看護師やスタッフの休日を変更することはできるのか?

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2013/10/10
看護師やスタッフの休日を変更することはできるのか?

この間、ある院長先生から、相談を受けました。

看護師やスタッフの休日を変更は可能か?うちの医院は、土曜日と日曜日を休日にしていました。ただ最近、土曜日に診察をして欲しいという要求も増えましたし、平日に診察をする患者さんの数が減ってきています。

そこで、水曜日と日曜日を休日にして、土曜日は終日、診察を行うことにしたいのです。
それに伴い、看護師や社員の休日を変更したいのですが、強制的にできますかね?

法律上、「○曜日が休み」と決まっているわけではありません。

それでも、医院や病院は、土曜日、日曜日が「慣習として」休みになっていることが多いです。
この医院もそうでした。
ただ最近ではショッピングモールや駅ビルで開業する医院や病院も増えて、土日に診察を行い、平日で2日間休むところもあります。

それでも、休日を一度決めてしまうと、医院や病院は、これを守らなければなりません。
医院や病院がこれを変更したいならば、

【1】変更の内容(例:土曜日休みを水曜日休みにする)

【2】変更の理由

【3】変更の必要性

などを十分に、看護師や社員に説明する必要があります。
そして、「原則として」、看護師や社員【全員】の合意が必要となります。

それでは本当に、医院や病院が患者さんの要求で、診察日を変えることに、看護師や社員【全員】の合意がなければいけないのでしょうか?
これでは、医院経営や病院経営が社会の要請に、柔軟に対応できないことになります。

これについて、次のような判例があります。

<九州自動車学校事件 福岡地裁 平成13年8月>
【事実1】 教習の受講希望者は、日曜日に多い
【事実2】 会社は就業規則を改定し、休みを日曜日から月曜日とした
【事実3】 この就業規則の改定は「社員に不利益である」と主張
【事実4】 社員は無効と訴えた

これに対して、裁判所は、下記の判断を行っています。

【判断1】 日曜日が休みではない業種は増加している
【判断2】 サービス業など、多くの人が日曜日に働いている
【判断3】 日曜日が休日で無くても、社員に不利益はない
【判断4】 日曜日から月曜日に休日を変更したことは合理性がある

社員【全員】の合意が無くても、「就業規則の改定」だけで、休日の変更ができたことになります。

もちろん、「休日を変更することに対する、合理的な理由」は必要です。

ここで、「合理的かどうか」は、次のことが基準になります。

【基準1】 変更により、社員が不利益になるかどうか
【基準2】 変更の必要性
【基準3】 変更した内容
【基準4】 労働条件の改善

これらから、総合的に判断することになります。

そして、合理的だからと言って、看護師や社員に強制しないことは絶対です。

土曜日に出勤する理由や必要性を院長先生からよく説明すること、最初はアルバイトを雇ったり、シフトを組むなどして、看護師や社員間の不公平感をなくすように気を配ってください。
看護師や社員のやる気がなくなってしまえば、結果的に、患者さんのためにもなりません。
医院経営や病院経営に対しても、悪影響を与えることになってしまいます。

説明を行ったら、合理的に運用できるよう、就業規則の改定を行います。
このように、労働条件の変更を行うのは、きちんとした手続きを踏まなければ、先ほどの裁判のように、医院や病院と看護師がいがみ合うことになってしまいます。

これは、休日の変更に限りません。
どんな労働条件の変更でも同じです。
院長先生にとっては、ささいなことであっても、看護師や社員にとって一大事ということがよくあります。

当然ですが、医院や病院を取り巻く環境は変化します。厚生労働省の方針も、国会との兼ね合いで変わってきます。
医院や病院は、その変化に対応しなければ、生き残ることはできません。

「その対応 = 労働条件の変更」になるのです。

あなたの医院や病院では、これから看護師や社員の労働条件の変更を検討していますか?

もし変更するならば、それが合理的かどうかを検証してください。
検証せずに、就業規則の変更をすると、「一方的に、社員に対して、不利益な変更を行った」とされ、無効となる場合が多いのです。

実際、無効となったケースをいくつも見たことがありますが、就業規則の改定が無効というだけでは終わる話ではありません。
医院や病院の雰囲気は最悪です。

院長先生としては、

「変化に対応し、より医院や病院を良くするための改定だったのに・・・」

となってしまいます。
たかが、就業規則、されど、就業規則です。
労働条件を変更したり、就業規則を改定する場合は、細心の注意を払ってください。

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