休職した看護師に給料を支払うために、有給休暇に切り替えられるのか?

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2015/02/20
休職した看護師に給料を支払うために、有給休暇に切り替えられるのか?

休職した看護師に給料を支払うために、有給休暇に切り替えられるのか?医院経営や病院経営では、毎日、本当に忙しく、人間関係も複雑で、精神的に参ってしまい、休職となる人も増えています。

急患が立て込めば、残業にもなりますし、患者の中には変わった人もいるので、その対応で疲れてしまう看護師もいます。

 

院長先生の中には、
「今まで、うちの医院の看護師が、精神的に悩み、休職したことはないな」
と言う人もいます。

ただ最近では、10人に1人という確率が平均ですので、単純に看護師や社員が合わせて10人いる医院であれば1人、30人が働く医院であれば3人はいても、普通の確率なのです。
もし、今まで前例がないとすれば、かなり運がよかったのか、それとも、気づかなかったという場合もあります。

実際、私の顧問先の心療内科であっても、1年間、気付かなかったこともありました。
患者は、自分が病気ではないかと疑ってきますし、院長もそのつもりで会うので判断できます。
ところが、毎日、顔を合わせていると、ちょっとした変化は、気づきにくいものなのです。

 

とにかく、看護師や社員の人数が多い、少ないは関係なく、一定の確率で発症するのです。
そして、1人でも、精神的に悩んでいる看護師がいると、周りにも感染することも多いのです。

院長や周りが気づけば、その看護師と話し合いをして、休職を勧めることになるのですが、このとき、「有給休暇を取りたい」と申請された場合、どうすればよいかという質問をよく受けます。

 

実は、院長は、申請してきた看護師の状況によって異なった対応をしなければいけないのです。

例えば、持病やケガで長期療養が必要な場合には、その看護師が請求してきたとおりに、有給休暇を取ってもらうことになります。
ただこれは、まだ休職していないことが前提です。

一方、院長が休職を発令したあとは、その看護師が請求してきても、有給休暇を取らせることができません。

なぜ、後者は、有給休暇を取らせることができないのでしょうか。
これは、労働局の通達によるのです。 

  • 休職を発令したことで、労働の義務が免除となっている
  • 労働の義務がないので、看護師は有給休暇を請求できない

 

そもそも、看護師に働く義務がなければ、有給休暇は取得できないのです。
これを知らずに、多くの医院や病院が間違っていることがあります。

それは、院長が看護師と話し合いをしたあと、他の看護師と相談して、
「有給休暇が残っているので、まずはこれを消化させた方がよい」
という結論を出してしまうことです。

 

休職では給料が出ませんが、有給であれば、給料を出すことができます。

「少しでも給料をあげれば、復帰も早いかもしれない」
「有給休暇の取得としていれば、その間に、本人も復帰しようと思うのでは」
と考えた結果なのでしょう。

 

しかし、法律では、すでに休職の状態になっている看護師には、有給休暇を取得する権利が無いのです。それに、休職した看護師が復帰した場合、復帰したあとに有給休暇を消化したいこともあるかもしれません。

だから、ここで無理やり、看護師に有給休暇を消化させる必要はないと思うのです。

 

また、傷病で休職となる場合、会社は給料を支払う必要はありませんが、無報酬となるわけではありません。
ちゃんと、金銭的な援助は、健康保険から支払われるからです。

傷病手当金は、給料の6割ぐらいの金額で、期間は最長で初診日から1年6ヶ月までとなっています。この期間がかなり長いので、金銭的なことを心配する必要はあまりないのです。

ちなみに、この期間に会社が休職手当として、休職している看護師に給料の一部でも支払うと、傷病手当金は減額されてしまいます。
だから、院長としては優しさで、給料を支払ってあげたいと思ったかもしれませんが、休職となった看護師にとっては、それが不利になることもあるのです。

 

このときに、注意して欲しいことがあります。
それは、看護師の本人負担分の社会保険料の徴収です。
休職中の看護師には給料を支払っていないので、本人負担分の社会保険料を差し引くことはできません。

 

この場合には、
「復帰後に最初の給料でまとめて相殺します」
と説明する院長もいますが、休職の期間が長いと、相殺する社会保険料の額が大きくなりすぎてしまい、相殺しきれないケースもあります。
さらに、復帰後すぐに退職となった場合には、回収不能になる場合もあります。

このことから、休職中の社会保険料は、その都度、看護師から振り込んでもらうことをお薦めします。
看護師も、医院や病院とつながりが少しでもある方が、復帰する気持ちも生まれます。

なお、就業規則には、このことを明記しておき、休職するときにも、院長から本人に必ず説明しましょう。
就業規則に記載すべき参考条文は、以下のようになります。

「休職中の看護師負担分の社会保険料は、各月に会社が立て替え納付した分を、従業員は、毎月末日までに、会社の指定した口座へ支払うものとする。」

看護師には、誤解が生じないようにしておきましょう。
最後に、休職する看護師への対応の流れを、確認しておきます。

【1】就業規則に、休業に関しての記載をする

【2】休職すべき看護師がいたら、院長が休職を命令する

【3】休職中の給料の支払いは、自動的にストップする

【4】健康保険の傷病手当金の支給申請を行う

【5】休職中の社会保険料は、その都度、振り込んでもらう

なお、休職中であっても、社会保険料の会社負担分は、当然、発生します。

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