個人医院からの業務委託で、MS法人が消費税を支払うことになる?

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2015/09/30
個人医院からの業務委託で、MS法人が消費税を支払うことになる?

個人医院からの業務委託で、MS法人が消費税を支払うことになる?

個人事業主として、医院経営や病院経営を行っていると、儲かってきたときに、院長先生が節税方法を探すのですが、ほとんどないはずです。

実際に、医院や病院の個人事業で節税するとすれば、医療機器を買って、減価償却費の特別償却や割増償却を作るぐらいしかありません。

というのも、所得税には、業務関連性がないと経費にできないという大前提があるからです。

そのため、医院や病院の医業収益を増やすために支出したものしか、経費にならないのです。
もし院長先生が、個人事業主として、医院や病院の利益を大きく節税したいと考えた場合には、まったく他の事業で赤字を作る方法しかありません。

例えば、院長先生が個人で、アメリカの古い木造のアパートに投資する、太陽光発電設備に投資するなど、減価償却費を短い期間で大きく取れる事業を始めることで、赤字を出します。
この赤字を、医院や病院の利益と通算すれば、節税することができるのです。
ただ、これらにも限界があり、やっぱり節税しようとするならば、医療法人を設立することが、手っ取り早いと言えます。

ところが、医療法人を作るには、株主(正式な名称は社員)が3人、理事が3人、監事が1人、必要となります。
株主と理事は親族でもよいですが、監事は親族以外で、取引先の人もNGです。

しかも、都道府県によって異なりますが、医療法人の申請の時期は年2回、春と秋になります。(年3回の都道府県や年1回の都道府県もある)
その申請資料には、過去の実績、または今後の2年間の事業計画書も提出して、それも審査対象となります。

そして、医療法人の設立の申請を受理されたとしても、そこから審査に半年ぐらい必要となり、それが終わらないと、事業を開始できません。
審査が終わっても、医療法人として保健所に開設届を行い、保険診療が入金されるのが、その2ヶ月後となるのです。そのさらに、数か月後でなければ、節税対策は実行できません。

つまり、医療法人を設立して、節税しようと考えて、株主や理事、監事を探して、資料を作成して、設立させるなどしていると、1年以上はかかってしまうのです。

 

そこで、MS法人を設立して、個人事業主の院長先生から業務を委託することで、利益を移転させて節税する方が、短い期間で目的を達成できます。

MS法人の設立は1ヶ月もあれば可能ですし、院長先生とMS法人が業務委託契約書を締結すれば、すぐに入金も始められます。
しかも、MS法人には、医療法などの制限もないため、医院や病院からの業務委託だけではなく、不動産投資や株式投資を行うことも自由です。

そのため、医療法人よりも節税できる工夫は多いとも言えます。
ところが、MS法人は、医療法人を使うよりも、1つだけ大きく損をすることがあります。
それは、消費税です。

 

医院や病院の医業収益のうち、患者が診察や治療を受けたときの保険診療収入には消費税がかかっていませんが、自由診療には、消費税がかかっています。
このとき、自由診療の売上が1000万円以上あると、院長先生は消費税を納める義務が発生します。
それでも、自由診療に関する消費税だけが、対象です。

ところが、院長先生がMS法人に業務委託すると、MS法人の売上はすべて消費税が含まれているとみなされてしまうのです。

例えば、個人事業主の院長先生の1年間の保険診療収入が7000万円、自由診療収入が500万円とします。
自由診療収入が1000万円を超えていないので、消費税を納める必要はありません。

ここで、院長先生が、MS法人に毎月200万円の業務委託料を支払ったとします。
すると、MS法人の1年間の売上は、税込で2400万円とみなされてしまうのです。

つまり、税抜の売上が2223万円で、消費税が177万円という内訳になり、最大で、この消費税を全額、納めることになるのです。
保険診療収入には消費税がかからないのに、それを源泉に委託した業務にはすべて消費税が含まれてしまうという制度なのです。

あなたは、「それ以上に、所得税を節税できればよいのでは?」と言うかもしれません。
そうであったとしても、できるだけ、MS法人が消費税を納めないように工夫することは必要でしょう。

 

まず、消費税とは、今期の売上が1000万円を超えたら、翌々期から納める必要が出てくる税金になります。
これは、売上が少ない個人事業主や法人にまで、消費税を申告して、納めてもらうのは、手間が煩雑だろうという理由です。

そして、翌々期というのは、今期の売上を集計しているときに、翌期が始まってしまい、自分が消費税を納める必要があるのか、判定できないからです。
このとき、もし今期が12ヶ月以内の場合には、例えば3ヶ月しかなければ、4倍して、12ヶ月分に換算して、売上を判定することになります。

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次に、設立したばかりの法人は、2年前の売上がありません。
そこで、期首の資本金が1000万円以上であれば、その期から消費税を納めると決められているのです。

ここは、1000万円超ではなく、1000万円以上で判定なので、注意してください。
とすれば、MS法人の設立当初の資本金を1000万円未満にしておけば、2年間は消費税を納める必要がなくなります。

ただ、前期の6ヶ月間で、売上が1000万円を超えていて、かつ支払った給料も1000万円を超えた場合には、2年目から消費税を納める義務が発生します。
これに該当すると、MS法人が消費税を納める必要がないのは、1年間だけとなってしまいます。

もし1期目が6ヶ月未満の場合には、半年間に換算するのではなく、判定する期間がないとみなされます。また、7ヶ月以内であったとしても、6ヶ月分の売上や給料を集計している間に、翌期になってしまいます。

そのため、MS法人の1期目の事業の期間が、7ヶ月以内であれば、翌期は自動的に、消費税を納める必要がなくなるのです。

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最後に、今からMS法人を設立して、個人事業主である院長先生が業務委託をする場合の結論となります。

 

(1)半年の売上が1000万円超、かつ給料が1000万円超

当然、MS法人の1年間の売上が1000万円超となるはずです。
それぐらい、個人事業主としての医院経営や病院経営の利益を移転させておかなければ、MS法人での節税の効果がありません。

とすれば、半年の売上が1000万円超となり、かつ給料が1000万円超となる場合には、1期目は7ヶ月以内で決算を区切ってしまうことです。
これで、MS法人は、1年7ヶ月は消費税を納める必要はなくなります。

 

(2)半年の売上が1000万円未満、もしくは給料が1000万円未満

MS法人の半年の売上が1000万円未満、もしくは給料が1000万円未満であれば、1期目から、12ヶ月の決算を行うべきです。
これで、MS法人は、2年間も消費税を納める必要がなくなるのです。

 

なお、すでにMS法人を作ってしまい、この半年間の判定を知らなかったとしても、決算日はいつでも変更可能です。

今すぐに、MS法人が消費税を納める時期が、もっとも遅れるように、見直してください。

消費税は、MS法人の資金繰りに、直結します。

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