解雇したい看護師がいる場合、どう対応すればよいか?

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2012/10/02
解雇したい看護師がいる場合、どう対応すればよいか?

実際、医院経営や病院経営の相談で、看護師や社員を解雇したいという相談は多く寄せられます。解雇と言っても大きく2つに分類できます。

1つ目が、普通解雇です

今は、医院経営や病院経営が赤字になり、資金繰りで苦しくなり、経費の削減の一環として看護師や社員に辞めてもらうこともあります。

また病棟が大赤字なので、病床を減らしたり、閉めたりする病院も増えたので、看護師の人数が余ってしまうこともあります。そのときも、事業縮小により解雇する結果になります。
この場合、退職金は就業規則に従って支払います。

そして2つ目が、懲戒解雇です

窓口収入を横領したり、患者に暴行したりなど、犯罪行為を行えば当然、解雇にします。
ただ、毎日遅刻したり、患者に対して暴言を吐くなど、勤務態度が悪いだけの場合には、院長から、その看護師に対して働き方などの改善点を指摘します。

院長が何度も指摘しているにも関わらず、その看護師や社員の態度が修正されない場合には、懲戒解雇とします。

この場合、犯罪の場合はもちろんのこと、勤務態度が悪い場合でも、懲戒解雇であるかぎり、退職金は出しません。

普通解雇は看護師にも納得してもらい、院長も断腸の思いで解雇を言い渡しことになるのでトラブルに発展することは多くありません。

一方、懲戒解雇は、看護師も納得していないことが多かったり、院長も何度も怒っているため、感情的になり、あとでトラブルに発展することも多くなります。
そのため懲戒解雇については、院長は次の2つのことを絶対に守ること重要です。

【1】 手続きの問題

院長からその看護師に解雇を告げるのですが、そこから30日間の給料(法律用語では、平均賃金)を支払う必要があります。

そして、その看護師が医院経営や病院経営で重要となる情報を外部に持ち出さないように、誓約書にサインをもらいます。
そのあと、退職願いを書いてもらい、辞める最後の日にはみんなへの挨拶、そして退職届を提出してもらい、一緒に鍵、入退室カード、健康保険証を返還してもらいます。
これが解雇の手続きとなります。

【2】 解雇の妥当性

医院や病院側の解雇の手続きに間違いがなかったとしても、院長が告げた解雇に妥当性があるのかという問題は残ります。

その看護師が院長に毎朝、挨拶しないからという理由だけで解雇できるのでしょうか?
これは就業規則に具体的に記載しておき、それに該当した場合には解雇に妥当性があると言えます。そのため、就業規則にどれだけ具体的に、懲戒解雇のことを記載しておけるかが、鍵となるのです。

よく年齢が高い院長が、「昔は態度のむかつく看護師は怒鳴り散らして、辞めさせたもんだ」と自慢話のようにしていますが、今は完全にアウトです。

懲戒解雇を告げるときに、看護師がレコーダーで音声を録音していることもあります。
院長が手を上げたりしたら(足でも同じです)、それこそ裁判沙汰になります。

医院経営や病院経営は、お金では買えない、地域の評判を大事にすべきです。

その地域で悪い噂が立ったり、看護師の働く環境が悪くなれば、医院経営や病院経営に悪影響を及ぼすのです。
そのため、懲戒解雇するにしても、院長が看護師に告げようと考えてから、1日開けて呼ぶなど、心を落ち着かせる努力をしてください。

ただ、そもそもよく考えて欲しいことがあります。
それは、看護師を解雇しなければいけない理由は何だったのかということです。

院長のあなたは、看護師が一方的に悪かったと言うかもしれませんが、もっと、その前のことを考えて欲しいのです。あなたの最初の指導方法が悪かった、指摘が的確ではなかった・・・それもあるかもしれませんが、もっと前のことを考えてください。

実は、懲戒解雇になってしまうのは、
採用に問題があることが多いのです。

面接のときに、看護師や社員に対して、あなたの医院や病院が提示する条件をきちんと伝えきれていないことが原因で、ミスマッチが起こっていると考えるべきです。

例えば、

  • 月に1回は日曜日に出勤してもらう
  • 週1回は夜勤がある
  • 送迎でクルマを運転してもらう

など伝えましたか?

