税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります①

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2016/10/10
税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります①

税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります①

医院や病院に、税務調査が入ったときには、診療科目やその地域、経営方法によって、チェックされるポイントは違ってきます。ただ、どの診療科目であっても、どのような地域であっても、必ず、チェックされるポイントが2つあります。

税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります①

あなたが院長先生であれば、「在籍していない看護師や社員に対して、架空で給料を支払うことなんてしないよ」と言うかもしれません。

ところが、税務調査で指摘されるのは、看護師や社員への架空給与ではありません。医療法人の場合であれば、理事が3人、監事1人が必要となります。理事に両親を就任させたり、監事は友人に頼むことが多いはずです。
私は、医院経営や病院経営のコンサルティングを行うときに、決算書を確認します。そこには、各理事や監事に、1年間でいくらの給料を支払っているかが、明記されています。
例えば、ご両親に各毎月30万円程度、年間で360万円の給料(2人で合計720万円)を支払っていることを見つけると、私は、院長先生に「ご両親は、医院や病院に来て、働いていますか?」と聞きます。

すると、院長先生の中には、「両親は、九州の実家にいるので、物理的に来るのは無理ですね。それでも、1年に1回ぐらいは、遊びに来ることはありますよ」と答える方がいます。1年に1回で、しかも、理事としての仕事ではなく、医院や病院に遊びに来るだけでは、給料は支払えません。
2人の給料の年間合計の720万円が、架空給与となります。

税務署は、「院長先生の親族に対して、給料を支払っているから」という理由で、否認するわけではありません。先ほども言いましたが、医療法人の監事は、第三者が就任するため、友人に頼むとします。この友人に月額5万円程度の給料であっても、一度も、医院や病院に来たこともないとなれば、同じように否認されるのです。働いていないのに給料を支払えるならば、簡単に節税ができてしまいます。

そこで、架空給与は、税務署としては悪質な脱税行為とみなします。

そのため、経費と認めないだけではなく、医療法人で増えた法人税(これを、「増差税額」と呼びます)に対して、重加算税をかけます。

まず、税務調査で、医療法人が、経費を否認されたとします。
ここでは、先ほどの720万円だったとしましょう。通常は、過少申告加算税がかかります。

税務調査で、架空給与が発見されると、重加算税がかかります①

増差税額とは、今回、否認されたことによって、増える税金のことです。医療法人の法人税率が、約30%(保険診療が多い医療法人の場合には、実効税率は28%に下がる)とすると、

増差税額 = 720万円 × 30% = 216万円

となります。

医院経営や病院経営で、当初に申告した税金が216万円よりも低いことはないでしょう。

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ところが、架空給与と指摘されると、過少申告加算税ではなく、重加算税がかかるのです。

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増差差額は、216万円となりますので、

重加算税 = 216万円 × 35% = 75万円
合計 216万円 + 75万円 = 291万円

が追徴課税となるのです。

ここでは、医療法人が前提でしたが、個人の医院経営や病院経営でも同じです。院長先生の両親や妻が働いている場合、青色専従者給与として届け出るはずです。ここでも働いてる実態がなければ、架空給与として否認されます。

個人の医院や病院であれば、何年間に一度は、定期的に税務調査が入ります。そのとき、専従者給与がチェックされて、もしる架空給与ということになれば、所得税は、最大で55%の税率にもなるため、重加算税も含めて大きな金額となります。
先ほどと同じように、720万円が否認されて、重加算税がかかったとします。

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720万円の経費の否認に対して、追徴税額が534万円にもなってしまうのです。あなたは、上記の55%は住民税率10%も含めた金額だと気づきましたか?
地方税である住民税にも、同じように重加算税がかかります。

問題は、これが1年間だけというわけではないことです。

毎年の架空給与を否認されると、通常であれば、過去5年は遡りますが、悪質とみられると、7年間も遡られることもあります。実際に、医院や病院の給料が、過去7年間まで遡って否認された事例を見たことがあります。
とすれば、最大で、追徴課税が、534万円×7年間=3738万円にもなるのです。

さらに、ペナルティは、これで終わりません。
所得税であっても、法人税であっても、同じですが、下記の延滞税がかかります。

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ここで、納期限とは、税務調査で指摘されて、修正申告を出した日となります。
通常、上記の(2)の9.1%を支払う院長先生はいないと思うので、(1)で計算します。間違ってはいけないのは、修正申告した日から2ヶ月までは、低い延滞税となっていますが、この延滞税がかかるのは、あくまで法定納期限から計算されるということです。
つまり、7年前の架空給与が否認された場合には、その時の増差税額は7年間の延滞税が付加されることになります。7年間でなくても、最低でも否認されると、5年間は遡りますので、追徴される税額は多額になります。

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ここでは、詳細な計算はしませんが、先ほどの追徴課税が3738万円とすれば、延滞税を合算すると、4000万円を超えます。

これほどの資金が流出すれば、医院経営や病院経営の資金繰りは悪化します。

修正申告を提出した日から、2ヶ月を超えると、高い延滞税がかかるので、支払いを据え置くことはできません。院長先生からは、「これほどの資金を一度に用意はできないので、銀行から、お金を借りるしかないな」という発言を聞くこともあります。
ところが、銀行は重加算税の税金を支払うために、お金を貸してくれることはありません。それどころか、重加算税が個人の所得税でも、医療法人の決算書でも計上されていると、借金の借換えにも応じてくれなくなります。
そもそも、重加算税がかけられたということは、悪質な脱税行為を行っていたことになります。このペナルティを支払うことに、銀行が手助けすることは許されないのです。妻や両親も含め、まったく医院経営や病院経営に携わっていない親族や友人に、軽い気持ちで、給料を支払うことは止めておきましょう。

では、1ヶ月に1回程度は医院や病院に来て理事長と話し合っている理事、決算書を1年に1回はチェックしている監事は、ほんの少しですが医院経営や病院経営に携わっています。
この場合には、理事や監事に、どのように対処すればよいのでしょうか?

次のブログで、その答えを考えていきます。

 

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