歯科医院が、過剰な設備投資を始めると、必ず、倒産する?

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2012/10/17
歯科医院が、過剰な設備投資を始めると、必ず、倒産する?

歯科医院が、過剰な設備投資を始めると、必ず、倒産する?歯科医院が、新規の顧客を獲得するために、かなりのお金をかけて広告しても、なかなか患者が増えないことがあります。

これは、歯科医院に限ったことではないのですが、どんなビジネスもすぐに売上が上がることはありません。時間がかかるのです。

新規の患者は何度も、あなたの歯科医院のホームページを見たり、実際に歯科医院の前まで行ってみたり、検討する時間がかなり長いのです。

あなたの歯科医院が既存の患者にアプローチして、口コミをお願いしても、それが効果を上げるのも2-3年かかるのです。口コミは宣伝効果は高いですが、時間はかなりかかります。

だから、最初に歯科医院を開業するときに、過剰な設備投資をしてはいけません。
医業収益が十分に上がる前に、資金繰りに困って倒産するのがオチです。

私は会計事務所を経営していますが、歯科医院だけではなく、他のビジネスを見ていても、それは本当に実感します。

いきなり、六本木ヒルズで開業したIT会社がありました。
最初からお客さんもいて、資本金も1億円もあり、社員も揃っていたので、条件は飛びきりよかったのです。

ところが、それでも最初に社長が思い描いていた売上にはならず、3年で資金が不足して倒産しました。もしあと1年あれば、ビジネスはきっと成功していたでしょう。

同じように、歯科医院であっても、どんなに良い条件や場所で開業できたとしても、患者が増えて忙しくなるまでには時間がかかるのです。

だから、最初から歯科医院が過剰な設備投資をする必要はありません。
患者が多くなって、歯科医院への要望が増えてきたら、それに合わせて設備投資すればよいのです。医療機器の進歩は早いので、たったの1-2年でも、あとで買った方が機能もよくて安い医療機器が買えるはずです。

そして歯科助手も、歯科衛生士も、開業当時はベテランである必要も、人数も多い必要もありません。そんなに高い給料を支払うことはないのです。急がず、ゆっくり処置するならば、医療ミスも少ないでしょう。

と、開業するときには、先輩の歯科医院の失敗や経営が大変な状況を聞いて知っているので、開業のときから過剰な設備投資をする歯科医院は減ってきています。

実際に、リース会社や金融機関も、それほど多くのお金を貸してくれません。
だから、現実的にもムリなのです。

ところが歯科医院を開業して3-4年経つと、経営は安定するのですが、自分が予想していた患者数に達しないことに悩み始めます。借金の返済やリース料の支払い、それに歯科衛生士などの給料の支払いに困ることはありません。

ただ、それらを支払ってしまうと、自分が他の歯科医院での勤務医だったころと、あまり手取りが変わらないことに気づくのです。新しく歯科医院を開業して借金して、医療ミスがあれば訴えられるというリスクを負いながら、給料が同じということは納得できないはずです。

だいたい、東京で開業して、歯科医師1人当たりの1ヶ月のレセプト枚数が200枚を超えてくれば良い方です。

200枚とすれば、その歯科医院の1日の患者数が約20人、1日8時間歯科医院を開けているとすれば、1人の患者当たり25分ぐらいかけることができます。基本的に医院開業したばかりですと、保険診療が80%、もしかしたら90%近いので、1人25分もかかりません。

それに現在、1人のレセプトで平均1500点ぐらいになると、「高すぎる」という指導が入ることもあり、患者への過剰な処置はやるべきではありません。

そこで、「新規の顧客を獲得するために、何か広告でもしないと」と思い始めるのです。時間もあるので、いろいろと考えすぎてしまい、将来が不安になる気持ちが膨らみます。

そこで、ホームページで検索してみると、「インプラント」、「審美歯科」、「矯正」など、自費診療を前面に打ち出している歯科医院ばかりです。

そもそもホームページで、保険診療の新規の患者を獲得する効果は期待できないのです。獲得できたとしても、費用対効果が悪く、赤字になってしまうことも多いのです

あなたの歯科医院で、「インプラント」、「審美歯科」、「矯正」をやろうとすれば、それなりの設備や技術だけではなく、内装や外装も変えなくていけません。それには、かなりのコストがかかってしまいます。

