税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります②

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2016/10/20
税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります②

税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります②

医院経営や病院経営で、架空給与とみなされると、追徴課税に、多額の重加算税や延滞税が加算されて、資金繰りが一気に悪化することが分かりました。ここで院長先生から、「重加算税でも何でも、支払ってしまえば終わりだろ」という発言を聞くことがあります。

ところが、重加算税は、納税証明書を取ると、記載されてしまうのです。
すでに取引がある銀行であればよいのですが、新規に取引を行う場合には、個人でも、法人でも、納税証明書の提出を依頼されます。新規に取引を行う銀行の心証は良くないですし、なぜ、重加算税になったのか、説明も必要となります。
そのため、まったく医院や病院の事業に関わったことがない理事や監事には給料の支払いは止めておくべきだという結論になりました。

それでは、院長先生の両親や妻が、1ヶ月に1回ぐらいは医療法人に来ている理事に対しては、どのくらいの給料を支払うことができるのでしょうか?
高額であれば、同じように架空給与として否認されてしまいます。
でも、ある程度の目安がなければ、金額が決定できません。

医院経営や病院経営の統計データを見ると、正看護師の平均年収が約560万円程度で、准看護師の平均年収が480万円程度となっており、平均給料としては、500万円と考えられます。

1ヶ月平均で25日勤務として、1日2万円となります。
1日の勤務時間を8時間とすれば、1時間2500円の時給となります。
両親や妻が、医療法人と雇用契約を締結して、同じ従業員という立場で働きながら、1週間1日にしか医院や病院に来なければ、1ヶ月で5日程度の勤務となるので、月額の給料は10万円です。

もし、1ヶ月に1日しか医院や病院に来なければ、給料は2万円しか支払えない計算になります。
あなたが、院長先生ならば、「1ヶ月2万円では、両親も妻も納得しないし、医院経営や病院経営の節税対策にもならない」と言うかもしれません。でも医院経営や病院経営のデータから導き出された平均年収を前提にすると、これが妥当な金額なのです。

それでも、やはりもう少し支払いたいと思うかもしれません。
そこで、両親や妻を、医療法人の理事に就任させます。
これにより、医療法人とは雇用契約という関係ではなく、委任契約を締結することになり、責任が変わります。

それは、医院経営や病院経営の意思決定に参加することになり、その分だけ、給料を上乗せすることができるのです。

逆に、医院や病院が患者などから訴訟された場合には、責任を負うことにもなります。訴訟は言い過ぎでも、実際に、医療法人が儲からなくなれば、理事は給料がゼロでも、働く必要があります。経営の意思決定が間違っていた場合には、その責任を取るのは、当然です。

一方、勤務医や看護師は、医院経営や病院経営の業績が悪化して、給料をもらえなくなれば、辞めてしまうでしょう。雇用契約で決まっている給料がもらえない彼らが出ていくのを、非難することはできません。そこで、経営の責任を負う理事で、かつ毎日は出勤しない場合の給料は、いくらぐらいが妥当なのでしょうか?

下記のような平成17年の国税不服審判の裁決があります。

税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります②

上記の採決を読むと、母親の勤務実態はあまりなく、1ヶ月に1回程度出社している取締役であったと予想されます。
その場合、月額300万円の給料は社会通念上としては高額です。
代表取締役であるAは、会社の経費として計上し、かつ自分の給料を分散することで、法人税と所得税の節税を意図していたと考えられます。それでも、この裁決からは、「非常勤役員であっても、月額15万円程度であれば認める」と解釈できます。

もちろん、まったく医療法人の事業に関わっていない理事や監事に給料を支払うのは無理ですが、月1回程度の出社であっても、月額15万円の給料は支払えることになります。勤務医の1日の単価が、平均で5万円から10万円(当直などで拘束時間が長くなれば、もっと高額になる)程度です。

医師の免許を持たない妻や両親が、1日で15万円もらえるのであれば、よいでしょう。さらに、もともとの理事長が父親で、子供に医療法人を譲ったあと、理事として月1回程度、診察も含めて来ている場合があります。理事として1日15万円、それに勤務としての給料10万円で、合計25万円は支払えるはずです。さらに、父親が1週間に1回は診察に来てくれるのであれば、月額40万円の給料が支払えます。

このように、理事の部分の給料と従業員と同じような業務を行う給料を合算して決めれば、それが妥当な金額となりますし、税務調査のときにも、説明しやすいはずです。

ただし、他の理事の給料、勤務医、看護師の給料と比べて、バランスを取る必要はあります。例えば、医院経営や病院経営の業績がよくなくて、常勤の理事長の給料が月額50万円であれば、週1回の理事に月額40万円も支払うのは、おかしいことになります。

一方、理事長の給料が月額200万円であれば、40万円でも、全然、おかしくありません。とにかく、理事や監事に適正な給料を支払っている根拠資料があれば、架空給与と言われることも、追徴課税されることもありません。

 

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