確かに、どの医院や病院も人員が足りず、どうしても採用したいという希望が強いため、看護師や社員の耳に心地良いことばかり告げる傾向があります。

看護師も雇って欲しいため、自分をよく見せようとします。ただ、応募する側から考えれば、それは当然のことであり、ウソをつかなければ何の問題もありません。自分の欠点を一生懸命、医院や病院に告げる看護師や社員などいるはずがないのです。

だから院長は、応募してきた看護師のすばらしい経歴や笑顔を見て、すぐに雇わないと、他の医院や病院に先を越されてしまうと焦ってはいけないのです。

翌日でもよいので、もう一度、その看護師を呼んで、こちらの条件を正確に告げることを行い、相手が納得してから、給料や入社日などの採用の条件を詰めるべきです。
最初のボタンの付け違いによって、懲戒解雇となってしまうと、お互いに損失です。

多大なコストと院長の時間を使って、新しい看護師を採用しなければいけなくなり、医院経営や病院経営にとって大損失です。

また、医院や病院側の予防策として、私は次の2つのことをやるべきだと思います。

1つ目は、応募してきた看護師に、条件を説明するときに年金手帳を提出してもらい、履歴書と突き合わせしてください。職務経歴のウソがあると、あとでもめてしまいます。特にウソを書かなくても、転職が多いことを隠すために、勤務期間が短かった医院や病院の名前を書かないことはよく見受けられます。

2つ目は、聞きづらいことについて、簡単なアンケートに記入してもらいましょう。

アンケート次項

はい

いいえ

不明

入浴介助があるが、身体のどこかにイレズミはあるか

 

 

 

年末年始の休みがないと困るか

 

 

 

2週間に1回の夜勤は、問題ないか

 

 

 

患者を送迎する業務があるが、今まで経験はあるか

     

送迎の運転に支障がある病気を持っているか

     

過去3年間で、精神疾患を患ったことがあるか

     

上記についてのアンケートには正しく答えているか

     

この1つにでも「はい」に○がされると、採用しないわけではありません。

年末年始に働けない、送迎の運転ができないと採用するときに分かっていれば、別の仕事を割り振ればよいのです。

それがあとで分かって、院長として「それは想定外だった」となると、お互いに感情的になってしまいます。そのちょっとしたコミュニケーション不足の積み重ねが、最悪な懲戒解雇につながってしまうのです。

またこのとき、よく前職で働いていた医院や病院に電話をかけて、勤務態度を聞くという院長もいます。

ただ、現在は個人情報保護法があるので、教えてくれない医院や病院がほとんどです。
いや、もしあなたの医院や病院に、他の院長から電話がかかってきたら、情報を提供してはいけません。それがもとで、裁判になっている事例もあります。

とにかく、採用のときにお互いのことをよく知るまでは、採用しないことを心がけることが、解雇だけではなく、普通に辞めてしまう看護師も減らすことになるはずです。

解雇にした理由を、その看護師のせいにはせず、院長である、あなたの採用の仕方が悪かったと反省し、次の面接に活かすことが医院経営や病院経営では大切です。

という私も自分の会計事務所のことを考えると、院長ことを責めばかりいられません。
プロ意識が強い看護師や社員を採用して、みんなで医院経営や病院経営を盛り上げていくためには、職場環境をよくすることが大切です。

だからこそ、できるだけ、解雇しなければいけないという事態は避けるべきだと、自分の反省も含めて、本当に思うのです。

解雇したい院長も、解雇されたい看護師や社員も、絶対にいないのです。

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