どうすれば、よいかと悩み始めると、医療機器メーカーの営業マンが、

「先生、他の歯科医院と差別化をはかれば、患者はきっと増えますよ」

と囁いてきます。

これを聞いた歯科医院の院長は、他の医院との差別化とは、レーザーやら何やら、過剰な医療機器を導入することだと勝手に思ってしまうのです。

ハッキリ言って、医療機器が新しくても、そもそも患者がいないのですから宝の持ち腐れです。しかも、レーザーがあると聞いて、理解できる患者はいません。

うちの歯科医院のCTスキャンは最新の医療機器なんですと威張っても、患者にはその良さは分かりません。医院や病院のMRIのように、何億円もしないのです。CTスキャンなんて、歯科医院でなくても、使わせてくれます。
そんな医療機器の良さが分かるのは、歯科医院の先生同士だけなのです。

私は設備投資することが悪いと言っているわけでも、新規の患者を獲得する効果がないと言っているわけでもありません。

逆に、設備投資することは、今の患者に対するアピールになり、口コミで新しい患者を増やすことができます。また、歯科医院の内装を変えれば、リニューアルオープンという形で、新聞の折込チラシやDMなどで、広告することもできます。

だから設備投資するのはよいのですが、それは歯科医院の患者にとって理解しやすい、アピールしやすい部分にすべきだと言いたいのです。

  • 【1】トイレをいつも清潔にする
  • 【2】スリッパを止めて、土足にする
  • 【3】待ち時間を少なくする工夫をする
  • 【4】小児歯科や子供連れが多い地域であれば、絵本や待つ時間に遊べるコーナーを作る
  • 【5】受付の人の教育をする、もしくは研修会に出てもらう
  • 【6】駐車場を確保する、もしくは使いにくい駐車場であれば、白線の引き方を変える
  • 【7】診察券をカードにする
  • 【8】階段があるならば、手すりを付ける
  • 【9】歯科のメニューを増やす
  • 【10】感染対策をする

どうですか?
あなたは、「こんなのでよいのか?」と思いましたか?

全然、難しくありません。明日からできることばかりです。

しかもこれって、お金がそれほどかかることでしょうか?
ほとんどかかりませんよね。

ただ、具体例として10項目を上げただけなので、やるべきことはもっとたくさんあります。あなたの歯科医院にとって、必要な項目を列挙してみてください。

とにかく患者にとって、「あそこ歯科医院のCTスキャンはすごい最新なんだって」と話よりも、「あそこの歯科医院のトイレは、いつでも綺麗で清潔よね」という話の方が口コミになりやすいのです。

ただ、上の10項目のうち、
コストがかかる項目も2つあります。

それはまず「【9】の歯科のメニューを増やす」になりますが、これはDMやハガキなどで、コストをかけても、今までの患者に送ることが必要です。
新しいメニューを歯科医院に貼り出したり、ホームページに載せても、患者は読んでいないからです。プッシュして、新しいメニューを頭に入れてもらわなくてはいけません。

次に「【10】感染対策をする」になりますが、実は、これを本格的にやろうとすると、かなりコストがかかります。紙コップ、手袋ぐらいならば簡単ですが、隣の人に血などが飛ばないように、すべてのユニットを壁で覆うとすれば、大掛かりな歯科医院の内装の変更が必要となります。

ただここでは、そんなことを想定していませんし、そこまで気にする患者は、別の歯科医院に行くはずです。

患者の90%が、ちょっとした、本当に紙コップになっているというだけで、感染対策しているんだと思ってくれるのです。

だから、患者が見える部分だけを、まずは感染対策してください。

実は、この感染対策は、患者に対するものだけではありません。あなたの歯科医院で働く歯科衛生士や歯科助手にとっても重要なことです。

まったく感染対策していない歯科医院と少しでもやっている歯科医院では、歯科衛生士や歯科助手の採用のしやすさも違ってきます。

最後にもう一度言いますが、患者へのアピールは分かりやすい、見える部分で行ってください。

そして、これらの効果はすぐに表れることはありません。

だから長期間はかかりますが、必ずあなたの
歯科医院の患者を増やす効果があります。

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