看護師が、就業時間中に私用メールをして困ります。

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2014/04/20
看護師が、就業時間中に私用メールをして困ります。

140401_2最近は、パソコンだけではなく、スマートフォンの普及によって、インターネットで情報を集めるだけではなく、LINEやメールなどで友達と簡単に、しかも無料で連絡を取れるようになりました。

場所も問いませんし、携帯電話がつながらない場所でも、Wifiがつながれば、連絡が取れてしまいます。

そのため、看護師や社員が、医院の勤務時間中に、私的なメールのやり取りをしていたり、インターネットで検索している姿は珍しくありません。
本人は、後ろめたい気持ちもあり、少し隠れてやっているようですが、患者に見つかることもあります。

 

年配の看護師からクレームが来たりして、院長先生から、「私用メールを禁止させるにはどうしたらよいか」「インターネットの閲覧制限をしたい」という相談を受けるケースが増えました。
技術的には、パソコンであれば、サーバーなどの設定に制限をかけたり、閲覧履歴を保存しておくこともできます。

ただ、スマートフォンの制限は難しいことと、そもそもサーバに保存された閲覧履歴をチェックする時間など院長にはありません。
また業務連絡でメールを使うこともあり、院長がインターネットでの情報収集を命じることもあります。

それとの違いを区別するのは、本当に難しいのです。

ただ何も指摘せずに放置すると「少しぐらいならいいかな」という考えが、医院や病院の中でまかり通ってしまいます。
そこで、もっと違う方法で、看護師や社員に対して、制約できないかを考えてみましょう。

2006年に労務行政研究所より、「インターネット等の私的利用に関する実態調査」が発表されました。
これによれば、就業規則でインターネット、メールの私的利用のルールを定めている企業の割合は48.9%ということでした。
つまり、世の中の半数の会社でルールが定められていることになります。その中には医院や病院も含まれています。

まず、院長先生から聞かれることは、「そもそも、医院の診療時間中に私的なメールを送ることが、許されるのか」ということです。
なぜなら、看護師や社員は、医院経営や病院経営の実務に専念する義務があり、私的なメールはそれに違反しているからです。
院長先生としても、「仕事中の間ぐらい、我慢しろよ」という感情的な面もあるでしょう。

ここで、判例を紹介します。

<日経クイック情報事件 東京地裁 平成14年2月>

他人を誹謗中傷するメールの発信元を調べるため、会社は社員(全員)のメールを調査したところ、ある社員が多量の私用メールを送信している事実が発覚した。 会社は、この社員を懲戒処分とした(処分の内容は不明)ところ、逆に、社員から会社のプライバシーの侵害、名誉毀損で訴えられた。

裁判所は、下記のように判断しました。

私用メールは職務に専念する義務に違反していて、私的に会社の施設を使用することは企業秩序の違反行為になる。
そのため、私用メールは一般的に懲戒処分の対象になる。

ただ、これとは真逆に結果になったケースもあります。

<グレイワールドワイド事件、東京地裁 平成15年9月>

社員が就業時間中に私用メールを送ったので、これを主な理由として解雇した。
これに対して、社員は「解雇は無効」とし、裁判を起こした。

これに対して、裁判所は、下記のように判断しました。

就業規則で、私用メールが禁じられていなかった。
社員の送受信した私的メールが1日あたり2通程度であったことから、「職務に専念する義務に違反しない」という結論。

これにより、私的メールをしていた社員の解雇は無効となったのです。
もし、医院や病院の就業規則で私的メールを制限する条項を入れたいならば、次のように記載する必要があります。

第●条 従業員はインターネット、電子メール等、会社のパソコンを業務以外の目的で利用してはならない。また業務に利用する際は社会的責任、法的責任を十分に認識し慎重に行うこと。
(2)会社のパソコンを業務以外の目的で利用した場合は第●条の懲戒処分、または第●条の解雇処分の対象となる。
(3)会社は従業員のインターネット、電子メールの利用状況等を従業員の承諾なく、必要に応じて調べることができる。

このように就業規則にハッキリとした定めれば、「私用メール = 懲戒処分の対象」という認識が、看護師や社員の頭の中に生まれます。
そもそも、就業規則にこの条文がなければ、懲戒処分はできないのです。

最近の医院や病院では、看護師がずっとパソコンの前に座って作業をしていることも増えました。それで、何も問題が無ければ、制限する必要もないのですが、世の中では様々な問題、事故が起きています。

最終的には、就業規則だけでなく、現場レベルでどれだけ柔軟に運用するかということも大切です。ただし、問題が起きた時は「就業規則」が大前提となるのです。

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