育児休業の制度は、どのように導入すべきか?

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医療関連のコンサルティング
2014/11/10
育児休業の制度は、どのように導入すべきか?

育児休業の制度は、どのように導入すべきか? 医院経営や病院経営では、看護師も受付の社員も女性が多いこともあり、育児休業を取って、また復帰する人も珍しいことではありません。

育児休業の制度があることは、人材を募集するときのアピールにもつながります。
そこで、育児休業のしくみを知っておきましょう。

1.育児休業の制度とは

  • 【1】1人の子につき、1回に限り、「育児休業」を与える
  • 【2】子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間
  • 【3】下記の2つの場合には、子が1歳6ヶ月に達する日までの間
     (1)保育所に入ることを希望しているが、それが難しい場合
     (2)1歳を超えて、子を養育する予定だった配偶者が、死亡、負傷、疾病等によって、子を養育できない場合

最近では、父親が育児休業に参加することも増え、両親ともに育児休業で休むときには、一定の要件を満たすと、1歳2ヶ月まで育児休業できる特例もありますが、あまり使われていないようです。

上記の【1】で、「育児休業を与える」と記載したように、与えないことはできません。
「うちの規模の医院や病院で、育児休業なんて、困る」という院長先生もいますが、法律ですので、看護師や社員が要求してきたら、断わることはできません。

ただ、すべての看護師や社員が対象になるわけでもありません。
下記の4つのどれかに、該当する場合には、育児休業を取らせないこともできます。

  • 【1】医院や病院で働き始めて、1年未満の看護師や社員
  • 【2】1年(1歳6ヶ月の育児休業の場合は6ヶ月)以内に雇用が終わる看護師や社員
  • 【3】1週間の労働日数が、2日以内の看護師や社員
  • 【4】日々、雇入れているアルバイト

ということは、契約社員であっても、1年以上、医院や病院で働いていて、これから1年超の雇用が見込まれる場合には、育児休業を与える必要が出てくるのです。

この話をすると、院長先生から、
「育児休業をあげるのはよいとしても、その間の給料は、どうなるんだ?」
と聞かれることがよくあります。

もちろん、育児休業で、ずっと休んでいるので、無給でも構いません。
というのも、雇用保険の育児休業給付金の対象となるため、休んでいる看護師や社員は、そちらからお金をもらうことができるのです。

また、医院経営や病院経営では、看護師や社員の社会保険料の負担もかなり重くなります。

育児休業の場合には、個人事業主の院長先生、または医療法人として、保険者に申出をすることで、本人負担分も医院や病院が負担する分も、免除することができます。

2.看護休暇の制度とは

この育児休業だけではなく、「子の看護休暇」という制度もあります。

これは、小学校就学前の子を養育するという理由で、看護師や社員が、医院や医療法人に申出を行った場合には、1年に5日間(小学校に就学前の子が2人以上の場合には、10日間)を限度として、「子の看護休暇」を与える必要があります。

これも、要求されたら、医院や病院は断ることができません。
これを対象外にできる看護師や社員も決まっています。

  • 【1】医院や病院で働き始めて、6ヶ月未満の看護師や社員
  • 【2】1週間の労働日数が、2日以内の看護師や社員

この「子の看護休暇」に関しても、育児休業の一環ですので、医院や病院は、無給としても構いません。
つまり、有給休暇とは違うのです。

3.育児のための短時間勤務とは

医院や病院は、3歳未満の子を養育する看護師や社員に対して、短時間勤務制度も作らなければいけません。
これも、断わることができないのですが、対象となる看護師や社員をかなり制限することができます。
下記の4つの条件をすべて満たした看護師や社員だけとなります。

  • 【1】1日の労働時間が、6時間以下ではないこと
  • 【2】日々、雇入れているアルバイトではないこと
  • 【3】短時間勤務制度を適用するときに、育児休業していないこと
  • 【4】就業規則で、下記は除外できる
    (1)勤務して、1年未満の看護師や社員
    (2)1週間の労働日数が、2日以下の看護師や社員

