が減って、法人税を削減できます。

 

なお、1つだけ決算賞与を支払うときに、医院経営や病院経営をスムーズにするため、院長にやって欲しいことがあります。
それは、決算賞与の金額を通知する前に、全体ミーティングでも、個別ミーティングでもよいので、

「今年は、〇〇〇で頑張って、忙しい時期も乗り越えられたので、みんなに、少しだけど決算賞与を支払いたいと思います」

と伝えて欲しいのです。
というのも、何も言わずに決算賞与を支払うと、看護師や社員は毎年、もらえるものだと考えてしまいます。
あなたが、モチベーションを上げようと思って、今年は支払ったのに、来年、支払わない時点で、看護師や社員の不満が増えてしまうなら、最初から決算賞与を導入すべきではありません。

看護師や社員に何も言わずに、院長の気持ちを汲んでくれることは、難しいものです。
看護師の部長から、他の看護師や社員に伝えてもらっても、その口調や内容で、間違った解釈をする人もいます。

院長の口から、みんなに伝えることで、しっかりと間違わずに伝わるのです。

それによって、今年、決算賞与を支払う理由を、看護師や社員に理解してもらい、来年はもう一度、医療法人の利益を見ながら、支払わないという意思決定もできることになります。

なお、決算賞与は、在籍する看護師や社員、全員に支払う必要はありません。
入社2年以上など、一定の基準を作ってもよいと思います。
できるだけ長く働いてもらうことが、医院経営や病院経営にとってはメリットがあるので、辞めない制度を作っていくべきです。

この場合、決算賞与を支払わない人にも、その通知が必要です。
一方、パートタイマーや臨時雇いの人には、正社員の人と区別して、そもそも、決算賞与があることを通知しなかったとしても、問題はありません。

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