看護師が、通勤、または訪問診療で、交通事故を起こしたら?

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2016/05/10
看護師が、通勤、または訪問診療で、交通事故を起こしたら?

看護師が、通勤、または訪問診療で、交通事故を起こしたら?

郊外で、医院経営や病院経営を行っている場合、看護師や社員が、クルマで通勤していることが、ほとんどだと思います。また、最近は訪問診療を行う医院や病院が増えてきて、バイクで巡回する院長先生もいますが、夜などは危ないので、クルマを使う方が多いと思います。
そのとき、クルマの運転は、看護師や社員が行います。

ちょうど、先日、郊外で開業している医院で、かつ訪問診療も行っている、顧問先の院長先生から、下記の相談を受けました。

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通常、医院は2台のクルマを保有して、訪問診療を行っていました。
ある朝、1人の看護師が遅刻したので、直接、訪問診療する患者の自宅の前で、待ち合わせることにしました。この看護師は、よく遅刻することが多く、注意していますが、治りません。
それでも、看護師がいなければ、訪問診療の業務も滞ってしまうため、院長先生としては、目をつぶっていた点もありました。
その度に、その看護師は、マイカーを使って、患者の自宅にやって来ました。しかも、そのときの駐車場代は高くないこともあり、医院で経費精算して、負担してあげていたのです。

そもそも、マイカー通勤を許していたので、それに関して、何のリスクも感じていませんでした。
ところが、この日は待っていたところ、その看護師から電話が入り、急いでいたので、焦ってしまい、途中で事故を起こしたと報告があったのです。

そのあと、交通事故の被害者は、後遺症を訴えてきました。
また、クルマの任意保険が切れていて、看護師だけでは、負担しきれない賠償金額です。
そこで、相手の被害者は、弁護士を通じて、医院に請求すると言ってきました。 
この場合、医院と看護師の責任は、どうなりますか?
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看護師は女性が多く、クルマの運転が上手ではない、それどころか、苦手と感じていることが多いのです。そのクルマが医院や病院のもので、しかも訪問診療という業務で使っていて事故を起こせば、当然、医院や病院が責任を取ります。
それでも、通勤にはマイカーを使いますし、マイカーで訪問診療の自宅に来てもらうこともあるでしょう。その途中で、事故を起こした場合には、どういう扱いになるのでしょうか?

 

最も重要となるのは、「責任の所在割合」です。

 

つまり、院長先生が、「どこまでマイカー使用を認めたか」によって、変わるのです。

例えば、看護師には、「マイカー通勤のみ」を認めている医院や病院としましょう。
この医院や病院では、マイカーを仕事に使うことを、原則禁止しています。
当然、看護師が勝手に仕事に使用し、事故を起こしたら、それは看護師だけの責任です。
ところが、医院や病院が、訪問診療にもマイカーを使用することを「黙認」していたら、判断が違ってきます。

病棟がない医院や病院では、看護師や社員の人数が少なく、仲間意識も芽生えますし、院長先生も、ちょっとしたことは許す傾向にあります。
そのため、訪問診療のときに、マイカーを使っていたとしても、毎回でなければ、黙認しているでしょう。

ただ、知っていて黙認していたか、もし知っていたら注意していたかは、微妙に違います。

「黙認」していたら、認めていたことと同じですので、医院や病院に責任があります。

もちろん、このままでは不明確すぎるので、下記の3つを、医院や病院が負担していれば、「黙認」したことになると、覚えておいてください。

1.ガソリン代
2.クルマの駐車場代
3.損害保険料の維持費

もちろん、看護師と按分して、医院や病院が一部を負担していた場合でも、責任が発生します。

さらに、注意することがあります。
それは、普段から、業務に看護師のマイカーを使わせていると、

1.昼休みなどの勤務時間外
2.休日中

でも、「医院や病院の管理下にあるクルマ」とみなされることもあるからです。
もし、上記のようにみなされたら、医院や病院に責任が発生します。
そのため、看護師が負担できない場合には、一旦賠償金を支払うことになるのです。

先ほど、院長先生から相談されたケースも、結果的に、医院が一旦、全額を支払いました。
そして、看護師と話し合い、本人が負担すべき金額を決定して、そのあと、分割で返してもらっています。これを聞くと、「遅刻して、事故を起こした看護師に責任があるはずだ」と怒る、院長先生もいます。
それでも、マイカーを使うことを黙認していたことは、確かです。
その責任は、医院や病院が負担するしかありません。
看護師を責めて、退職してしまえば、医院経営や病院経営にとっても、マイナスです。
明日からすぐに来てもらう看護師を見つけることはできないのです。

また、今回の相談の大きなポイントは、「任意保険の期限切れ」です。

任意保険が十分、有効であったらな、被害者との交渉も、損害賠償の金額も抑えることができました。

このとき、看護師がマイカーで任意保険に加入している場合、訪問診療で患者の自宅に向かうことが、その保険対象の範囲になるかは、慎重に検討する必要はあります。
 
医院や病院が、下記の対応をしている場合には、看護師から、自賠責保険と任意保険のコピーをもらい、期限切れにならないように、管理しましょう。

  • 医院や病院が、看護師や社員に対して、マイカー通勤することを認めている。
  • 訪問診療などの仕事で、看護師や社員に対して、マイカーを使用することを認めている。

 

医院や病院が、「保険期限の管理表」を作成していれば、責任を果たしていることになります。

 

これで、交通事故の対処にも、積極的に関与していたことになります。
それにより、賠償金額を補助してもらえるだけでなく、看護師との負担割合を減らすことができます。

とにかく、看護師が事故を起こして、その対応に当たる時間やコストは、医院や病院にとって、大きな損失です。
お金だけではなく、精神的なダメージも大きいはずです。
もしかしたら、社会的なダメージを受けることもあり得ます。
医院や病院の名前が報道されたら、医院経営や病院経営にも影響します。
院長先生も対応に追われてしまい、通常の診療をストップすることにもなってしまいます。

看護師や社員が、マイカーを使っていると、事故を100%防ぐことはできません。

 

それでも、事故の予防に努めることはできるはずです。

 

どんなことでも、「事前対策」をしておくことは、大切なのです。

もう一度、マイカーの使い方なども含めて、看護師や社員と協議しましょう。

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