看護師や医療事務の社員に支払う給料のルールを知っていますか?

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2014/01/20
看護師や医療事務の社員に支払う給料のルールを知っていますか?

看護師や医療事務の社員に支払う給料のルールを知っていますか?アルバイトの医師やレントゲン技師とは病院や医院との間で業務委託契約を締結して、業務委託料として支払うことも多いと思います。医師やレントゲン技師は、他からの収入もあり、合算して、確定申告しているはずです。

一方、看護師や医療事務のスタッフには、病院や医院は、絶対に給料として支払っているはずです。そして、彼女たちにとっては、この給料が生活するための糧(かて)となっています。
しかも、働いた後に支払われる後払いが大半なので、病院や医院は確実に支払わないといけません。

そこで、法律では「直接本人に対し、通貨で、その全額を支払う」としているのです。

この「通貨で支払う」ということは「現金で支払う」という意味です。
逆に言えば、薬などの現物で、給与を支払ってはいけないのです。

病院や医院で小切手や手形は発行できないと思いますが、現金にすぐに換金できそうなものでも、それによる支払いは禁止されています。

あくまでも「現金」で支払うことが、ルールとして決められているのです。
もちろん、現金の手渡しではなく、銀行振込でもOKです。
現在、現金で看護師やスタッフに給料を支払っているという病院や医院は、ほとんど聞いたことがありません。

ただし、ここで注意すべきことは、銀行振込の場合、病院や医院が「勝手に」給与を看護師やスタッフの銀行口座に振り込むだけではダメなのです。
あくまで、銀行振込を利用することにつき、事前に看護師やスタッフの同意が必要となります。

病棟があり、看護師やスタッフが多く在籍していて、入退者が多い病院や医院では、下記のような対応をしているかもしれません。

(1)看護師やスタッフが入社する

(2)病院や医院が指定した銀行で、口座を開設するように指示

(3)看護師やスタッフが口座を開設

(4)通帳のコピーなどを病院や医院に渡す

(5)これを以って、同意とみなす

できれば、入社時に、看護師やスタッフから口座指定書をもらい、同意を確認する方法をお勧めします。

それから、振込口座は「本人名義」の口座となります。

当然ですが、両親名義や子供名義の口座に振込むことは許されません。
あとで税務調査があった場合に、架空給与と指摘される可能性があります。
また、看護師やスタッフに支払ったお金が、両親や子供に贈与されたと認定されたら面倒です。

どんな理由があろうとも、看護師やスタッフ本人からの指示があったり、頼まれたとしても、本人以外の口座に、病院や医院から給料を直接、振込むことはやってはいけません。
かならず、トラブルに巻き込まれます。

また、病院や医院は、給料日に給与明細書等を、看護師やスタッフに交付する義務もあります。
さらに、厚生労働省の通達では、
「給料日の午前10時頃までには引き出し可能なように、実施する必要がある」
とされています。
それでは、給料日が休日の場合には、どうなるのでしょうか?

給料日を繰り上げるか、繰り下げるかは、病院や医院の自由というのが、結論です。
この取り扱いは就業規則に、その旨を記載しておきましょう。

具体的には以下のように記載しましょう。


(賃金の支払方法)
第〇条 賃金は通貨で直接本人にその全額を支払う。
ただし、従業員との書面協定により、従業員が希望した場合は、その指定する金融機関等の口座への振込みにより賃金の支払いを行う。

(賃金の計算期間及び支払日)
第〇条 賃金は、前月21日から当月20日までの分について、当月25日に支払う(日にちは任意です)。
ただし、賃金支払日が休日にあたるときは、その前日に支払う。


それから、税金や社会保険料は法令で定められているため、病院や医院が給料から「徴収する義務」があります。
特に、税金は源泉所得税と呼ばれて、税務署から厳しくチェックされます。

例えば、月額20万円の給料を看護師に支払うときに、2万円の税金を徴収せずに、そのまま20万円を支払ったとします。本当は、18万円を看護師の口座に振り込むべきだったのです。
あとで、税務調査が入り、税金を徴収していなかったことが判明すると、病院や医院が悪いと責められます。

その結果、病院や医院は、その看護師に22万円の給料を支払ったことにされ、2万円を税務署に納めることになるのです。もちろん、この2万円に対してペナルティである延滞税も追加で支払います。

税務署は、その看護師にところに行って、税金の2万円を納めて欲しいとは言わないのです。

ただ、この2つは法律で決められているので、病院や医院が徴収する義務があるのですが、これ以外のものを給料から勝手に控除するには、「賃金控除協定」が必要となります。

この賃金控除協定が締結されていない状態で、看護師やスタッフの給与から、病院や医院が勝手に控除すると労働基準法違反となります。

この賃金控除協定は、病院や医院と看護師やスタッフの代表が書面で締結するのが通常のやり方です。

  • 例えば、控除するものとしては、
  • 昼食代(食堂を使う場合も同じです)
  • 共済費
  • 社内預金、財形貯蓄の積み立て 
  • 労働組合費(大病院になると必ず、あります)

などがあります。

さらに、給与から控除するときの注意点があります。

それは、

  • 看護師やスタッフが、お金を使い込んだ場合
  • 重過失により、病院や医院に損害を与えた場合

など、病院や医院に損失が生じた場合であっても、給料から「勝手に」控除してはいけません。

例えば、下記の判決があります。

  • 関西精機事件 昭和31年11月 最高裁
  • 日本勧業経済会事件 昭和36年5月 最高裁

この2つの裁判のどちらも、

  • 社員の背任行為等に伴う損害を給与から「勝手に」相殺した
  • 相殺については違法と判断された

という結果になりました。
つまり、会社がこの社員にお金を返還することになったのです。

このように、看護師やスタッフが明らかに悪い場合でも、病院や医院がその損失を給料から控除する場合には、本人の同意をもらう必要があることを覚えておいてください。

病院経営や医院経営では、給料に関しては、トラブルになることが多い項目です。
基本的なルールは抑えておきましょう。

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