院長先生が学会出席のために使った出張旅費は、全額、経費になるのか?

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2013/02/20
院長先生が学会出席のために使った出張旅費は、全額、経費になるのか?

院長先生が学会出席のために使った出張旅費は、全額、経費になるのか?院長先生が学会に出席する機会は多いと思います。学会に出ることで、新しい情報を取り入れて、医院経営や病院経営に活かしていくことは大切なことです。

学会はいくつもの種類があり、医院や病院からかなり離れた場所で開催されることもありますよね。院長先生によっては、日本国内ではなく、海外で行われる学会に出席することもあるはずです。

それでは、このときの出張旅費は、すべて医院や病院の経費になるのでしょうか?

もし経費にならないとすれば、院長先生が給料(個人医院であれば利益)としてもらい、所得税を支払い、残ったお金、つまり自腹で負担することになってしまいます。

税務調査が入った場合、院長先生が学会に出席することが、医院経営や病院経営にとって必要不可欠なものかどうかがチェックされます。
さらに、学会と同時に視察が行われたりすると、そこに関係ない経費がまぎれていないかを探します。

【1】 出張した目的(学会で発表された資料を保存する)

【2】 出張で宿泊したホテル(ホテルが発行する明細書をもらう)

【3】 出張先までの経路(旅行会社に依頼した場合には、その行程表を捨てない)

上記書類が揃っていたとしても、出張の日程が長すぎたりすれば、すべてが学会のためだったのか、視察ではなく観光ではないかと疑われます。

個人医院であれば、経費から外されて、所得税が追徴されてしまいます。
さらに、医療法人では、もっと最悪なことになります。
それは、出張旅費として認められない経費が、院長先生に対する役員賞与となってしまうからです。

役員賞与は、院長個人の所得税が取られるだけではなく、医院や病院の経費にもなりません。

例えば、医療法人が支払っていた100万円の旅費が、税務調査で役員賞与とされてしまうと、

所得税 100万円 × 40% = 40万円(最高税率は50%)
法人税 100万円 × 40% = 40万円

合計で80万円の追徴課税になります。

これ以外に、ペナルティの税金として、過少申告加算税や延滞税がかかるため、100万円以上が取られるのです。
それならば、最初から、院長先生が自腹で支払っておいたが良かったでしょう。

ただ一方で、医院経営や病院経営に関係する出張ならば、その出張旅費は堂々とすべて経費にすべきです。

このとき、医療法人ならば、「旅費規定」を作っておくと、日当を支払うこともできます。
就業規則の中に、旅費規程が含まれている場合もありますし、別に作る場合もありますが、そんなに難しい書類ではありません。

ここで決められた日当は、役員の給料、社員の給料とはみなされずに、医療法人の経費にもなります。日当は、最後に精算する必要もありません。

例えば、1回の出張の日当を2万円と決めたとします。
これを出張先の飲食代で使っても、すべて経費とみなされます。
実際の飲食代が1万円であり、それ以外に使わなかったので、1万円が残ったとしても、それを精算しなくてもよいのです。

実際に、ある医療法人では、院長が1年間に20回程度、2人の勤務医がそれぞれ1年間に10回程度、合計40回も出張していました。
1回で2万円を支給することになったので、80万円が税金をかけずに渡せています。

役員の1回の出張での日当の上限は、おおよそ2万円と言われています。
あまりに高額な日当を支払うと、結果的に税務調査で否認されてしまうので、気をつけましょう。

また、旅費規程で、出張のときの新幹線はグリーン車、飛行機はビジネスクラスと決めておけば、全額、経費として認められます。

よくグリーン車は認められないと聞くかもしれませんが、それは旅費規程がなかったり、院長だけが使うからです。

医院経営や病院経営では、出張するのは院長先生と勤務医だけでしょう。
そのため、出張するときには、「全員がグリーン車、ビジネスクラスを使う」と決めておいてもよいのではないでしょうか。

贅沢しようというわけではなく、新幹線や飛行機の中で仕事をすることが多い人は、効率を上げることを考えるべきです。時間を有効に使うことの方が大切です。

国内出張であれば、これだけでよいのですが、海外出張となると少しだけ話が変ってきます。
というのも、海外でずっと医院経営や病院経営に関連する業務を行うことはないはずです。

そこで、業務従事割合がおおよそ90%以上であれば、全額を旅費交通費として必要経費にしてもよいことになっています。つまり、最終日にお土産を買いに行っても、どこかに観光に行っても、この基準を満たせばよいのです。

逆に、海外での業務従事割合が10%以下であれば、全額、経費になりません。ほとんど、遊びに行ったので、仕方がないでしょう。
上記以外の場合には、医院経営や病院経営に関連した業務の時間と遊びの時間で経費を按分することになります。

それでも、学会に参加する目的で、医院経営や病院経営のために、どうしても必要な出張であり、業務従事割合が50%以上であれば、往復の交通費は全額、経費にしてよいことになっています。

この割合に関して、個人医院の院長先生は、特に気をつけてください。
医療法人は、業務関連性を主張しやすいのですが、個人医院の場合、生活費との区分けに関して、主張が弱くなりがちです。

本来ならば、個人医院の院長先生であっても、医療法人の院長先生であっても、学会に出席する目的は同じです。ところが現実には、個人医院の方が、税務調査で旅費交通費を生活費とみなされてしまう確率が高いのです。

そのため、個人医院の院長先生は、出張した場合には、できるだけ細かく何を行ったのか、どこに行ったのか、誰にあったのかを、ノートに書き留めておくべきです。
それが、あとで税務署に主張できる証拠となります。

では、この海外出張に、親族や医院経営や病院経営にまったく関係ない人が同伴したら、どうなるでしょうか?もちろん、同伴者にかかった費用は経費になりません。

ただし、下記の場合に該当すると、同伴者にかかった費用も経費になります。

【1】 院長が常時補佐を必要とする身体障害者であるため、補佐人が同伴したときの費用

【2】 国際会議への出席等のために、配偶者を同伴する必要があるためにかかった費用

【3】 海外の学会等での目的を果たすために、外国語の通訳や外国語の堪能な者が必要になる場合、医院や病院のスタッフでは適任者がいないため、院長の親族または臨時的に依頼した人を同伴させたことでかかった費用

これらが旅費交通費として経費になれば、節税になります。
すでに海外出張したときの領収書があるならば、もう一度、検証してみてもよいでしょう。

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