社員の試用期間は、何ヶ月が妥当なのか?

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医療関連のコンサルティング
2016/05/30
社員の試用期間は、何ヶ月が妥当なのか?

社員の試用期間は、何ヶ月が妥当なのか?

ちょうど、4月に入社した看護師や社員がいると、試用期間も1ヶ月が経ち、色々な問題点が見えてくる時期かもしれません。
多くの医院や病院は、一定の試用期間後に、本採用としているはずです。

院長先生から、「試用期間を、3ヶ月ではなく、半年にしたが、問題ないか?」と聞かれることがありますが、医院や病院が、試用期間の長さは、自由に決めることができます。

法律で、試用期間は、半年以内しなければいけないという線引きはありません。
だからと言って、試用期間を2年間、3年間とするのは、問題です。
実際に、1年半という試用期間が認められなかった判例もあるからです。
結局、入社する看護師や社員にとっても、長すぎる試用期間は、不安を煽るだけで、意味がないので、常識的な範囲で、長くても1年以内で設定すべきです。

 

一般的な試用期間は、3ヶ月~6ヶ月ですが、この期間の意味は、本採用前のテスト期間として位置付けられ、面接だけではなく、仕事をしてもらい、「改めて、能力、資質、健康状況を調査して、判断する期間」という意味になります。

法的には、「雇用契約の解約が留保されている期間」となります。

だから、会社が「社員としての適性に欠ける」と判断したら、雇用契約を「解約」することもできます。
つまり、解雇です。

ただ、院長先生が、よく勘違いしていることがあります。
試用期間中であったとしても、解雇するのは、それほど簡単ではないということです。
まずは、下記が、原則となります。

① 入社後2週間以内・・・即日の解雇OK
② 入社2週間経過後・・・解雇予告手当、または、1ヶ月前の通知が必要

つまり、試用期間を3ヶ月と定めて、その経過後に本採用せずに解雇する場合でも、通常の解雇と同じように、1ヶ月間の解雇予告手当を支払う必要があるのです。

次に、試用期間中の解雇については、就業規則に記載しておく必要もあります。
ただし、普通の解雇とは違うため、「本採用しない場合の解雇」は別に決めておくべきです。
具体的な就業規則は、下記となります。

第○条 試用期間中の従業員が次の各号のいずれかに該当し、従業員として不適当である認めるときは、採用を取り消して、本採用は行わない。
ただし、改善の余地がある等特に必要と認めた場合には、試用期間を延長し採用取消を留保することができる。
 ・ 遅刻及び早退並びに欠勤が多い又は休みがちである等、出勤状況が悪いとき
 ・ 上司の指示に従わない、同僚との協調性がない、やる気がない等、
  勤務態度が悪いとき
 ・ 必要な教育は施したが会社が求める能力に足りず、
  また、改善の見込みも薄い等、能力が不足すると認められるとき
 ・ 重要な経歴を偽っていたとき
 ・ 必要書類を提出しないとき
 ・ 健康状態が悪い(精神の状態を含む)
 ・ 当社の従業員としてふさわしくないと認められるとき
 ・ その他上記に準じる、又は解雇事由に該当する場合

 

これに関する具体的な判例も、確認します。

 

<日本コンクリート事件(津地裁 昭46年5月)>
① 就業規則には、試用期間中の出勤率が90%未満、
  または、3日以上無断欠勤した場合には本採用しない旨の内規あった。
② 出勤率が、84.4%、無断欠勤が1日の社員を本採用しなかった。
判決結果 → 本採用拒否は有効

<大同木材事件(松江地裁 昭和46年10月)>
業務修得に熱意がなく、上司の指示に従わず協調性に乏しいことを理由として、本採用しなかった。
判決結果 → 本採用拒否は有効

<日本精線事件(大阪地裁 昭和50年10月)>
大学中退を高校卒とした学歴詐称を理由として解雇した。
判決結果 → 本採用拒否は有効

<鶴屋商事事件(東京地裁 昭和60年7月)>
他の社員への言葉使い、勤務態度、接客態度が悪く営業成績も不良であることを理由とする解雇した。
判決結果 → 本採用拒否は有効

 

これらの判例の内容を確認すると、正社員の解雇の場合よりも、解雇するハードルは低くなっています。
これは試用期間が、「長期的な雇用を継続するかどうか」という判断期間だからです。
看護師や社員として、不適格だと医院や病院が判断したときに、その理由が妥当ならば、本採用拒否は有効なのです。

 

だから、正社員の解雇とは「別に」、試用期間中の看護師や社員の解雇を定めることが、リスクヘッジとなるのです。

 

逆に言えば、別に定めないと、正社員と同じ規定が適用されてしまうのです。

また、院長先生の中には、情に厚く、解雇を言い渡せない場合もあります。
もちろん、今後の社員教育によって、問題が解決できることもあるでしょう。
しかし、勤務態度や協調性といった「人としての基本」が欠けていて、改善の余地がないと判断したら、解雇すべきです。
医院経営や病院経営は、みんなで協力して盛り上げていくものです。
患者さんは、病気で来院していて、その人たちを診療して治療することが目的です。
院長先生が、感情に流され、問題を先延ばしにした結果、患者、もしくは社員同士で、大きなトラブルに発展した事例をいくつも見てきました。
その判断は間違わずに、行うことが必要です。

 

なお、正社員ではなく、契約社員として契約した場合、もしくはパートやアルバイトで雇い、1年後に正社員することもあると思います。

 

この場合には、正社員になった段階で、キャリアアップ助成金として、1人当り、60万円の助成金がもらえるのです。

 

最大で、1つの医院や病院で、500万円までもらえます。
契約社員であれば、その雇用契約の条件を、正社員とは全く違うものにすることもできます。
そのため、いきなり正社員ではなく、最初は契約社員で雇うことも検討してみましょう。

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