適用する場合には、例えば、今まで8時間労働だった看護師や社員が6時間にしたいと申請してきたら、6時間までは短縮してあげなくてはいけないのです。
このとき、正社員である看護師や社員が申出を行ってきたときに、それを理由に、契約社員やパートなどの契約に変更することを医院や病院側から、強制することはできません。

もちろん、本人が望めば、契約を変更することはできます。

さらに、医院経営や病院経営では、看護師や社員の人数をギリギリで回していることも多く、余っているわけではありません。
当直、宿直があったり、勤務時間のシフトを組んでいることが多く、1人の勤務時間をズラすと、他の人の勤務時間もズラす必要があり、かなり影響を与えてしまいます。
看護師になると、専門性が強く、検査を行う場合には、誰か1人は勤務してもらわないと困ることもあるでしょう。

そのような業務の性質や業務の実施体制から、短時間勤務制度を導入するのが難しいと認められる看護師や社員の場合には、医院や病院との話し合いで、断わることができます。

ただ、一方的に断ることは認められておらず、断わる場合には、下記の4つのどれかを代替的に使わせてあげる必要があります。

  • 【1】育児休業に関する制度に準ずる措置
  • 【2】フレックスタイム制度
  • 【3】始業、終業時間の繰り上げ、繰り下げ(時差出勤の制度)
  • 【4】3歳に満たない子に対する保育施設の設置、その他のこれに準ずるサービス

実務的には、医院経営や病院経営で、【1】と【2】を導入するのは難しいので、【3】と【4】のどちらかを選択することになると思います。
最近では、近くの保育園と提携して、【4】を行う医院や病院も増えています。

4.残業の制限とは

3歳に満たない子を養育している看護師や社員が申出を行ってきたときには、残業をさせることができません。
ただし、下記の社員については、対象外とすることができます。

  • 【1】医院や病院で働き始めて、6ヶ月未満の看護師や社員
  • 【2】1週間の労働日数が、2日以内の看護師や社員
  • 【3】日々、雇入れているアルバイト

実務的には、医院や病院が無理やり残業を強制することはできません。
でも、本人も最後までいると、自分だけ片づけなどをせずに帰ってしまうは、気が引けるようです。

そこで、短期時間勤務制度を適用して、終了時間までは残ってもらわないことで、残業をゼロとしている医院や病院が多いのです。

5.深夜残業の制限とは

医院や病院では、深夜労働も多いと思いますが、小学校に就学するまでの子を養育する看護師や社員から申請があれば、労働させることができません。
深夜労働とは、午後10時から午前5時まで、働くことを指します。
ただ、この場合にも、下記の看護師や社員は除くことができます。

  • 【1】医院や病院で働き始めて、1年未満の看護師や社員
  • 【2】深夜に、子を保育できる同居の家族がいる看護者や社員
  • 【3】1週間の労働日数が、2日以内の看護師や社員
  • 【4】そもそも深夜しか働いていない看護師や社員

このように育児に関する制度は、かなり細かく決まっています。
院長先生にこの話を聞くと、
「できるだけ、対象者を外していこう」
と発言することがあります。

これは、医院経営や病院経営で、対象ではない看護師や社員に制度を使わせると、業務が回らなくなるという考え方が根底にあるからです。
ただ、これらの制度をできるだけ使える人を増やし、その代わりに、他の条件を変更してもらうという交渉の方がよいのではないでしょうか。

というのも、十分な育児ができないから医院や病院を辞めるとなれば、また新たな採用と教育に時間もかかってしまい、損失です。

そして、医院や病院が看護師や社員の私生活を援助することで、皆が協力する体制が整えるのではないかと思うからです。

もちろん、仕事を行わず、権利だけ主張してくる看護師や社員がいることも確かです。
その場合には、きちんとした対応をしてもよいでしょう。

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